コーポレートガバナンス



基本的な考え方

マツダは、東京証券取引所が定めるコーポレートガバナンス・コードの趣旨を尊重し、株主をはじめお客さま、お取引先さま、地域社会、従業員などのステークホルダーと良好な関係を構築しつつ、 透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行います。これにより、マツダの持続的成長および中長期的な企業価値の向上を目指し、コーポレートガバナンスの充実に継続的に取り組んでいます。

マツダを取り巻く事業環境が急速に変化する中、経営に関する意思決定のさらなる迅速化、取締役会における経営戦略などの議論の一層の充実と監督機能の強化を実現するため、監査等委員会設置会社を採用しています。また、株主総会、取締役会、監査等委員会等の法定の機関に加え、役員の指名・選任プロセスおよび報酬の決定プロセスの透明度を高めるため、取締役会の諮問機関として、「役員体制・報酬諮問委員会」を設置しています。

各詳細情報

体制

コーポレートガバナンス体制

取締役会
取締役会は、経営の基本方針、戦略などの重要な業務執行に関する事項について審議・決定するとともに、個々の取締役の職務執行の監督を行っています。なお、迅速・機動的な意思決定を可能とするため、定款の定めに基づき、重要な業務執行の決定の相当部分を経営陣に委任しており、これらの事項については、職務権限規程に基づいて権限が委任された社長以下の執行役員等が決定します。取締役会は14名で構成され、うち6名は独立性の高い社外取締役であります。取締役会は原則1カ月に1回開催されています。

 

【2023年度における主な検討内容】

  • 2030年に向けた経営方針の具体化および進捗管理
  • 各市場動向などを踏まえた段階的電動化シナリオ、電動化に向けた協業
  • 2030年度国内事業カーボンニュートラル実現に向けた計画
  • サステナビリティを巡る課題への取り組み、マツダグループ人権方針の策定および人権デュー・ディリジェンス活動計画
  • 内部統制やリスク管理体制の運用状況

監査等委員会

監査等委員会は、取締役会における議決権の行使および株主総会における取締役(監査等委員である取締役を除く)の人事、報酬に関する意見陳述権の行使などを通じて、取締役会の意思決定過程、取締役の業務執行状況および内部統制システムの整備・運用について監査を行っています。監査等委員会は5名で構成され、うち4名は独立性の高い社外取締役です。また、監査活動の実効性を確保するため、常勤の監査等委員を1名選任しています。

 

【2023年度における主な検討内容】

  • 監査方針、重点施策、監査計画、業務分担、監査活動が有効に機能するための監査の方法
  • 社外取締役への情報提供の機会と内容の充実に努め、多角的、外部視点に基づいた社外取締役の意見を監査へ反映する仕組み・手段の強化
  • 取締役(監査等委員である取締役を除く)・執行役員・主要部門長・関係会社経営者などの職務執行状況(経営戦略事項の策定・進捗状況を含む)の確認方法と強化
  • 組織監査としての内部監査部門・会計監査人との連携の在り方
  • 会計監査人による四半期レビューや会計監査人報告を踏まえた会計監査人による監査の相当性、会計監査人の選解任およびその報酬

会計監査人

会計監査は、有限責任あずさ監査法人が担当しています。会計監査業務を執行した公認会計士は、俵洋志、吉田幸司、金原和美であり、補助者は、公認会計士13名、その他38名(うち公認会計士試験合格者5名を含む)です。


執行役員
マツダは執行役員制度を導入しており、執行と経営の分離により、 監督機関としての取締役会の実効性向上を図るとともに、取締役会の審議の充実と執行役員レベルへの権限委譲などによる意思決定の迅速化を図るなど、経営効率の一層の向上に努めています。


役員体制・報酬諮問委員会

役員体制・報酬諮問委員会は、取締役会の諮問機関として、代表取締役3名および社外取締役6名で構成しています。同委員会は、役員の構成、候補者の育成・選定の方針、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資する報酬支給の方針および方針に基づく報酬体系、プロセスなどについて審議した上で、その結果を取締役会へ答申しています。

 

