お客さまの心と身体の活性化



基本的な考え方

マツダは、「ひと中心」の価値観のもと、人々の日常に運転すること、移動することの感動体験を創造していきたいと考えています。

  •  クルマのデザインを芸術の域まで高め、見る人全ての心を豊かにする「魂動デザイン」のさらなる深化
  •  人の能力を引き出し、心と身体を活性化させる「人馬一体」感のさらなる追究
  •  居心地の良い店舗空間を提供するなど、お客さまと特別な絆を築くためのイベント・体験の充実

取り組み

お客さまとの特別な絆づくり

お客さまと特別な絆を築くために必要な3つの視点

マツダは、お客さまと特別な絆を築くためには、お客さまがマツダ車を保有している間だけでなく、購入前、さらにクルマを手放した後といった、お客さまとの全ての接点を視野に入れる必要があると考えています。この考え方から、販売・マーケティング・カスタマーサービスなど関係部門合同で取り組むべき3つの視点を定め、それに基づいて各国・各地域のグループ会社が、現地の文化・風土に適した具体的な施策を実施できる体制構築を進めています。

3つの視点
  • お客さまの人生に寄り添う。幼い時は家族が運転するクルマに乗り、やがて自らカーライフを楽しみ、高齢となっても誰かに乗せてもらうクルマ。その長い歳月、マツダとマツダ車を身近に感じ続けていただくこと
  • 関係性を継続的に保つ。いつもワクワクする発見や刺激を提供し、お客さまが時間の経過とともにマツダとの絆をより強く感じていただくこと
  • 「マツダだからできる」「マツダならでは」という視点にこだわる(例:本社のある広島へのこだわり、「走る歓び」にかける想いなど)
全ての接点

クルマづくりの考え方

マツダは、世界の自動車産業を取り巻く環境の急激な変化を踏まえ、より長期的な視野に立ち、クルマの持つ魅力である「走る歓び」によって、「地球」「人」「社会」それぞれの課題解決を目指す技術開発長期ビジョン「サステイナブル"Zoom-Zoom" 宣言2030」を2017年に公表しました。マツダは「人」を主体としたアプローチで新たなカーライフ・クルマ文化の実現のため、さまざまな研究・開発に取り組んでいきます。

  • 「 クルマに命を与える」という哲学のもと、見る人全ての心を豊かにする「魂動デザイン」のさらなる深化
  • 人の能力を引き出し、心と身体が活き活きとする体験をお届けする「人馬一体」感を追究するためのSKYACTIV技術の開発

魂動デザインの深化


マツダは、クルマを単なる鉄の塊ではなく、「命あるもの」だと考えています。ドライバーとクルマの関係を、まるで愛馬と心を通わせるかのように、エモーショナルなものにするために追い求めつづけた造形が、マツダの「魂動デザイン」です。深化した魂動デザインでは、「引き算の美学」、すなわち省略することによって生まれる余白の豊潤さを大切にし、要素を削ぎ落としたシンプルな造形、そして研ぎ澄まされた繊細な光の表現でクルマに命を吹き込むことに挑戦しています。 2024年に発表したCX-80のデザインコンセプトは「Graceful Toughness」。SUVとしての力強さとともに、優雅な存在感の表現に注力しました。空間の豊かさと優美さを両立したキャビンの造り込みによって、車格に見合った、ゆとりを感じさせるデザインとしています。


MAZDA CX-80


人馬一体感の追究:車両運動制御技術

マツダはエンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーなどのSKYACTIV技術の個々のユニットを統合的に制御することで、「人馬一体」の走行性能を高める車両運動制御技術「SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICS(スカイアクティブ・ビークル・ダイナミクス)」を開発しています。ドライバーの運転技量によらず、より多くの方にクルマと一体となる気持ちのよいドライビング体験をしていただきたいと考え、マツダならではの制御技術である「G-ベクタリング コントロール(GVC)」を2016年に開発しました。低速の日常走行からワインディング、高速道路、緊急回避時まで幅広い走行シーンで、誰もがリラックスして思いのままにクルマを操る感覚と安心感を提供しています。さらに、2020年には、電動化技術を活用し、全方位の操作に対する車両応答の一貫性を高め、シームレスなGのつながりを実現した「エレクトリック G-ベクタリング コントロールプラス(e-GVC Plus)」を導入しました。これにより、さらに滑らかな車両挙動を実現しています。

