1. 自らの意志でクルマを操作して移動する感動体験が「走る歓び」の価値
2. 「ひと中心」のクルマづくりで人とクルマが一体となる「意のままの走り」をさらに大きく進化させていく
3. お客さまの価値観の解像度を上げて商品やプロセスに織り込んでブランド価値経営を実践
メッセージのポイント
1. 自らの意志でクルマを操作して移動する感動体験が「走る歓び」の価値
2. 「ひと中心」のクルマづくりで人とクルマが一体となる「意のままの走り」をさらに大きく進化させていく
3. お客さまの価値観の解像度を上げて商品やプロセスに織り込んでブランド価値経営を実践
世の中が大きく変わる中、私たちは「マツダならではの価値創造」に集中するブランドに変わろうとしています。マツダならではの価値とは、現在も未来も変わらず「走る歓び」です。私は、リアルな関わり合いが希薄になりつつある時代こそ、自らの意志でクルマを操作して移動する感動体験「走る歓び」が生きる力につながると考えています。
マツダには「マツダ ロードスター」という「走る歓び」を体現する商品があります。お客さま同士がつながるコミュニティが世界中に存在し、いきいきと豊かな時間を過ごす「前向きに生きる人々の輪」が育まれています。「ロードスター」は1989年の発売から累計で約127万台をグローバルで販売しています。日本市場では、若年層のお客さまが増え2025年1~12月に1万台超を販売しました。これは1998年以来となる記録です。「走る歓び」は世界中の幅広いお客さまからご支持いただいています。
ロードスターのオーナーやファンの方々が集う軽井沢ミーティング
「走る歓び」を提供するため、特に「心が躍る走り」や「心を奪われるデザイン」などを磨き上げていきます。
マツダは、クルマ自体のスペックだけを重視せず、「人間がどう感じるか」に重きを置いています。感性工学に基づいた研究に他社に先駆けて取り組み、これを進化させた現在では「ひと中心」の哲学としてすべての開発活動の礎になっています。「ひと中心」は、自然で疲れにくく運転操作に適したドライビングポジションやペダルレイアウト、自然な車両挙動を作り出す独自の制御技術などを生み出しました。最新の研究では、脳科学にも踏み込んで人間の動きや感覚を数値化してシミュレーションしています。人とクルマが一体となる「意のままの走り」をさらに大きく進化させ、「心が躍る走り」を実現していきます。
加えて、デザインは私たちの独自の強みであり、これからも戦略的に磨き続けます。実際に自社の調査では、お客さまがマツダ車を選ぶ理由の一つはデザインですし、「魂動デザイン」は「マツダブランド=美しいデザイン」を浸透させてきました。私たちは、デジタルの時代でも人の手で創り上げた生命感あふれるフォルムを、今後も普遍的な価値として継承していきます。その上で、次の世代にむけては、「Neo Authentic」をテーマにさらに美しいデザイン表現を追求しつつデザイントレンドをリードするべく表現の幅を広げることに挑戦していきます。
さらに、お客さまに「走る歓び」を心から楽しんでいただく土台となる、安全・安心につながる技術も磨き続けています。すべてのマツダ車は共通して高い安全性能を誇り、各国で高く評価されています。米国では、米国道路安全保険協会(IIHS)から業界最多の9モデルで最高評価を頂きました。日本では、保有台数1万台当たりの死亡者数で日本メーカー平均を下回るなど、マツダ車での交通死亡事故者数は業界トップレベルまで減少しています。マテリアリティの指標・目標にもあるように、自動車技術で対策が可能なものについては2040年を目処に自社の新車が原因となる死亡事故ゼロを目指しています。
私たちはクルマの知能化やSDVにおいても「ひと中心」の思想を貫きます。知能化やSDVは、単なる自動運転の技術や機能を開発することだけではなく、「ひと中心」に基づく「人とクルマの関係性の進化」と考えています。SDVは、ソフトウエアを通じて、安全装備やコックピット、コネクティビティ、ドライビングダイナミクスなどの多様な機能を一体的に制御・進化させることができると考え、約10年前にシステム統合制御の専門部門を立ち上げるなど、早くから段階的かつ計画的にソフトウエア開発体制の強化を進めてきました。現在、MBD*やAIを活用しながら、「マツダ ものづくり革新2.0」と連動させて技術開発を加速させています。さらに「ライトアセット・協業戦略」に基づいて、マツダが磨くべき価値に経営資源を集中しながら、電動化やソフトウエア領域などでは志を同じくするパートナーさまと協業しています。
2026年5月に日本で発表した新型「MAZDA CX-5」には、トヨタ自動車株式会社さまをはじめとするパートナーの皆さまとの協業によって生まれた「MAZDA E/E ARCHITECTURE+」を採用しました。「ひと中心」とテクノロジーの融合による技術を実現し、マツダのSDVの第一歩を踏み出したと捉えています。
新型CX-5に搭載された刷新したヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)や進化した先進安全支援システムなどを通じて、お客さまにより快適で安心な移動体験をお届けします。このように、パートナーさまの技術力とマツダの統合力を組み合わせ、クルマの知能化においても「走る歓び」やマツダらしい価値を追求し続けます。
