1. 「価格-あるべき利益=コスト目標」という規律に基づいたものづくりを徹底
2. 原価当たりの顧客価値を最大化する「マツダ流 良品廉価」の実現に向けた取り組みを推進
3. プロセス改革と文化定着により持続的な企業価値向上を実現
メッセージのポイント
1. 「価格-あるべき利益=コスト目標」という規律に基づいたものづくりを徹底
2. 原価当たりの顧客価値を最大化する「マツダ流 良品廉価」の実現に向けた取り組みを推進
3. プロセス改革と文化定着により持続的な企業価値向上を実現
マツダが進めている構造的原価低減や固定費削減は、「ブランド価値経営」に基づき、お客さま価値の最大化と収益基盤の強化を両立するための取り組みです。その根底にあるのが、私が重視している「アフォーダブルビジネスストラクチャー」です。これは「価格は市場やお客さまが決めるもの」と捉え、そこから確保するべき利益を差し引いた水準をコスト目標とする考え方であり、お客さまに共感していただける価値を適正な価格で提供することを追求しています。
マツダは、2000年代後半の世界的な金融危機(リーマン・ショック)後の厳しい事業環境の中で、「魂動デザイン」や「SKYACTIV技術」を核にブランド価値経営を推進し、お客さまと共に価値を創造するものづくりに大きく舵を切りました。一方で、昨今の事業環境の変化の中で、アフォーダブルビジネスストラクチャーや限られたリソースで価値を最大化する創意工夫の意識を改めて徹底する必要があると考えています。
こうした課題意識のもと、2025年に原価企画変革室を発足させて構造的原価低減活動を推進しています。開発や生産、物流における社内独自の判断基準がお客さま価値に立脚しているかを問い続けてムラ・ムリ・ムダの排除を進めるとともに、既存資産を生かした創意工夫によって価値を高めていくことに取り組んでいます。これにより、マツダらしい価値への集中や資産を最大限活用したものづくり、原価・固定費の最適化を同時に行い、原価当たりの顧客価値を最大化する「マツダ流 良品廉価」を実現します。この考え方を一過性の活動にとどめず、開発や購買、生産などあらゆる領域の業務プロセスと文化・風土に定着させることで、構造的原価低減や固定費削減を継続的に実現できる基盤を構築しています。
構造的原価低減については、新型「MAZDA CX-5」において、種類数の先代モデル比60%削減に向けた活動を進捗させ、先代モデルからの部品共有化も拡大し、既存資産を最大限に活用してお客さま価値につなげる工夫を講じました。また他車種の現行モデルでも、年次商品改良や規制対応の機会を捉え、企画段階から構造的原価低減の考え方を取り入れて商品を導入するたびにコストの最適化を大きく進めていきます。また、装備や仕様、性能目標など1,000を超える改善アイデアが全社から集まりました。一例を挙げると、加工基準など工程上の役割に対してお客さま価値につながらない過剰な要求や条件を見直しました。このような活動を継続することで、お客さま価値の視点でコストを最適化する一貫した考え方が徹底されてきています。多くが1件当たり数円規模の改善ですが、これを積み上げることで大きな成果につながっています。財務的には、2026年3月期は計画通り累計で約150億円、2027年3月期には630億円相当の低減を計画しており、1,000億円低減の目標に向けて順調に進捗しています。
また、現在、次世代商品群の開発に向けて議論しています。商品開発においては、企画段階から戦略や企画、設計、購買、生産、品質、物流、営業などが連携して協議を尽くすとともに、お客さまと直に接する各市場の営業部門の現場視点を取り入れた「開発と市場の共創」を進め、あらゆる領域が同じ船に乗って推進する体制を構築しています。こうすることで、お客さま価値とビジネス視点を両立した目標設定や達成に向けた商品前提を確立するプロセスに変革していきます。
固定費も同様に、あらゆる分野でお客さま価値の観点から優先順位を明確化し、2026年3月期は424億円の削減を達成しました。一方、新型CX-5の導入期となる2027年3月期は、固定費の削減は継続しつつ、販売成長を最優先して必要なマーケティング投資や各市場の販売現場への投資は戦略的に実行していきます。
加えて、組織風土にも変化が生まれています。週次で行っているコスト改善に関する会議では、上下関係にとらわれず活発に議論が交わされており、全員が主体的に取り組む文化が醸成されています。他の役員や幹部などからも同様の感想が寄せられています。この意識の変化は、持続的な競争力の源泉になると認識しています。
全員が主体的に取り組み活発な議論が交わされる週次会議の模様
外的環境の変化はコントロールできませんが、原価や固定費のたゆまぬ最適化により、損益分岐点の改善と利益率の向上を図り、経営のレジリエンシーを強化していきます。2030経営方針 PHASE2において、構造的原価低減1,000億円、固定費削減1,000億円の構造改革をやりきります。また、その先においても、マツダ流 良品廉価を実現する商品・技術の開発プロセスを進め、継続的な収益力の向上を図ります。
原価改善活動の主体は、特定の部門ではなく、マツダに関わるすべての人です。全員がコストを自分ごととして捉え、継続的に改善に取り組む風土を根付かせることが、経営基盤の強化につながり、持続的な企業価値向上を実現すると考えています。また、こうした考え方やプロセス、行動が次世代へと着実に継承されるよう、人材育成にも重点的に取り組んでいます。構造的原価低減や固定費削減の取り組みと人材の育成を一体で推進し、ブランド価値経営をマツダの「当たり前の文化」として定着させることで、環境変化に左右されにくい強固な事業基盤の確立を目指していきます。
荷姿改善に取り組んでいる様子