【2023年度における主な検討内容】

  • 取締役および執行役員の構成についての妥当性(経営方針の達成に向けて必要な多様性やスキルを確保していることの確認等)(2024年4月1日付および同年6月25日付役員異動)
  • 取締役および執行役員の報酬等についての妥当性(役員報酬が取締役会で決議された当社決定方針に沿うことの確認、規模・業種が当社に類似するベンチマーク企業群の報酬水準との比較など)
  • 取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く)、執行役員およびフェローの報酬制度の見直し(譲渡制限付株式報酬および業績連動型譲渡制限付株式報酬の導入、報酬構成比率の変更および業績連動型譲渡制限付株式報酬の業績指標の設定)

各監査担当の連携状況など

監査等委員会は、会計監査人と定期的な会合をもち、会計監査人の監査計画、監査上の課題、監査結果などを聴取するとともに、監査等委員会からも監査計画、監査の状況・結果など必要な情報を提供しています。このような双方向での情報交換を行うことで、緊密な連携の強化に努めています。また、実地棚卸の立会、有価証券の実査などの一部について、会計監査人と共同での監査も実施しています。さらに、監査等委員会、会計監査人および内部監査部門の三者間や、内部監査部門、内部統制および財務統制推進部門と定期的に会合を行っています。

監査等委員会は、内部監査部門から当社およびグループ会社を対象とした内部監査の計画・結果について報告を受けています。これに加え、内部統制および財務統制推進部門からも、当社やグループ会社を対象とした内部統制および財務統制強化のための推進活動に関する計画とその進捗状況について報告を受けています。また、監査活動の過程で入手した情報の提供、あるいは監査等委員会の視点からの要望を伝えるなど双方向の情報交換を行っています。

取締役会

取締役会のスキル・マトリックス

マツダは、事業環境が急速に変化する中、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて取締役会の役割・責務を実効的に果たすため、知識・経験・能力のバランスが取れ、かつ多様性のある取締役会の構成が必要と考えています。

各機関構成 (2024年6月末時点)
取締役会(監査等役員を含む) 人数 14名(社内8名、社外6名)うち、女性2名、外国籍1名
社外取締役比率 42.9%
女性取締役比率 14.3%
監査等委員会 人数 5名(社内1名、社外4名)うち、女性1名
役員体制・報酬 諮問委員会 人数 9名(社内3名、社外6名)うち、女性2名、外国籍1名
社外取締役比率 66.7%

社外取締役

マツダでは、取締役会による監督機能の一層の強化および経営の透明性の更なる向上を図るため、独立した立場の社外取締役を選任しています。社外取締役が、「社外役員の独立性判断基準」を満たす場合に、マツダに対して独立性を有していると判断します。

 

社外役員の独立性判断基準、選任理由

 

社外取締役のサポート体制

マツダは、社外取締役に取締役会において活発に意見を述べ、十分に意思決定に参画いただけるよう、必要に応じて、取締役会の前に上程案件について説明するとともに、執行役員へのヒアリングを設定、社内外の拠点の視察、社内外のイベントへの参加の機会を提供するなどしています。 

また、取締役監査等委員(常勤)は、社内の重要会議への出席や日々の監査活動を通じて得た情報およびこれらに基づく所見などを社外取締役に提供するとともに、関連部門が一体となり、社外取締役の意見を踏まえた情報提供と支援を行っています。 

取締役会の実効性の分析・評価

取締役会のさらなる実効性の向上に向けた取り組みを着実に進めるために分析・評価を実施しています。2023年度の分析・評価の方法、結果の概要は以下の通りです。

 

【分析・評価の方法】

取締役会事務局が作成した調査票に基づき、すべての取締役が、取締役会の実効性について自己評価を実施しました。また、本年はその結果を基に、特に継続して課題として認識された項目を中心に、取締役間で現状分析や改善策について話し合いを行った上で、取締役会にて目指す姿や対応方針に関して議論を行いました。
 

【主な調査内容】

取締役会の構成、経営戦略などに係る審議の状況、コンプライアンス・内部統制に係る審議の状況、情報提供(情報量、資料、説明、社外取締役に対するサポート)の状況、審議への関与
 

【結果の概要】

各取締役が経営戦略などの決定に適切に関与し、その内容を共有するとともに、社外取締役は、議案の事前説明、その他サポートにより、マツダの状況を把握したうえで、独立した立場から活発に意見を述べており、業務執行に対する監督機能が確保されていること、また取締役会における審議が活性化しており、更なる取締役会の実効性の向上に対して、各取締役が高い意識・期待を持っていることを確認しました。

