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マテリアリティ(重点課題)


マテリアリティの見直しの経緯

マツダは、有識者をはじめとするさまざまなステークホルダーの意見およびマネジメントや関連部門の考えを踏まえ、マツダグループが対応すべき社会課題を抽出し、2016年7月、マテリアリティ(重点課題)を特定、開示しました。

その後、ESG(環境・社会・ガバナンス)を巡る関心の高まりやステークホルダーからの期待の変化、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標、Sustainable Development Goals)の目標、さらにはマツダグループを取り巻く事業環境や社会環境の変化を受け、継続的にマテリアリティの見直しを行っています。

近年、自動車産業を取り巻く事業環境は一層複雑化し、各課題の相互関係も深まっています。こうした環境変化を踏まえ、マツダはこの度、2035年を見据えた、重要な経営課題を改めて明確化するため、マテリアリティを見直しました。

マテリアリティの見直しの考え方

今回の見直しでは、マテリアリティを社会課題への対応にとどまらず、持続的な企業価値向上を図るために、マツダが重点的に取り組むべき経営課題と実行の方向性を示すものとして捉えました。

マツダは、お客さまに価値で選ばれるブランドを目指し、「ブランド価値経営」を経営哲学に据えています。長期経営計画においても、商品開発、生産、販売、サービスに至るまで、お客さまを起点とした価値創造を経営判断の軸とし、世界中のお客さまに「走る歓び」をお届けするとともに、事業活動を通じた社会的価値の創出により、社会から必要とされ続けるブランドを目指しています。

今後も、社内外の環境変化や各マテリアリティに基づく取り組みの進捗を踏まえ、継続的に見直しを行うとともに、開示内容の充実を図っていきます。これらの取り組みを通じて、お客さま、従業員、パートナー、株主・投資家の皆さま、地域・社会との信頼と共感の循環を高め、「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」というPURPOSEの実現につなげていきます。

マテリアリティの見直し・特定プロセス

以下の4つのステップで見直しを行いました。

STEP1 外部環境の認識

2022年のマテリアリティの見直しで整理した「政治とガバナンス」「人と社会」「ヘルスケア」「技術とイノベーション」「環境資源」といった外部環境認識の枠組みを改めて確認した上で、それ以降に生じた電動化・知能化の進展、地政学的リスク、経済安全保障、気候変動への対応など、事業環境および社会環境の変化を整理しました。国内外のサステナビリティ動向やステークホルダーの期待に加え、サステナビリティ委員会のもとで将来課題を討議する「未来部会」での議論や有識者の知見も活用し、マツダにとってのリスクと機会を明らかにしました。これらを通じて、今回のマテリアリティの見直しの前提となる外部環境認識を更新しました。

STEP2 経営戦略に基づく重点課題の特定

ブランド価値経営を実践する上で優先的に取り組むべき重点課題を全社横断の検討チームで整理しました。チームには商品開発、生産、販売、サービスなど長期経営計画の策定に携わる各領域の責任者や役員が参画し、STEP1で更新した外部環境認識を踏まえ、経営戦略との整合性、マツダらしさ、サステナビリティ課題への対応を重視して議論しました。加えて、CEOとの対話を通じて経営トップの考えや意思も反映し、環境・社会へのインパクトの観点から重要性を評価した上で、5つのマテリアリティを特定しました。

STEP3 マテリアリティの妥当性確認

STEP2で特定した5つのマテリアリティについて、有識者へのヒアリングや投資家との対話を通じて得た外部視点を反映し、経営会議および取締役会での議論を経て、経営課題としての客観性と妥当性を確認しました。

STEP4 マテリアリティの進捗を示す指標・目標の設定および承認

STEP1からSTEP3で整理・特定したマテリアリティについて、関連する取り組み、指標、目標を設定し、進捗を継続的にモニタリングできる体制を整えました。これらについて経営会議で審議を重ねるとともに、取締役会へ報告して妥当性を確認した上で経営会議で承認しました。

特定したマテリアリティ

マツダは、マテリアリティの特定にあたり、持続的な企業価値向上とPURPOSEの実現に向けて目指す姿を下図のような循環図で整理しました。私たちは、地域・環境・社会への貢献を通じて、社会から信頼され、必要とされる企業であり続けたいと考えています。そのような企業としての姿勢や取り組みを通じて、マツダが提供する価値や存在意義への共感が広がり、長期的な関係の構築やファンの拡大につながります。また、お客さまや社会からの共感は、従業員の誇りを育み、一人ひとりが能力を発揮し、挑戦する原動力となります。さらに、そのような誇りは、志を同じくするパートナーへと広がり、共創を通じた互いの成長・発展につながります。そして、このような価値創出の積み重ねが選ばれ続けるブランド価値の創出につながり、新たな価値創出に向けた投資や挑戦を可能にします。

