品質



基本的な考え方

マツダは、企業理念の実現に向け、お客さまにご満足いただくためには「商品」、「サービス」をはじめとする「あらゆる提供物の質」を高めていくことが重要であると考えています。「あらゆる提供物の質」につながる「仕事の質」、「マネジメントの質」、「職場環境の質」、「人間行動の質」を加えた5つの質を「Mazda Quality 5つの質」と定義し、品質方針に基づくこれまでの取り組みをさらに進化させ、全ての領域が一体となって協業し、マツダらしい価値を高め続けています。

品質方針

確かな仕事の積み重ねでお客様に喜ばれる商品・サービスを提供する

Mazda Quality 5つの質

品質向上について

マツダグループは、カーライフを通じてお客さまに「安心」、「信頼」、「感動」をお届けし、商品の価値を実感し続けていただくため、全ての業務の起点はお客さまと位置づけ、以下の品質保証の考え方に基づき、マツダグループ全体で品質向上に取り組んでいます。また、品質はモノの出来栄えだけでなく、お客さまの使用されるプロセスまで含めなければ品質保証は完結しないことから、お客さまを深く知り、お客さま起点で考え、行動できる人づくりに取り組んでいます。

品質保証の考え方

【「100-1=0」の考え方に基づくクルマづくり】

1. 企画から製造まで一気通貫した品質のつくり込み

クルマ100台のうち、お客さまにとってその1台は、100分の1台ではなく、唯一無二の1台であり、その1台に問題が発生すれば、お客さまにとっての価値はゼロであるという考え方のもと、マツダでは、お客さまの1台1台を大切に、全てのお客さまに良い品質をお届けするため、ゼロディフェクト(無欠陥)の実現を目指したクルマづくりを追求しています。ものづくりの原理原則に基づき、メカニズムをしっかりと理解し、関連部門が一体となり企画から製造まで一気通貫での徹底した品質のつくり込みを行っています。

【「100-1=0」を「100+1」に変えていくプロセスへの取り組み】

2. 市場問題の早期把握・早期解決

市場で予測できなかった問題が発生した場合、お客さまからの信頼を失うことになってしまいます(「100-1=0」)。そのため、お客さまのご指摘内容の早期把握と早期解決を目指した品質保証活動を推し進めています。

3. お客さまとの特別な絆の構築

常日頃からお客さまと誠実に向き合い、寄り添う気持ちでコミュニケーションを取っていくことで、お客さまとの間に、いつまでも信頼し続けていただけるような特別な絆を築いていくことを目指しています(「100-1=0」⇒「100+1」

 

マツダ品質マネジメントシステム(M-QMS※1

マツダは、確かな仕事を積み重ね、お客さまの「期待」や「信頼」に応え続けることができる商品品質、販売・サービス品質を提供し続けていくため 、ISO9001 ※2をベースにしたマツダ品質マネジメントシステム(M-QMS)を商品の開発から生産、販売・サービスに至る一連のプロセスに適用しています。海外生産拠点においても、現地従業員が自律して品質改善を行う仕組みを構築することに重点を置いており、ISO9001の認証を取得し、世界各地で生産・販売されるマツダ車の品質向上に取り組んでいます。

グローバル品質責任者は、お客さまの「期待」や「信頼」に応えることが出来ているか、市場に一番近い各地域の責任者から現地の意見や困りごとについて定期的にコミュニケーションをとり、早期問題解決につなげています。さらに、全地域の品質責任者が参加する会議にてベストプラクティスを共有し、グローバルでの品質保証プロセスの強化に取り組んでいます。 

 

※1 M-QMS:Mazda Quality Management Systemの略。

※2 ISO:International Organization for Standardizationの略。品質管理および品質保証の国際規格。

ISO9000シリーズ取得歴

取得年 取得ISO 対象
1994年 ISO9002 マツダ(株): 本社工場、防府工場生産車(国内自動車メーカー初)
1996年 ISO9001 マツダ(株): 設計・開発、製造、カスタマーサービス領域

2001年

ISO9001

マツダ(株): 用品、KD、商品企画、デザイン

(株)マツダE&T: 特装車(TESMA)など(対象領域を拡大)

オートアライアンス(タイランド)Co.,Ltd.

2007年

TS16949
(ISO9001セクター規格)

長安フォードマツダ汽車有限公司(現長安マツダ汽車有限公司)、長安フォードマツダエンジン有限公司(現長安マツダエンジン有限公司

2015年

ISO9001

マツダデメヒコビークルオペレーション、マツダパワートレインマニュファクチャリング(タイランド)Co.,Ltd.