さらに、定款に基づき、取締役会の権限が適切な範囲で代表取締役に委任されたことにより意思決定の迅速化がなされるとともに、審議時間を確保することにより議論の充実が図られていることが確認できました。 一方で、依然として当社を取り巻く事業環境の変化は激しく、先行き不透明な状況にあることから、改めて取締役会の機能・役割を明確化して共有したうえで、議題設定や審議プロセスのあり方について議論を行いました。議論を通じて、経営戦略等の重要案件を適時に上程し、十分な議論を尽くしたうえで決定すること、経営戦略やそれに関連する個別施策の進捗についての多様な視点からのモニタリングを継続強化すること、外部環境が著しく変化する中で社外取締役の意見を踏まえた検討を行えるよう早い段階から取締役間で情報共有・ 議論を行うことなどを取締役全員で確認しました。 今後も中長期的な企業価値の向上に向けて、毎年、取締役会の実効性の分析・評価を行い、不断の改善に取り組んでいきます。

役員の報酬

マツダの取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く)、執行役員およびフェローを対象に、より一層、株価変動のメリットとリスクを株主の皆さまと共有し、中長期的な企業価値向上に対する貢献意欲を高めることを目的として、2024年6月に役員報酬制度を見直しました。報酬については、基本報酬、業績連動金銭報酬、譲渡制限付株式報酬で構成しており、これらの報酬の割合は、中期経営計画を達成し、かつPSUの業績指標をすべて達成した場合に、おおむね以下のとおりとなるよう設定しています。
監査等委員である取締役および社外取締役の報酬は、業務執行から独立した立場であることを考慮し、固定額の基本報酬のみとしています。

 

※ 業績に連動しない譲渡制限付株式(RS:Restricted Stock)と業績に連動する業績連動型譲渡制限付株式(PSU:Performance Share Unit)から成る

役員の報酬割合のイメージ
報酬の種類 説明 業績指標
基本報酬 取締役の役位、職責に応じた固定額を支給。
業績連動金銭報酬 業績指標についての期初の業績見通しにおける公表値と、その達成度に応じた報酬額(役位、職位に応じて設定)を支給。
また、個人毎に期初に設定した目標の達成状況が反映される個人成績給を支給。
■連結売上高
■親会社株主に帰属する当期純利益
譲渡制限付株式報(RS) 役位、職責に応じた基準額を設定し、当該基準額に相当する数の株式を交付。
業績連動型譲渡制限付株式報酬(PSU) 役位、職責に応じた基準額に相当する数のユニット(1ユニット=1株換算)を付与し、業績評価期間(1事業年度)後、業績指標毎の目標達成の成否に基づき、ユニット数に応じて算定した数の株式を交付。 ■自己資本利益率(ROE)
■従業員エンゲージメント*
■顧客志向*
■温室効果ガス排出量削減

* 従業員意識調査のうち、従業員エンゲージメント、顧客志向に係る設問の肯定回答率

2023年度の役員報酬額

有価証券報告書 第158期(P59)

政策保有株式

(1) 政策保有に関する方針

政策保有については、事業戦略、取引の維持・強化等の事業活動における必要性および保有に伴う便益やリスクと資本コストの比較などを総合的に勘案し、中長期的な企業価値向上につながると認められる場合に、株式を保有し、保有意義が希薄と判断した株式は、当該企業の状況を勘案した上で売却を進めるなど縮減を図ることとしています。

 

(2) 取締役会での検証の内容

毎年、取締役会において、政策保有株式について個別に上記方針に沿って保有の適否を検証することとしています。2023年度の検証の結果、保有の合理性を確認しました。

 

(3) 議決権行使に関する基本方針

政策保有株式に係る議決権行使にあたっては、マツダおよび政策保有先の中長期的な企業価値向上に資するものかどうか等を総合的に評価し、議案への賛否を判断します。

グループガバナンス

マツダは、グループとして総合的な事業の発展と継続的・安定的な成長、および適切なガバナンスを実現するため、関係会社管理規程を制定し、グループ会社へ展開しています。マツダグループでは、関係会社管理規程に従い、各グループ会社において各国・各地域の法制に従い、コーポレートガバナンス体制を構築し、マツダとグループ会社間の連携強化を図っています。 

