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米国 販売会社CEOメッセージ



おもてなしを深化させ体験価値で 唯一無二のブランドを目指します

上席執行役員

マツダモーターオブアメリカ, Inc .

(マツダノースアメリカンオペレーションズ) 社長兼CEO

トム・ドネリー

Tom Donnelly



米国でブランド価値経営を導入した背景と、その成果について教えてください。

米国市場におけるマツダの「ブランド価値経営」の取り組みは2026年で10周年を迎えました。マツダ車が各セグメントにおいてより多様化し、競争力を高めていくにつれ、商品の改善を反映した包括的なビジネスアプローチが必要となりました。価格訴求型から価値訴求型のビジネスモデルへの転換を目指してブランド価値経営を導入し、経営上の意思決定を支える重要な考え方となっています。

 

私たちはお客さま体験の向上に力を入れており、ディーラーでの接客から保有期間までライフサイクル全体のあらゆるタッチポイントで、すべての意思決定と行動の中心にお客さまを置いています。従来のやり方から大きな変革が求められましたが、従業員やディーラーパートナーは、この考え方を体現するために着実な成長をとげてきました。

 

ブランド価値経営は、米国市場において過去数年間にわたるマツダの目覚ましい成長をけん引した主要な要因の一つです。

 

また、特に直近2年間の厳しい社会・政治的環境の中でも、事業の安定性を高める役割を果たしてきました。米国では関税の導入や規制の優先順位の急速な変化などにより、ビジネス環境が不確実性を増す中でも、ブランド価値経営とお客さま中心の取り組みは揺らぐことはありませんでした。その結果、2025年度は過去2番目に販売台数の多い年となり、総販売台数は39万5千台に達しました。マツダの市場シェアは、2018年度の1.7%から2025年度には2.4%へと上昇しました。これは従業員やディーラーパートナー、そしてお客さまが、マツダの商品や取り組みの価値を評価してくださったからだと考えています。

販売台数とシェアの推移
販売台数とシェアの推移

ブランド価値経営を通じて築き上げられた、米国におけるマツダの強みは何ですか?

ブランド価値経営を通して培ってきた私たちの強みを、「商品」「店舗環境」「お客さま体験」という3つの柱でご説明します。

①商品

マツダ車は、ブランドに対する最初の評価基準となります。消費者に、魅力的な価格帯でセグメント内で競争力のある商品を提供し続けなければなりません。そして、私たちがそれを実現していることは明らかです。「MAZDA CX-50」「MAZDA CX-50 Hybrid」「MAZDA CX-90」、そして直近では新型「MAZDA CX-5」の導入を通じて、お客さまが求める優れた走りと美しいデザインの商品を提供していることを実証してきました。

 

マツダの商品に対する取り組みは、幅広い価格帯でお客さまに優れた価値を提供することだけにとどまりません。私たちは安全なクルマをつくるために多大な投資を行ってきました。米国道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety / IIHS)による安全試験で最高評価の「TOP SAFETY PICK+」を新型CX-5含む9モデルが獲得しており、2026年7月時点で単一ブランドとして最も多い車種数です。また2008年以来、「TOP SAFETY PICK」「TOP SAFETY PICK+」の累計獲得回数は、ブランドとして100回目を達成し、安全に対する実績をさらに確固たるものにしました。

米国道路安全保険協会(IIHS)2026 TOP SAFETY PICK+獲得車 (2026年7月時点)
米国道路安全保険協会(IIHS)2026 TOP SAFETY PICK+獲得車 (2026年7月時点)

米国道路安全保険協会(IIHS)2026 TOP SAFETY PICK+獲得車(2026年7月時点)

②店舗環境

優れた商品はブランド価値の基盤となりますが、お客さまがマツダブランドと接する環境も同様に重要です。2016年以来、約400のディーラーがブランド価値経営のビジョンに賛同し、従来の販売網と店舗を刷新する「リテール・エボリューション(RE)」へ投資をしてくれました。私たちはパートナーであるディーラーの皆さまにブランド価値経営の考え方に共感いただきながら日々の活動を進めており、その成果が着実に表れています。全店舗平均スループット(1店舗当たり年間販売台数)は、2016年度の450台から2025年度には600台へと増加しました。さらに新世代店舗では、同期間中にスループットが756台へと増加しています。再購入率も2015年の38%から2025年には46%へと向上しました。また点検や修理などのアフターサービスのために再来店してくださるお客さまの割合を示すサービスリテンションも2017年の52%から2025年には59%へと改善し、マツダは過去5年間で最も急速に改善したブランドの一つです。マツダのディーラーパートナーも、こうした成果を高く評価しています。2025年冬に発表された全米自動車ディーラー協会(NADA)が発表する「The Most Optimistic」のスコアは、3位と高い水準を維持しています。また、ディーラービジネスの価値を示すフランチャイズバリューにおいて、マツダは現在ノンプレミアムブランド中6位に位置しており、5位以内という目標に向けて着実に進捗しています。

カンザスシティにある新世代店舗 (ルーサー・マツダ/Luther Mazda)
カンザスシティにある新世代店舗 (ルーサー・マツダ/Luther Mazda)