2018年

ISO9001:2015

マツダ(株):本社、本社工場、防府工場、マツダデメヒコビークルオペレーション、オートアライアンス(タイランド)Co.,Ltd

IATF16949:2016
(ISO9001セクター規格)

長安マツダ汽車有限公司、長安フォードマツダエンジン有限公司(現長安マツダエンジン有限公司)

取り組み

お客さま起点の品質向上

マツダは、カーライフを通じてお客さまにご満足いただくには、お客さまのクルマの使い方や期待値などをより深く知る必要があると考えています。世界各国から寄せられるお客さまのご意見は、クルマづくりにおける一番の資産と考え、知見としてデータベースに蓄え、商品企画・開発などに反映していく取り組みを進めています。また、品質意識向上活動、品質教育などの活動を通じて、お客さま起点で考え、行動できる人づくりにも継続して取り組んでいます。

お客さまを知る

お客さまのご意見の知見化活動

世界各国から寄せられるお客さまのご意見を知見としてデータベースに蓄え、品質要件化、商品品質基準の適正化に反映するクルマづくりに取り組んでいます。

過去事例の共有

不具合現品の展示やe-ラーニングを通して、過去事例から得られた教訓を自分事化し、行動変容につなげる取り組みを行っています。

【2023年度実績】

・展示場体験およびe-ラーニング受講者数:約16,000名 

展示場体験 

e-ラーニングの受講

お客さま起点で考える

品質意識向上活動

トップマネジメントが全従業員に対して、自らの言葉で法令順守・品質への思いを発信することで、全従業員に自らの業務の振り返りや考える場を提供し、一人ひとりの法令順守と品質意識向上につなげていく「品質ミーティング」を定期的に実施しています。

品質教育

お客さま視点で自ら問題を発見・解決し、継続的改善ができる人材を育成することを目的として、従業員を対象に、職種や階層の節目に応じた教育コースを設定し、社内講師による品質管理教育を実施しています。

主な品質教育一覧(2023年度版)

  コース 内容
1 新入社員向け品質教育 品質管理の基本的考え方(顧客志向、継続的改善)を理解する。
2 階層別品質教育 各階層や職種の役割に応じた品質管理の考え方を理解する。
3 品質管理手法教育 品質管理専門手法の適用方法と実践力を身に付ける。

お客さま起点で行動する

QCサークル活動

従業員が自ら考え、問題解決していく、QCサークル活動を実施しています。この活動は、企業の基幹となる活動として、60年以上脈々と受け継がれています。毎年本社(広島)で開催しているオールマツダQCサークル大会は、国内販売会社、中国、タイ、メキシコなどの海外拠点からも参加するグローバルな活動として定着しています。

2023年度オールマツダ QCサークル大会 社長賞受賞 プラント技術部エコノミーサークル

企画から製造まで一気通貫した品質のつくり込み

マツダは、お客さまの多様なニーズに応え、より大きな信頼・喜び・感動を感じていただくため、商品の企画・開発段階における開発品質から、商品をお届けするまでの量産品質まで、一貫性を持った品質のつくり込みに取り組んでいます。

品質のつくり込みの確実な実行

マツダは、商品性能のさらなる向上、規制、電動化に対応する新技術の品質レベルの向上のため、設計段階(企画・開発)からものづくり段階(購買・車両生産・物流・サービス)まで一貫した「プロセス保証」に重点を置いて品質のつくり込みに取り組んでいます。お客さまの要求や期待を正しく理解したうえで、機能や性能を保証するための重要特性を明らかにしながら、設計からものづくりの各段階まで維持・管理できる仕組みを構築しています。なお、品質レベルの向上にはお取引先さまのご協力が不可欠であり、人材交流や技術交流などによる共創活動に取り組んでいます。

さらに、お客さまに商品を通じて「走る歓び」を感じていただくために、「走る歓び」を体現する機能や性能を、お客さまがクルマに乗る前から走り出した後までのシーンごとに明確にし、一貫して品質をつくり込んでいく取り組みを強化・継続しています。

重要特性を軸にした一気通貫でのプロセス保証

モノ造り革新

マツダは、5年から10年のスパンで未来を見据えて、将来導入する車種を車格やセグメントを超えて一括して企画することで、共通の開発方法や生産プロセスを実現し、より効率的に多品種の商品を開発・生産する「モノ造り革新」に取り組んできました。