人馬一体感の追究:車両構造技術

「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー)」は、マツダの人間中心の設計思想をさらに突き詰め、人間の体が本来持っているバランス保持能力を最大限に活用した技術です。シート、ボディ、シャシー、NVH性能など各機能を見直し、クルマとして全体最適の視点で開発に取り組み、商品化しています。この技術により、究極の「人馬一体」感や意のままの走りをより高いレベルで提供することが可能となります。

 

※ 静粛性・騒音、振動、ハーシュネス (NVH: Noise, Vibration, Harshness)

ラージ商品群に採用される技術と価値

マツダは、新世代商品群のMAZDA3からスモールとラージ、2つのプラットフォーム・アーキテクチャー構想で開発してきました。スモール商品群では、異なるパワートレインや電動化技術をフレキシブルに開発、生産できる車体構造「SKYACTIV マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」にもとづく一括企画により、内燃機関の進化と電動化技術の拡大を継続し、走る歓びを高めてきました。

そして、CX-60から始まったラージ商品群では、「SKYACTIV マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」で縦置きパワーユニットの直列6気筒ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンを新規開発することにより高出力化と環境性能を両立しています。

さらに、新規開発のFRベースプラットフォームと縦置きパワーユニット、さらには小型軽量化したトルコンレスオートマチックトランスミッションとのモーター挟み込みの配置により、マイルドハイブリッドやプラグインハイブリッドといった電動化技術の導入を可能にしました。また、サスペンションの一新やAWDの進化、プラグインハイブリッドのバッテリー床下配置による低重心化などにより、全てのパワートレインバリエーションで軽快な車両運動性能を提供します。日常のさまざまなシーンで快適な乗り心地を提供し、人馬一体の意のままの走りをお楽しみいただけます。

多様なお客さまニーズへの対応

マツダは、各国・各地域の文化やトレンドを考慮して、お客さまに最適な形で商品やサービスを届ける体制づくりを進めています。日本・北米・欧州・中国の開発拠点を中心に市場やお客さまの情報をグローバルで収集、現地でのテストを実施しながら、お客さまのニーズに応える商品を開発し、サービスを検討しています。マツダは、お客さまにマツダブランドの認知を高めていただくために、個別車種の訴求ではなく、マツダブランド共通の考え方やものづくりへの思いを理解していただくことに焦点を当てています。

ニーズにきめ細かく応える事例

■ 女性視点での研究・企画

女性ドライバーの増加に伴うドライバーの多様性に対応するため、さまざまな部門の女性メンバーにより組織されるチームで、使いやすいクルマの企画や研究をしています。

■ カスタマイズ事業(国内)

少数派のお客さまニーズにも対応していくことがクルマ社会を豊かにしていくことにつながると考え、国内では以下のような多様なクルマを提供しています。

乗用架装車

新型コロナウイルス感染症軽症患者等向け搬送車両 ・新型コロナウイルス感染症患者への対応が求められる自治体・一般企業などにおいて感染リスクを低減する移動手段として従事されている職員の方々やご利用になる患者さまの安全/安心な搬送をサポ-ト(現在は受注終了)
教習車 ・運転免許取得時に初めて乗るクルマとして、運転の楽しさが感じられ、正しいドライビングが身につくよう、随所に工夫をこらした仕様の教習車を提供
福祉車両 ・「介護する方の使い勝手の良さと、介護を受ける方の乗り心地を最優先に」を開発コンセプトに、1995年に国内メーカーとして初めて福祉車両を発売
・誰もが自分の意志で移動したり、行動したりすることをサポートすることで、より豊かな人生を過ごしていただくことを目指してSelf-empowerment Driving Vehicleを開発し、ラインアップに追加
【福祉車両ラインアップ】
・助手席回転シート車:助手席のシートが回転する車両(MAZDA2)
・助手席リフトアップシート車:助手席のシートが回転・昇降する車両(CX-5)
・車いす移動車:車いすのまま簡単に乗車が可能な専用スロープを装備した車両(フレアワゴン)
・手動運転装置付車:「走る歓び」を左右の手のみの操作で味わうことができる福祉車両(ロードスター、MX-30)
商用車・特装車 ・ビジネスニーズにお応えするためさまざまな商用車をラインアップ
・さらに高度なビジネスニーズに対応するため、機能を高めた特装車「TESMA(テスマ)」シリーズを開発し、ボンゴ、タイタンに保冷車、冷凍車、ゲート車などを提供