この循環を回し続けること自体が、ブランド価値経営の実践です。その状態を実現するために取り組むべき課題として、2035年を見据えた5つのマテリアリティを特定しました。この5つのマテリアリティは、循環図と1対1の対応関係になっています。例えば、「価値が明確になりファンが増加」という状態を実現するための課題が、「選ばれ続けるお客さま体験価値の提供」であり、「従業員のブランドへの誇りの醸成」という状態を実現するために取り組むべき課題が「制約を創造に変える力を生み出す人・組織の強化」といった関係性です。

ブランド価値経営の実践
マテリアリティ(2035年に向けて)

マテリアリティ特定の背景と指標・目標設定の考え方

5つのマテリアリティを重要と考えた背景と、各マテリアリティに関連する指標・目標設定の考え方を示しています。各指標は、マツダが目指す姿の実現に向けた取り組みの進捗や成果を測る重要な指標として設定しています。

マテリアリティ       関連する主な
ステークホルダー        
マテリアリティ特定の背景            指標・目標設定の考え方            
選ばれ続ける
お客さま体験価値の提供
お客さま・
販売会社
お客さまに選ばれ続けるブランドであるためには、品質への信頼を大前提に、お客さまに選ばれる商品と体験価値を提供し続けることが重要です。マツダは、お客さまの声を商品企画・開発に反映するとともに、販売会社とブランド価値経営の思想を共有し、商品・販売・サービスを含むあらゆる接点で一貫したお客さま体験価値の向上に取り組んでいます。また、販売会社とWin-Winの関係を構築し、優れたお客さま体験の提供を目指しています。
  • 「次もマツダを選びたい」「マツダの魅力を他者に伝えたい」というお客さまの思いを継続的に確認し、改善につなげていくため、再購入率・推奨意向指数を指標として設定しています。また、「マツダブランドと共に成長したい」という販売会社の共感・信頼の度合いを測る指標として、ディーラービジネスの価値を示すフランチャイズバリューを設定しています。
制約を創造に
変える力を
生み出す人・組織の強化
従業員
スモールプレーヤーであるマツダは、変化が激しく不確実性の高い事業環境において、規模で勝負するのではなく、限られた経営資源を生かして価値を創出する必要があります。私たちはこうした制約を新たな発想や創造を生み出す起点と捉え、制約を創造に変える人・組織の実現が不可欠と考えています。最大の経営資源である「ひと」が能力を最大限発揮できる人事制度や仕組みを整えるとともに、人を生かし育てる組織風土の醸成やDX/AXの活用を通じて、制約を創造へと転換し、価値創出を支える人・組織を目指します。
  • ブランド価値経営を実践するためには、従業員一人ひとりがお客さま起点で考え行動するとともに、組織全体に浸透させていくことが重要です。その実践状況や従業員の意識・行動変容を把握し、継続的な改善につなげるため、グローバル社員意識調査(GES)の結果を指標として採用しています。その中でも、お客さまを起点としたブランド価値経営の実践度合いを示す重要指標として、「顧客志向」と「パーパス」を設定しています。
  • 2022年に公表した2030経営方針の中で、生産性倍増を宣言しました。ブランド価値経営による成長と、人的資本への投資やDX/AXによる業務変革を通じた生産性向上の成果を測る指標として、間接従業員一人当たりの売上高を設定し、その倍増を目標としています。さらに、その実現を担う人材基盤を測るプロセス指標として、AX人材*数を設定しています。
パートナーと
実現する
サプライチェーン強靭化
ビジネスパートナー
(お取引先さま)
自動車産業は電動化や知能化の進展により、競争環境が大きく変化しています。また、競争力を維持・向上するために必要な投資の規模や領域は拡大・多様化しており、一社だけでそのすべてに対応することは困難です。こうした環境変化の中でもマツダが持続的に競争力を発揮し続けるためには、志を同じくするパートナーとの共創を通じて、強靭なサプライチェーンを構築することが不可欠です。お取引先さまとの相互の成長と競争力向上を図りながら、地域のものづくり基盤の強化につなげ、持続可能な価値創造を支えるサプライチェーンの実現を目指します。
  • 広島、山口を主な生産拠点とするマツダにとって、国内生産台数の維持は、地場サプライチェーンを維持・発展させ、持続可能なものづくりを実現するために不可欠であり、国内生産70万台以上を目標として設定しています。
  • 地場のお取引先さまとの相互成長を実現するため、2035年に労働生産性を2026年比で25%向上する目標を設定しています。これは、お取引先さまとWin-Winの関係を築きながら、地域全体の競争力向上と持続的な価値創出を実現していく取り組みの進捗を測る指標として位置づけています。