開発領域は、この「一括企画」に基づき、車種・車格を超えて機能ごとの最適構造を共通化し、各車種へ水平展開しています。生産領域は、この「コモンアーキテクチャー構想」に基づき設計された製品を、高効率かつ柔軟に生産するためのマツダ独自の生産方式である「フレキシブル生産」を採用。台数変動・新車導入などにスピーディかつ最少投資で対応できる柔軟な生産体制を築き、ビジネス効率の向上を目指しています。2012年導入のCX-5からスタートした商品群やSKYACTIV技術は、モノ造り革新により、商品の開発・生産設備投資の効率化、大幅な車両コストの改善を実現しています。

また、コモンアーキテクチャー構想に基づいた設計は、最新の技術やデザインをスピーディに全商品へ展開することを可能にしています。マツダは、新世代技術の開発においても、一括企画・モデルベース開発による効率的な開発プロセスの進化を図っています。

モデルベース開発(MBD)

クルマに求められる機能は高度化、多様化する一方で、これに対応する車両の構造や制御システムは複雑化しています。複雑なシステムを限られたリソースで迅速に開発し続けるには、開発そのものを机上で効率良く行う「モデルベース開発(MBD)」が極めて重要となります。モデルベース開発とは、クルマ、制御、乗員、 走行環境といった開発対象を「モデル化」し、コンピューター上でシミュレーションを徹底的に行い、効率的に最適化する開発手法です。マツダはパワートレイン、車両開発などにモデルベース開発を適用し、設計から車両評価までシミュレーションでの開発を行っています。これにより、試作部品/実機検証を減らし、高度で複雑な技術や商品を少ないリソースで、品質を確保しつつスピーディに開発することに取り組んでいます。

このような取り組みをさらに強力に進めていくには、先端技術に詳しい大学やものづくりでご協力いただくお取引先さまと自動車会社が、モデルによるすり合わせ開発(SURIAWASE2.0)を具現化しなければならないと考えています。そのため、マツダは一般社団法人 MBD推進センター(JAMBE)の活動に積極的に参加し、日本の自動車産業全体でのSURIAWASE2.0の実現に向けて国内自動車メーカー・サプライヤー各社と共同で活動しています。

モデルベース開発
①クルマ、②制御系、③乗員、④環境の全てをモデル化(数値化)してつなげ、実車レスで、突き抜けた商品の開発を目指す手法

モデルを用いた高度なすり合わせ開発SURIAWASE2.0とは

2017年経産省資料に示されたSURIAWASE2.0 の概念を元に追記編集

 

学の研究〜中小部品メーカーの部品開発〜大手部品メーカーやOEMのシステム開発や車両開発までがモデルでつながり、実機のすり合わせ時期を待たずして、初期段階からデジタルですり合わせ可能にする。これにより、全体最適で高度なものづくりを、手戻りなく最高効率で行うことができる。モビリティ社会の最先端の開発コミュニティとなる。

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目指す姿:SURIAWASE2.0が実現した状態

研究・開発・生産の業務プロセスを革新し、「世界一の開発効率」と「新しい価値の創造」を達成する。

「MBD推進センターのご紹介」2022年10月版参照

市場問題の早期把握・早期解決

マツダは、充実したカーライフを通じて、お客さまに商品の価値を実感いただき、ご満足いただけるように、お客さまの一台一台を大切に、確実かつ迅速な品質改善と今後発売する商品の品質向上強化に取り組んでいます。

網羅的かつ迅速な品質改善

マツダは、市場問題の早期把握・早期解決を目指し、国内・海外の販売会社、外部調査結果や独自の市場調査結果などから収集した全ての品質情報を一元管理し、全社で同時共有する仕組みを構築しています。この仕組みと徹底した日々の進捗管理体制をもって、現象・原因の調査、改善策の決定、改善の実施、確認を行い、網羅的かつ迅速な品質改善に取り組んでいます。 また、お客さまからのご意見をベースとした取り組みに加え、コネクティビティ技術を活用して収集した車両情報に基づく品質改善も行っています。

品質改善の仕組み

【調査・分析・改善の事例】

  • マツダ独自の市場調査に基づくお客さまのご意見の収集
  • 第三者機関を活用した市場調査
  • ソーシャルメディア上のお客さまのご意見の分析
  • コネクティッドで得られる車両情報の解析

