トップメッセージ

マツダ株式会社 代表取締役社長兼CEO 丸本 明 マツダ株式会社 代表取締役社長兼CEO 丸本 明

自動車産業を取り巻く課題

自動車産業においては、人々の日常の懸念となっている地球と社会の課題を解決する取り組みを進めていくことが、企業としてますます重要な責務になります。特に、気候変動への対策として、カーボンニュートラル社会への移行を実現するためには、私たち自動車メーカーが果たすべき役割は非常に大きく、またその範囲もさまざまな領域にまたがります。また、新興国での自動車の普及拡大や、先進国を中心に高齢化の進展が進む地域においては、安全・安心なクルマ社会を築いていくことも私たちの使命の一つです。

課題解決に向けた取り組み

「地球」:カーボンニュートラルの実現に向けて

地球温暖化をはじめとする気候変動への対策は、喫緊の課題です。この課題解決への貢献として、マツダは、2021年1月に「2050年カーボンニュートラルへの挑戦」を宣言しました。実現に向け、まずは中間目標である「2035年にグローバル自社工場でのカーボンニュートラル実現」に挑戦します。この目標に向けては、省エネルギーの取り組み、使用するエネルギーを再生可能エネルギーに転換する取り組み、社内輸送などで使用する燃料においてカーボンニュートラル燃料の導入をする取り組みの3つの柱で進めていきます。
2021年11月、中国経済連合会が設立した「中国地域カーボンニュートラル推進協議会」の専門部会の一つとして設置された「カーボンニュートラル電力推進部会」に中国地域5県と地域電力会社やこのエリアの事業者の皆さまと参画し、活動を開始しています。業界の枠を超えて地域が一体となって、再生可能エネルギー普及促進の活動や、サーキュラーエコノミーの取り組みを進めています。
電動化については、外部環境の変動要素が大きく、経営を取り巻く環境の不確実性が高いとの想定のもと、2030年までの期間を3つに分け柔軟に対応していきます。第1フェーズでは、既存資産であるマルチ電動化技術を活用し、魅力的な商品と環境負荷の低減を両立していきます。第2フェーズでは、マルチ電動化技術を用いた新しいハイブリッドシステムとバッテリーEVを導入するとともに、後半にはバッテリーEV専用車を先行導入します。また電動化が先行する中国市場において、バッテリーEV専用車を導入します。第3フェーズでは、バッテリーEV専用車の本格導入を進めるとともに、電池生産への投資などを視野に入れていきます。各国の電動化政策や規制の強化動向、消費者のニーズや受容性などを踏まえ、パートナー企業と共に段階的に電動化を進めていきます。

「人」:心と身体の活性化につながる移動体験の支援実現に向けて

クルマの運転は、「認知」「判断」「操作」の連続であり、クルマを運転することにより、行動範囲を維持できると共に、移動体験は心と身体の活性化にもつながります。高齢化の進行する先進国では、ウェルエイジングの視点でも、人の力を最大限生かし、引き出すことが可能になります。
マツダが全社を挙げて最も大切にしている「ひと中心」の思想から生み出される価値を通じて、これからも、人々の日常に動くことの感動を創造し、誰もが活き活きと暮らす「愉しさ」と「生きる歓び」を提供し続けていきます。

「社会」:安全・安心なクルマ社会の実現に向けて

「事故のない安全なクルマ社会の実現」は、自動車メーカーが主体的に取り組むべき責務の一つです。
私たちの独自の安全思想「MAZDA PROACTIVE SAFETY(マツダ・プロアクティブ・セーフティ)」のもと、今後もIT技術の活用により、人の研究に基づいた高度運転支援技術の開発を継続し、運転者や同乗者はもちろんのこと、周囲の人も安全・安心なクルマづくりを進め、2040年を目途に自動車技術で対策が可能なものについては、自社の新車が原因となる「死亡事故ゼロ」を目指していきます。

ステークホルダーの皆さまからの信頼に応え続けます

中長期的に企業価値を向上させるには、その土台となる経営基盤の強化が不可欠です。すべてのステークホルダーの皆さまと良好な関係を保ち続けながら、コンプライアンスの順守を徹底し、公正で透明かつ迅速果断な経営の意思決定を行えるよう、コーポレートガバナンスを継続的に強化・充実させていきます。
2021年12月には、「サステナビリティ基本方針」を策定しました。また、マツダのガバナンス強化の取り組みをより透明性を持って社外のステークホルダーの皆さまにも共有できるよう、社外取締役を含む全取締役のスキル・マトリックスも新たに開示し、コーポレートガバナンスの強化とその開示の充実に努めています。
「サステナビリティ基本方針」で定めた「地球」「人」「社会」、そしてそれを下支えする「マネジメント」といったESGに関わる非財務情報についても、これまで以上に積極的に発信し、財務・非財務両面でステークホルダーの皆さまとの対話を重ねていけるよう取り組んでいきます。

マツダらしい独自価値を磨き、さらなる成長を目指します

マツダでは、「人を深く知る」という価値観を大切に、「ひと中心」の思想に基づく価値を独自価値として、今後も創造し続けてまいります。「ものづくり」では、人の能力を信じ、人間の研究を積み重ね、人の持つ能力の最大化と拡張を目指す「人間中心の開発哲学」に基づき、動くことの感動体験である「走る歓び」を独自な価値として磨き続けていきます。販売やサービスなどの「つながりづくり」では、お客さま一人ひとりを大切に、ご要望やお困りごとに迅速かつ的確に対応することを通じて、感情的なつながりを築いていきます。「ひと中心」の思想から創出する「ものづくり」と「つながりづくり」の独自な価値に、お客さまをはじめとするステークホルダーの皆さまが共感してくださり、そこから生まれる感情的なつながりで、マツダと長くお付き合いしていだだくことを積み重ねる「ブランド価値経営」を強化し、さらなる成長を目指してまいります。
これらマツダらしい価値を創造する源泉は、マツダグループの人の力です。働きやすさと働きがいを徹底追求し、従業員一人ひとりが誇りを感じて活き活きと働ける魅力的な会社を実現します。さらに、企業の成長につながる、従業員の能力開発支援を始めとするさまざまな投資を進め、従業員の活躍や成長を後押ししていきます。
今後も、グループ従業員、協業パートナーさま、お取引先さま、販売会社さまなどと思いを一つにし、あらゆるステークホルダーの皆さまと、お客さまを大切に、ブランド価値を向上させ、社会から信頼される企業となれるよう努めていきますので、引き続き変わらぬご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

マツダ株式会社
代表取締役社長兼CEO

丸本 明