地域・環境・社会への
ポジティブな
インパクトの創出





株主・投資家、
グローバル社会・
地域社会、
次世代の人々(環境)
持続的な成長を実現するためには、中長期的な視点で環境・社会課題の解決に貢献することが求められます。マツダは、自動車メーカーとして、環境負荷の低減に取り組むとともに、お客さまの安全・安心を守ることを、重要な責任と考えています。独自の取り組みを通じたカーボンニュートラルの実現や資源循環の推進などにより、地域・環境・社会へポジティブなインパクトを創出することで、社会から信頼され、必要とされる企業であり続けることを目指します。
  • 自動車業界における重要性や事業への影響に加え、投資家をはじめとするステークホルダーの関心やサステナビリティ開示基準の動向を踏まえ、CO₂排出量や安全に関する指標・目標を設定しています。また、これまで開示してきた指標・目標との継続性も重視しています。
  • 人権デュー・ディリジェンスについては、グローバルで求められる人権尊重への対応を着実に推進するため、外部機関の評価指標を採用しました。
ブランド価値の
向上
上記すべての
ステークホルダー
各マテリアリティへの取り組みを通じて、お客さま、従業員、パートナー、株主・投資家の皆さま、地域・社会との共感・信頼・愛着を積み重ね、それらをブランド価値の向上につなげることで、長く選ばれ続けるブランドを目指し、持続的な企業価値向上を実現します。
  • 各マテリアリティの取り組みの成果を総合的に評価する指標として、ROS、ROE、売上高およびブランド価値評価を設定しています。
  • お客さま、販売会社、地域・社会などとの関係性の深化により、「選ばれ続けるブランド」を目指し、新車販売台数やお客さまにご納得いただいた対価に加えて、バリューチェーンビジネスを含むブランド価値経営による成長の総量を示す指標として売上高を採用しています。
  • ブランド価値評価は、ステークホルダーからの共感・信頼・愛着の蓄積状況を示す指標として位置づけています。

* PythonとMicrosoft Foundry に精通しているAX人材。

関連する取り組み・指標・目標

マテリアリティ       関連する主な
ステークホルダー        
取り組み                            指標            目標            対象年度*1     
選ばれ続ける
お客さま体験価値の提供
お客さま・
販売会社
  • お客さまの声を起点に要件を明確化し、「ひと中心」のクルマづくりにより「走る歓び」を実現
  • マツダを選び続け、他の人に推奨したくなるとお客さまに思っていただくための取り組み
    • マツダブランドへの共感を広げるコミュニケーション
    • お客さまに必要とされるマツダらしい商品・サービス提供
    • 徹底的にお客さまとつながることによるバリューチェーンビジネスの強化
    • おもてなしを軸とした優れたお客さま体験提供
再購入率米:業界平均以上*2
2025年度実績:業界平均以下
2030年度
推奨意向指数米:業界トップクラス*2
2025年度実績:業界トップクラス以下
2030年度
「100−1=0」の考え方に基づき、企画から製造まで一気通貫した品質のつくり込みと、市場問題の早期把握・早期解決———
  • 販売網健全化による販売会社収益の安定性確保、販売会社がそれを原資にさらに価値創出していく好循環を創出
  • そのため将来への成長に向けた商品、販売戦略を共有し、販売会社を支援し、信頼と共感を獲得
フランチャイズバリュー米:ノンプレミアムブランド中、5位以内*2
2025年度実績:ノンプレミアムブランド中、6位
2030年度
制約を創造に
変える力を
生み出す人・組織の強化
従業員
  • 従業員が「マツダで働く価値」を実感して、一人ひとりが高い専門性を発揮し、自律的に考え、成長し続けられる制度・仕組みづくり
  • 組織風土変革の取り組み「BLUEPRINT」を継続実施し、ブランド価値経営の定着・深化とお客さま起点で行動する文化を醸成

