1. お客さま価値を起点としたサプライチェーン構造変革を強力に推進中
2. お取引先さまとの「平時の共創」により価値創造と競争力を両立
3. 地域・社会と共に持続的なものづくり基盤を構築
メッセージのポイント
1. お客さま価値を起点としたサプライチェーン構造変革を強力に推進中
2. お取引先さまとの「平時の共創」により価値創造と競争力を両立
3. 地域・社会と共に持続的なものづくり基盤を構築
私は入社以来、購買領域で地場を含めた国内外のお取引先さまや社内の開発・生産部門と共にものづくりに携わってきました。2026年4月からCSCOとしてサプライチェーン全体の責任を担っています。私は、お取引先さまや開発・生産部門と一体となってお客さま価値を体現するものづくりを支えることが使命だと考えています。その実現に向けて、いかなる環境下でも安定的に高品質なものづくりを支えるサプライチェーンの構築と競争力強化を進めています。
現在、自動車のサプライチェーンを取り巻く環境は、地政学的リスクや原材料価格の高騰、各種規制対応に加え、電動化や知能化の進展により、複雑性と不確実性が大きく高まっています。バリューチェーンもデジタル化やソフトウエア化に伴って従来の垂直統合型から水平分業型へと変化しており、これまでの延長線上の発想だけでは、国際競争力を維持し続けることが難しくなっています。
マツダが目指していることは、不確実性の高い環境においても、資本効率を高めながら独自価値を磨き続け、「ブランド価値経営」を通じて持続的な企業価値向上を実現することです。私の領域においては、サプライチェーンを単なる部品供給網やコスト低減活動にとどまらず、お客さま価値を創出する基盤として捉え、サプライチェーンで確実に利益を出せる構造にしていくことが必要と考えています。ここでいう利益とは、財務成果だけではありません。お客さまに選ばれ続けることや、お取引先さまと共に成長することも将来の企業価値につながる重要な利益と捉えています。そのために、自社のみで完結するものづくりではなく、サプライチェーン・バリューチェーン全体を俯瞰した全体最適へ転換し、原価低減力と減産抵抗力を高めて国際競争力を強化できるサプライチェーン構造への変革を進めています。
具体的には、①種類数の削減、②マツダの生産拠点の近くで価値を生み出す「近場化」、③既存資産の活用、④ムラ・ムリ・ムダの徹底的排除の4つの柱に、私たちと志を同じくするお取引先さまとの長期的で強固な信頼関係に基づく「平時の共創」を中核に取り組んでいます。私たちが目指す共創は、部品単位の最適化にとどまらず、開発の初期段階からお取引先さまの専門的知見を生かして車両全体を見渡した視点でお客さま価値を創出することです。これにより、サプライチェーン全体で合理的かつ効率的なものづくりを実現し、原価低減とお客さま価値向上の両立を図っています。
私は、「共創とは1+1を3以上の成果と価値を生み出すもの」と考えています。サプライチェーン構造変革によって、お取引先さまの専門性とマツダのものづくり力を融合した新たな価値創出につながり始めています。
新型「MAZDA CX-5」における日本製鉄株式会社さまとの共創では、開発初期から材料と車両開発の知見を融合し、鋼材使用量を先代モデル比で10%削減するとともにプロセス上のムダ削減を実現しました。また、複数のドア部品メーカーさまとの共創「チームドア」の活動では、開発初期から一堂に会し、それぞれの知見を持ち寄って性能と生産性を両立する仕様の構築に取り組んでいます。個々の部品最適ではなく、ドア全体で最適解を導くプロセスへと転換し、開発・生産準備期間の短縮や品質の早期つくりこみを可能にすることを図ります。さらに、ワイヤーハーネスにおける矢崎総業株式会社さまとの共創では、開発の初期段階から知見を持ち寄って部品の仕様や構造の見直しなどを行い、労働集約型の製造では難しいとされた近場化を実現し、サプライチェーン全体でムラ・ムリ・ムダを徹底的に排除するとともに変化に柔軟に対応できる体制を構築しました。
このような共創の価値は、技術開発やコスト改善を超えて、人と人、企業と企業が志を共有しながら新たな価値を創造することにあります。お客さま価値という共通の目標に向かい、互いの強みや知見を持ち寄ることで、単独では生み出せない発想や挑戦が生まれます。共創の本質はブランド価値経営であり、既存の枠を超えた価値創造こそが、お客さまに選ばれ続けるブランドを支える競争力の源泉になると考えています。
マツダのサプライチェーンはグローバルに広がっていますが、その原点は創業以来育てていただいた広島と山口にあります。マツダは100年以上にわたる歴史の中で幾度もの困難を経験してきました。そのたびに支えてくださったのが、地域のお取引先さまであり地域社会の皆さまです。私は、地域との共創や協調、支援なくしてマツダの持続的な成長は成し得ない、と強く思っています。
地域のお取引先さまには、マツダのものづくりを長く支えてきた設備や技術、知見といった貴重な資産があります。私たちは、地域のお取引先さまと共に、それらを最大限に生かしながら、既存資産の活用(③)やムラ・ムリ・ムダの徹底的排除(④)に加え、近場化(②)にも取り組んでいます。近場化は、輸送負荷や在庫削減、BCP強化につながるだけでなく、地域に根差したものづくり基盤の維持・発展にもつながります。また、人手不足への対応としてAI活用や省人化にも取り組み、地域に蓄積された技術や知見を次世代につなぐ活動も進めています。
地域との共創は、個社の競争力強化だけでなく、地域のものづくり基盤を未来へつなぎ、日本の産業競争力や経済活力の向上にもつながる重要な社会的価値だと考えています。マツダは、2030年度に国内生産台数70万台以上、ならびに2035年に地場のお取引先さまの労働生産性を2026年比で25%増を指標・目標として設定しています。これらの達成に向け、お取引先さまと共にサプライチェーンの強靭化を目指していきます。
今後もCSCOとして、お取引先さまと共にサプライチェーン構造変革を進め、どのような環境下でも高品質な商品を安定的にお届けするとともに、選ばれ続けるブランドと企業価値向上の実現、そして日本のものづくりの発展に貢献していきます。