お客さまの安全・安心を最優先とした企業活動

マツダは、クルマの安全・安心を最も優先して対応すべきことと考え、厳格な品質保証体制のもと、各国の法規への適合性検査や、お客さまが使用する機能の検査を行い、お客さまに安心してお使いいただけるクルマづくりを行っています。 この品質保証体制は、開発部門、生産部門、品質部門がそれぞれ独立した立場からお互いの業務を監査することにより維持・管理しています。

リコール対応の手順(概要)

  • 各国の法規と手順にのっとった当局への届け出
  • ダイレクトメール・電話などによるお客さまへのお知らせ、 店頭での説明
  • 公式ウェブサイトにおけるリコール情報の開示

 

リコール件数(社会データ)

 

※ リコールの対応手順は国・地域により異なります。

お客さまとの特別な絆の構築

お客さまに寄り添うカスタマーサービスの実現

マツダは、お客さまに常に信頼いただけるカスタマーサービスを目指しています。そのために、マツダは従来の安全・安心・快適なクルマのご利用に加え、販売店のご利用も含め、お客さまにクルマのある生活をストレスフリーでお楽しみいただける保有体験を提供します。このチャレンジには、まずお客さまの困りごとやご期待を理解することが不可欠です。整備・修理ツールや整備資料の開発・提供、部品供給ネットワークの構築などの基盤づくりに加え、お客さまの感情や生活に寄り添い、行動できる人づくり、現場オペレーションの変革、お客さまとの新しい接点の創出を国内・海外販売会社と共に進めています。

ツール・整備資料

・ 迅速かつ効率的に最新の整備資料を閲覧し、効率的な部品検索発注業務などができるよう、インターネットを利用したサポート体制を整備

・安全・環境対応技術に幅広く採用されている高度な電子制御システムにも対応可能な、独自の故障診断機の配備

・マツダ車専用のツール(工具)およびその使い方に関する情報の提供

販売会社のサービス人財育成

・主要国や地域のトレーニングセンターにインストラクターを配置。マツダ車を整備する基本知識の研修に加え、開発・生産領域における工夫を新機構・新技術研修に取り入れ、グローバルでの人財育成を推進。研修手法としてリモート研修も積極的に活用し、受講ニーズ充足と受講効率改善を両立

・世界各国を代表する整備士や、お客さまの充実した保有体験の実現に尽力しているサービススタッフを対象としたグローバル称賛イベントを通じて、一人ひとりの成長・やりがい・誇りの醸成を支援

販売店における活動

マツダは、お客さま一人ひとりに寄り添った店舗体験の実現に向け、業務品質と従業員の働きやすさの向上を目的とした店舗主体のオペレーション改善活動を推進しています。当活動では、マツダの生産現場で培われたMPS(Mazda Production System:マツダ生産方式)の考え方を軸に、店舗スタッフ全員参加で、オペレーションのムダを削減しつつ、お客様にとって価値のある作業の質を高めることに取り組んでいます。昨年度からは国内のみならず、海外展開にも着手し、取り組み店舗を広げています。

また、マツダの販売会社は、お客さま満足に関する取り組みのレベルアップを図るために、優れたチームワークを通じてお客さま満足の向上に貢献した店舗スタッフ全員と、高い営業成果を出した営業、サービススタッフの成功事例を共有し、表彰する制度を設けています。

スタッフ・店舗表彰
制度 頻度 目的・内容
スタッフ表彰/店舗表彰 年1回 スタッフの成長に向けたサポートのため、営業スタッフ・サービススタッフの目標到達度や 技術スキルの向上度に応じて表彰する機会を設けています。また、各販売会社の店舗スタッフ全員がお客さま視点で目標に向かってチームワークを発揮し、成果を上げている店舗についても表彰しています。特に取り組みが優れた店舗の事例は、各地区の全国マツダ販売店協会主催の発表大会で共有、称賛しています。

お客さまの期待やご意見への対応

各国・各地域のマツダの販売会社は、お客さまのご意見・ご要望を伺い、誠実・正確・迅速にお応えし、マツダ本社と連携し販売・サービスに反映できる体制を整えています※1。また、公式ウェブサイトを通じて各市場の問い合わせ先やFAQ(よくある質問)※2をご紹介し、お客さまの利便性を高めています。

お客さまとの絆を深化させるため、「マツダブランドの体験」、「販売・サービスの対応」、「保有コスト」、「商品の魅力」など項目別にグローバルで調査を進めています。市場別に課題を明確化しながら、販売会社と連携し対応を進めています。お客さまの満足度を測る指標を設定し、PDCAサイクルを回す仕組みを構築しています。

 

※1 各国の販売会社情報

※2 国内からのお問い合わせ

体制図