グローバル社員意識調査(GES)

  • 顧客志向
  • パーパス
  • 顧客志向:75% 日本企業トップレベル
    2025年度実績:日本企業平均並み
  • パーパス:65% 日本企業平均並み
    2025年度実績:日本企業平均以下
2030年度
  • DX/AXを推進し、付随業務を効率化するとともに、お客さま起点で創造的な仕事に集中できる環境を整備することで生産性向上を図る
  • MAXプロジェクト室やAI道場を中心に、AI・デジタル技術を活用できる人材を育成し、社内循環させる仕組みの構築
  • 開発領域では、MBDとAIを掛け合わせた「マツダ ものづくり革新2.0」を強力に推進しながら車両・技術開発を加速
間接従業員一人当たりの売上高倍増(2022年度比)2030年度
業務に精通し、かつAI技術に精通しているAX人材数400名
2026年3月末時点:52名
2030年度
パートナーと
実現する
サプライチェーン強靭化
ビジネスパートナー
(お取引先さま)
  • お取引先さまとの「平時共創活動」を通じ、ムラ・ムリ・ムダを構造的に取り除き、品質と原価低減をさらに強化、お取引先さまと共に国際競争力の向上を実現することでお客さまに選ばれ続けるブランド価値を提供する
  • マツダの技術・人材・知見を活用し、地場のお取引先さまのデジタル化人材育成および省人化により、地域・社会と共に国際競争力向上と人口減少に備えた持続可能なものづくり基盤を構築する
国内生産台数70万台以上
2025年度実績:73.5万台
2030年度
地場のお取引先さまの労働生産性25%増(2026年比)2035年

















地域・環境・社会への
ポジティブな
インパクトの創出















株主・投資家、
グローバル社会・
地域社会、
次世代の人々(環境)
  • 藻類由来バイオ燃料の開発・実装
  • 車載CO₂回収技術によるカーボンネガティブへの挑戦
  • 地域循環型エネルギーエコシステムの構築

などにより、将来世代に向けた、2050年カーボンニュートラルへの挑戦

Scope 1,2排出量削減率国内自社工場・事業所におけるCO₂排出量を46%以上削減(2013年度比)
2025年度実績:27%
2030年度
Scope 1,2排出量グローバル自社工場でのCN実現
2025年度実績:747千t-CO₂e
2035年
Scope 1,2,3排出量サプライチェーン全体でのCN実現
2025年度実績:58,833千t-CO₂e
2050年
限りある資源を生かしきる、資源循環と環境負荷低減の推進廃棄物発生量・埋立率グローバルでの生産・物流工程におけるゼロエミッション達成
2025年度実績:241,411t、0.33%
2030年
取水量削減率国内マツダグループ全体の取水量を38%削減(2013年度比)
2025年度実績:39%
2030年度
サステナブル素材検討中*3検討中*3
  • 人が主役、クルマが支える―安全思想「MAZDA PROACTIVE SAFETY」に基づく、技術開発の推進
  • クルマ・人・交通インフラの三位一体での取り組み

などにより、安全・安心なクルマ社会の実現に貢献

自動車技術により対策が可能であるものについて、自社の新車が原因となる死亡事故数自動車技術により対策が可能であるものについて、 自社の新車が原因となる死亡事故数ゼロ2040年目処
  • 人権デュー・ディリジェンス調査および是正活動
  • 苦情処理窓口の整備および救済対応
  • 外部とのエンゲージメントおよび情報開示

により、マツダのビジネスに関わる労働者などの労働環境や労働条件を改善

人権デュー・ディリジェンス社外評価結果自動車業界における優良レベルの体制・取り組みの達成2030年
ブランド価値の
向上
上記すべての
ステークホルダー
各マテリアリティにひもづく取り組みの成果としてのKGIROS5%以上
2025年度実績:1.0%
2030年度
ROE10%以上
2025年度実績:1.9%
2030年度
売上高7兆円
2025年度実績:4.9兆円
2030年度
ブランド価値評価検討中*3検討中*3

*1 マテリアリティにひもづく取り組み・指標・目標については、2035年を見据えた方向性のもと、一部は2030年を目標年次として設定しています。今後、事業環境や取り組みの進捗を踏まえながら、2035年を見据えた目標設定に向けて検討を進めていきます。
*2 他市場について、指標と目標を検討中。
*3 「サステナブル素材」「ブランド価値評価」の目標と対象年度は、2027年の開示に向けて検討中。