マツダ教習車

福祉車両 助手席回転シート車(MAZDA2)

Self-empowerment Driving Vehicle(セルフエンパワーメントドライビングビークル)


Self-empowerment Driving Vehicleは、誰もが自分の意志で移動したり、行動したりすることをサポートすることで、より豊かな人生を過ごしていただくことを目指して開発しました。開発するにあたっては、多くの下肢障がい者の方へ困りごとのヒアリングを実施しました。そして、多くのお客さまに共通することの解決と、マツダがお届けしたい「走る歓び」を実現するために、「運転」「クルマへの乗り込み」「車いすの積み込み」のシーンに焦点を当てて開発を進めました。

2022年に発売したMX-30 Self-empowerment Driving Vehicleは、「わたしらしく生きる。誰もが好きな時に好きなところへ。自分の意志で行動する、移動する、イキイキと人生を楽しむ」をコンセプトに開発した手動運転装置付車です。装備の一例として、運転システムにアクセルリングを採用した手動運転装置を搭載しています。手動運転とペダルによる運転操作の選択が簡単に行え、足の不自由な方が運転したり、友人やご家族と運転を交代しながらドライブをお楽しみいただけます。また、車いすをご利用の方の運転席への乗り移りをスムーズにする「移乗ボード」もご用意しています。購入時にはオフィシャルウェブサイトを通じて、専門知識を備えたスタッフがオンラインにてお客さま一人ひとりのご相談やご要望を伺い、お客さまに合わせた装備をご提案しています。

2022年12月、第57回機械振興賞(主催:一般財団法人機械振興協会)において、MX-30 Self-empowerment Driving Vehicleが「経済産業大臣賞」を受賞しました。

マツダは、カーライフを通じて人生の輝きを人々に提供できるよう、今後も開発を進めていきます。

 

※ 機械工業にかかわる優秀な研究開発およびその成果の実用化によって、機械工業技術の進歩・発展に著しく寄与したと認められる業績に対して授与されるもの。その中で「経済産業大臣賞」は最高位の賞となる。


MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle


マツダブランドの発信および体験の機会の提供

マツダは、お客さまがカーライフを通してマツダブランドとのコミュニケーションの機会を持っていただき、マツダとの絆を深めていただくことを目的とした活動を推進しています。

新コンセプトの販売店「新世代店舗」

マツダは、お客さまにマツダの魅力を感じていただくため、新コンセプトの販売店「新世代店舗」を2014年度より国内・海外に順次展開しています。店舗デザインは、マツダのデザイン本部が監修し、モノトーンとシルバーで配色された内外装に、黒を基調とした専用のファシリティサインや、木目を用いたアクセントにより、品格・質の高さと温かみが調和した居心地の良い空間を実現しています。海外では、各国の嗜好などを踏まえながら現地の販売関連会社と連携し新世代店舗の展開を進めています。

 

※ 店舗で使用するブランドマークや店名を記したもの。


【国内】新世代店舗 


【米国】新世代店舗


会員制サイトCLUB MAZDA

「CLUB MAZDA」は、マツダ車のオーナーの方だけでなく、マツダに興味・関心をお持ちの方が登録いただける無料の会員サービスです。登録いただくと、各種申し込みに関するサービスをご利用いただけるほか、クルマの楽しみ方や、出かけたくなるようなコンテンツなどを提供しています。


CLASSIC MAZDA

 

「CLASSIC MAZDA」は、「新しいクルマだけではなく、古いクルマをも大切にできる社会を育み、世の中の自動車文化にも貢献したい」という考えのもと、初代「ロードスター」のレストアやパーツ復刻から開始し、「RX-7」の復刻パーツなどサービスを拡大しながら7年目を迎えました。

