「駐車が苦手」という声ひとつをとっても、その理由は実にさまざまです。AIによる解析により、空間認識の難しさ、集中力の持続、経験不足による自信のなさなど、駐車に対する苦手意識の背景にある多様な要因が明らかになりつつあります。一人ひとりの運転特性を深く理解することで、より一人ひとりに合った運転支援の可能性が広がっているんです。
つまり、同じ運転支援でも、人によって受け取り方が異なる可能性があると考えています。経験の少ない方には、3D映像で俯瞰的な視点を提供すると効果的ですが、別の方にとっては、かえって混乱の原因になりうることもあります。高齢の方で認知機能に変化が見られる場合は、運転中の判断をサポートする際に、素早く、穏やかな声かけで伝えるといった工夫が有効かもしれません。
私たち人間は完璧ではありません。だからこそ、それぞれの人に寄り添ったかたちで、事前にミスを防ぐための提案をしたり、気づきを促したり、そしてミスが起きた際にもサポートしたりすることが大切だと考えています。
ウェルビーイングという概念は、単純にマイナスをゼロにする方向性だけでなく、「アクティブに活動できる」といったプラスの方向に持っていくことも重要です。ドライバー一人ひとりに必要な支援ポイントを見極め、最終的に「移動の歓び」にどうつなげていくかを研究できるのが、いまの仕事の面白いところです。