カンザスシティにある新世代店舗 (ルーサー・マツダ/Luther Mazda)


再購入率の推移
再購入率の推移

③お客さま体験

優れた品質の商品と魅力的な店舗環境を基盤として、マツダノースアメリカンオペレーションズ(MNAO)はお客さま体験の強化に取り組んでいます。私たちは「おもてなしの心」――つまり、お客さまのニーズを先回りして無私無欲に満たそうとする日本のホスピタリティの概念――を軸に自分たちのビジネスを見つめ直し、「お客さまのために、もっと何かできないだろうか?」と問い続けています。

 

例えば、私たちは事業のあらゆる側面において人と人とのつながりを深めることをテーマに掲げました。まず、2025年4月に新しいコミュニティプラットフォーム 「Be Moved」を導入しました。当初は地域社会への貢献につながる既存のディーラーおよび従業員向けプログラムの拡充に重点が置かれました。「Be Moved Driveプログラム」では、地域の高校で試乗会を開催し、試乗1回につき50ドルを寄付し、各校への寄付額を最大10,000ドルとしました。このプログラムにより、全米の学校を対象とした21回のイベントを通じて、計128,550ドルの寄付金を集めることができました。これは、教育が一人ひとりの成長を支え、地域社会の発展につながる重要な基盤であるというマツダの考えを示す取り組みです。

 

また「おもてなしの心」を、ディーラー従業員向け表彰制度に組み込み、賞賛・評価される行動を明確にしました。また、現場を支援するすべてのフィールドマネージャーに対し、お客さま一人ひとりとのつながりを重視するお客さま体験のアプローチに関する研修を実施しました。こうした考え方を事業全体に浸透させる取り組みを進める中で、販売およびサービスの推奨意向指数は過去最高水準を記録しており、今後業界トップクラスを目指します。

 

さらに私たちは「マツダ・サービス・プロミス」を立ち上げました。オンライン予約や、エンジニアが実際の点検内容や作業の様子を撮影して動画でお客さまに共有するデジタルビデオサービス、多様なコミュニケーション手段の提供を通じて、車両メンテナンスをより透明で便利なお客さま中心の体験へと進化させる取り組みです。これまで負担に感じられがちだったメンテナンスを、お客さまとの信頼関係やロイヤリティを高める機会へと変えることで、マツダブランドとディーラーの価値向上につながっています。その結果、2018年以降、1店舗当たりのサービスおよび部品利益は平均で100%以上増加しました。また、動画を活用した点検の実施件数は自動車メーカーでマツダがトップであり、再購入率においても過去最高を記録しています。これらの取り組みは、一つひとつは小さな行動であっても、お客さまとのタッチポイントを強化し、ブランドへの信頼の強化につながっています。

全米ディーラー会議の様子
全米ディーラー会議の様子

全米ディーラー会議の様子


今後の強化ポイントは何ですか?

現在のマツダの課題の一つは、お客さまにとっての「マツダらしさ」が必ずしも明確ではない点です。ブランド価値経営はこの課題を解決する上で重要な役割を果たします。私たちは、人材、プロセス、テクノロジーを一体的に結びつけることで、他社にはない独自の体験を提供し、お客さま起点で価値を創出する力をさらに高めていく必要があります。そして、この挑戦を通じて、現在の約40万台レベルの販売台数から将来的に50万台を目指していきます。

 

私たちは、あらゆるタッチポイントでおもてなしを体現し、つながりを重視した体験価値を提供する企業への進化を目指しています。そのために、パートナーシップへの投資を継続し、バリューチェーン全体でその関係性を強化します。こうした変化と、テクノロジーを活用した強靭で高い専門性と意欲を持つ従業員の力を組み合わせることで、より多くのお客さまにとって「第一の選択肢」となるブランドを目指します。パートナーであるディーラーとこのビジョンを共有しており、一体となって成長に向けた取り組みを推進しています。さらに、今後市場投入を予定しているCX-5のハイブリッドモデルは、お客さまの期待と関心を一層高め、新たな販売機会の創出につながるものと期待しています。

 

現在、MNAOの利益の大部分は車両販売によるものです。将来的にはコネクティビティの進化に伴い、クルマはeコマースから部品販売までを含む収益エコシステムの中心となるでしょう。私たちは、マツダらしい価値観と体験を大切にしながら、この変化に備えていく必要があります。ブランド価値経営はすでにその変革をドライブしています。お客さま体験に焦点を当て、 マツダ・サービス・プロミスを通じて、自動車を販売する企業から体験価値を提供する企業への変革を加速させています。

 

私はこの先の10年間で、人々とクルマの関わり方はこれまで以上に重要になると考えています。クルマは単なる移動手段にとどまらず、数年前には考えられなかったような形で私たちのライフスタイルに溶け込んでいくでしょう。その結果、人々と自動車メーカーとの関係も変化し、ブランドへの信頼はこれまで以上に重要性を増し、スマートフォンのように深く生活に根付くものになるはずです。

 

私たちはお客さまをあらゆる活動の中心に据え続け、社内外を問わず「おもてなしの心」を実践する機会を追求することで、変化し続ける自動車業界においても、確かな存在価値を発揮していきます。