* クルマ・制御・乗員・走行環境といった開発対象を「モデル化」してコンピューター上でシミュレーションを徹底的に行い効率的に開発する手法。
マツダが目指すクルマづくりの実現の根幹には「ブランド価値経営」があります。ブランド価値経営のクルマづくりでの実践では、お客さまの価値観に対する解像度を飛躍的に上げて商品やプロセスに織り込んでいきます。そのために、現在、開発の初期段階で市場の仲間との共創活動を行うプロセスへの変革を進めています。また、原価当たりの顧客価値を高める「マツダ流 良品廉価」のもと、コストを最適化しながらお客さまの満足度をさらに高めることを目指したクルマづくりを行っていきます。
さらに、組織のあり方も変革しました。2026年4月にクルマ開発本部を新設しました。従来の商品開発は車両やパワートレインなどいくつもの本部を跨った活動となっていましたが、新設した本部ではそれらを統合することで、クルマ全体視点でお客さま価値の創出に向けた連携や協議などを機動的かつ柔軟に進めます。商品の先行企画から量産開発までを一貫して担当する部門として、部門名は「クルマをつくり出す組織でありたい」との志を込めた名称にしました。加えて、DX/AXや業務の断捨離などを進めるとともに、マツダの強みの一つであるMBDの強化とAIを掛け合わせたマツダ ものづくり革新2.0を強力に推進しながら、車両・技術開発を加速させています。
マツダは、「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」に基づき、美しい地球と心豊かな社会の実現を使命と捉え、クルマの持つ価値によって人の心を元気にすることにコミットしています。電動化においては、「マルチソリューション戦略」のもと、多様なパワートレインを展開するとともに、2030年までを電動化の黎明期と位置づけて技術開発を計画的に進めています。中でも、多くの市場でのインフラ整備の状況を考慮すると、高効率なICEは、HEVやPHEVに不可欠なユニットであり、今後も重要な選択肢であることに変わらないと考えています。BEVについては、2026年「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞した重慶長安汽車股份有限公司(長安汽車)さまとの協業で開発した「MAZDA EZ-6/MAZDA6e」のように、パートナーシップにより電動車を必要とする市場にスピーディーに商品を導入しつつ、将来の本格的な電動化時代に向けてマツダらしいデザインや乗り味といった匠の技を織り込んだ商品をお客さまにお届けしていきます。こうしてライトアセット・協業戦略による選択と集中でリソースを自社開発BEVに注ぐとともに、幅広い協業や技術共有によって従来手法比で開発工数を50%、開発投資を40%削減する見込みで、経営効率をさらに高め、将来に向けた持続的成長を目指しています。
新型CX-5は、「走る歓び」をさらに進化させるとともに、お客さまの使いやすさや快適性を大幅にアップデートして飛躍的に価値を高め、お客さまから「後部座席の空間が広くなり快適になった」や「ドアの開口部が広く、チャイルドシートの乗せ降ろしが楽になった」などの反響をいただいています。新型CX-5は、今年度の成長を担うとともに2030経営方針の収益モデルそのものを体現する商品として、ライフサイクルを通じて安定的な利益貢献が見込めるように確実に立ち上げていきます。
2027年にはタイの工場で生産する次期「MAZDA CX-3」を日本とASEAN市場に導入する計画です。「MAZDA2」に代わる新時代のエントリーモデルとして新たなマツダの価値を広げます。
さらに2027年にはCX-5のハイブリッドモデルを導入する予定です。このモデルは、燃焼技術で効率を飛躍的に高めたガソリンエンジン「SKYACTIV-Z」と独自のハイブリッドシステムを組み合わせ、マツダならではの「走りのHEV」を実現します。お客さまに、低燃費はもちろん、街中では静かで滑らか、高速では力強く、ワインディングではリズミカルな、心が躍る走りをお届けします。
また、HEVを4車種に拡大するとともに、ラージ商品のさらなる競争力を強化し市場の要望に対応していきます。長安汽車さまとの共同開発の電動車は発売済みモデルを含む4車種を中国や欧州など電動化の進展が早い市場に順次導入していきます。
電動化トランジションのロードマップ
加えて、2035年にマツダが目指す未来に向けた技術として、微細藻類由来のカーボンニュートラル燃料やCO2回収技術の研究開発と実証実験を着実に進め、「走る歓びは、地球を笑顔にする」ことを信じ、カーボンニュートラルのさらに先にあるカーボンネガティブの実現を目指します。
お客さまに価値や商品をお届けするために最も大切なことは、共に汗をかく人の力だと思っています。組織風土変革の取り組み「BLUEPRINT」によって開発領域のマネジメントと現場の姿は進化していると感じています。私は、双方向で密なコミュニケーションを通じて変革をリードし、関わるすべての人と一緒にマツダの未来を切り拓き、マツダが世界を驚かす価値をお客さまにお届けし続けることをお約束します。