NAロードスターのレストア納車式に、ご家族で広島本社へ来られたお客さま
NAロードスターのレストア納車式に、ご家族で広島本社へ来られたお客さま

NAロードスターのレストア納車式に、ご家族で広島本社へ来られたお客さま

マツダオフィシャルグッズによるお客さまとの絆づくり

創立100周年を記念して誕生したマツダオフィシャルグッズ「MAZDA COLLECTION」は、お客さまが生活のさまざまなシーンでマツダの世界観を楽しんでいただくことを目指し、マツダデザイン本部監修のもと、企画・開発しています。今後もマツダブランドの世界観を反映したこだわりのグッズやマツダブランドへの親しみを感じていただけるグッズを作り続けていきます。


クルマを通じたいきいきとする体験機会の創出

マツダは、「人が本来持っている能力や感性を呼び覚ますためにはクルマがどうあるべきか」を真剣に考えています。人を深く研究し、ストレスや不安を取り除くことで、人が気持ち良く安全に最大のパフォーマンスが発揮でき、ドライバーや同乗者が快適に移動することの愉しみを感じていただける、「人を中心に置いたクルマづくり」を一貫して行ってきました。そして、このような考え方で作られたクルマを使い、お客さまご自身が所有するクルマで参加できる参加型モータースポーツや、日常の運転の質を高めるドライビング・アカデミーの取り組みを推進してきました。クルマ本来の操る愉しさを体験する機会を増やし個々人の技量に応じて運転技術を高め、安全なクルマ社会の発展に貢献します。


倶楽部 MAZDA SPIRIT RACING

倶楽部 MAZDA SPIRIT RACINGは、モータースポーツをより身近で気軽に楽しんでいただけること、そして、ジャンルを問わず道具を操ることやスピードスポーツを楽しんでいる方と、その世界に憧れ応援されている方を「共に挑む」のスローガンのもとでつなげることで、一緒に盛り上げていきます。2023年からは、ドライバー本人の夢を叶え、モータースポーツのすそ野の拡大に貢献し、モータースポーツの文化を発展させることを目的に、バーチャルの世界からリアルの世界へ挑戦する機会を提供する2つのチャレンジプログラムを実施しています。

  • 「eスポーツ」から実際のレースへの参加をサポートする「バーチャルからリアルへの道
  • パーティレースなどのワンメークレースからスーパー耐久シリーズへの参加をサポートする「S耐への道

 

お客さまに「走る歓び」を体感いただく活動の促進

マツダは、初心者から上級者までが気軽に参加し、「走る歓び」を体感しながら、安全・環境に配慮した運転を学んでいただける活動を促進しています。特別協賛しているサーキットイベントにおいては、日常での運転技術を学ぶドライビングレッスン、初心者から上級者までが気軽に参加し楽しめるレースを設定しています。また、各活動において、お客さまと従業員のコミュニケーションの機会を設け、「走る歓び」の魅力をお伝えすることでお客さまとの絆づくりを進めています。


協賛イベント事例

マツダファン・エンデュランス(通称:マツ耐)」(主催:各開催サーキット/主管:(株)ビースポーツ)

レース用に特別な改造を必要とせず、マツダ車ユーザーが普段お乗りのクルマで気軽に参加できるサーキットイベント。安全・環境への配慮という観点から、専門のドライビングアドバイザーが待機し、安全面など運転に関するアドバイスを行うほか、レース中のガソリン給油を禁止し燃費を考慮しています。

また2023年9月には、シリーズ戦とは別に特別戦「ECOマツ耐」を初開催しました。マツダグループの販売会社から参戦を募り、レース時間もシリーズ戦の150分から180分に延長し、より安全に、より燃費に厳しい耐久レースをお客さまとマツダグループ社員が一緒に楽しんでいただくことを目指して開催しました。

 

【2023年度実績】

・参加者数:890名(シリーズ戦全6戦+特別戦1戦実施)

「マツダファン・エンデュランス(通称:マツ耐)」



マツダ・ドライビング・アカデミー(主催:(株)ビースポーツ/富士スピードウェイ(株))

マツダ・ドライビング・アカデミーは、日常の中で安全・安心にドライブを楽しみ、充実した生活を送っていただけるよう、理論と技術を学んでいただく運転教室です。サーキットの広場を使い、普段出来ない走る、曲がる、止まるの体験に加えて、運転姿勢や滑らかな運転操作について専門のインストラクターがアドバイスします。

 

【2023年度実績】

・参加者数:155名(計7回実施)


マツダ・ドライビング・アカデミー