国内グループ会社
国内グループ会社は監査役を設置し、経営の職務執行を監査しています。マツダの取締役監査等委員と大会社の常勤監査役をメンバーとするグループ監査役連絡会の開催や、グループ会社の監査役をマツダの内部監査部門などで兼務することにより、各社のガバナンス体制の強化に加え、マツダとグループ会社間の連携強化を図っています。

海外グループ会社
海外グループ会社の多くは、現地の役員と内部監査部門、マツダの役員と内部監査部門および関係部門などが参加する監査委員会*を開催して内部統制に関する取り組みの審議や意見交換を行うことにより、グループ会社の内部統制の強化を図っています。また、その他の海外グループ会社についても適宜、内部統制に関する取り組みを充実すべく指導・支援を実施しています。

 

※ 内部統制に関して情報収集・意見交換を行う目的で独自に委員会を設置し運営。 

内部監査

内部監査の実施

マツダは、経営の健全化・効率化などを目的とし、マツダとグループ会社の内部監査部門が連携して内部監査を行っています。また、「マツダグループ内部監査基本規程」を制定し、内部監査の役割、使命、組織的な位置づけ、活動範囲などの基本的かつ共通の事項について規定しました。これに従い、マツダの内部監査部門主導のもと、国内・海外のグループ会社の内部監査部門との定例会議や教育を実施する一方で、グループ会社の内部監査計画の承認や監査報告の受領、改善状況フォローアップなども行うことで、監査方針のベクトル合わせや監査情報の集約を行っています。

また、グループ会社の内部監査部門の強化を図るため、マツダの内部監査部門によるグループ会社内部監査部門の機能評価と活動支援を行っています。マツダの内部監査部門には公認内部監査人(CIA)、公認情報システム監査人(CISA)などの有資格者が在籍しています。今後も監査スキルの向上のため、資格取得の奨励、社外研修への参加、勉強会の開催などに取り組んでいきます。

グループ会社の内部監査体制 
内部監査部門を有するグループ会社の監査は、各社の内部監査部門が独自、もしくはマツダの内部監査部門と共同で実施し、それ以外のグループ会社はマツダの内部監査部門が監査を実施しています。グループ会社の内部監査部門が行う監査については、品質を確保する観点からマツダの内部監査部門が年次監査計画や監査結果への助言、監査に関する情報提供などの支援を行っています。


システム監査の実施

マツダでは、マツダの内部監査部門および海外グループ会社の内部監査部門が、財務報告に係るIT全般統制の評価、および個別の業務やシステムにおけるITセキュリティなどに関わる監査を行い、ITリスクの軽減に努めています。

内部統制

マツダは、従業員の行動指針を示す「マツダ企業倫理行動規範」や財務統制に関するガイドラインなどを定めています。これらのガイドラインを踏まえ、各部門は、規程・要領・手順書などを整備し、内部統制の構築を推進しています。マツダグループは、関係会社管理規程に基づいて、マツダの関係部門が各グループ会社の教育や体制整備のためのサポートを行い、グループ全体の内部統制の構築を連携して推進しています。

マツダの内部統制

内部統制自己診断

マツダは、1998年から、内部統制に関する意識の浸透を目的として、内部統制自己診断を開始しました。現在では、この活動をマツダおよび国内・海外のほぼ全てのグループ会社で実施しています。内部監査部門や監査法人などの第三者ではなく、プロセス・仕組みを実際に整備・運用している各業務の管理者または担当者自身が、チェックリストを利用し評価する方法です。この活動を通じて、各部門・グループ会社では主体的に統制上の不備の把握やその是正活動を行っています。チェックリストはマツダの関係部門が確認し、必要な改定を行うとともに、新たに確認されたリスクをチェックリストに反映させるなど、常に適切で有効な診断が実施できるように運用しています。

内部統制サインオフの実施

マツダは、2006年度より、各部門・グループ会社のトップマネジメントが監査や自己診断を通じて、自組織の内部統制の状況と課題を確認していることを表明するサインオフの仕組みを取り入れています。2009年度からは、各部門・グループ会社における不備項目の早期把握を目的とし、四半期ごとにマツダの内部監査部門に報告する四半期報告制度を取り入れています。報告された不備に対しては、改善の納期と責任者を設定し、迅速な改善を行っています。