入社3年目の広報社員とMAZDA3 SEDAN:カーシェアでもレンタカーでもなく、「自分のクルマ」を持つ意味

-クルマ好き社員が描く、「クルマ好きの会社」の未来 vol.1 -

「あなたはクルマが好きですか?」

 

若者のクルマ離れといわれるこの時代でも、

その問いに胸を張って、「はい」と答える若者が、マツダにはいます。

十人十色の形でクルマを愛する社員たち。

 

この連載では、若手社員たちの愛車との出会いの物語、そして、愛車と共に作り上げていきたい「クルマ好きの会社」の未来について取材しました。

乗っていてテンションがあがるクルマ

地元の友人が尾道で撮影した伊勢田。写真が趣味の伊勢田だが、撮られる側に回ることもある。

「もともと僕はクルマが身近にあったわけではないんです」

そう語るのは、入社3年目、24歳の伊勢田直紀(いせだ・なおき)。

出身は神奈川県横浜市です。

「実家には、僕が幼稚園の年長くらいまでクルマがあったような。そこから親の海外赴任を機に手放すことになりました。3年で日本に帰ってきましたけど、そこからは『別にクルマがなくても不便じゃないから』ということで、僕が大学に入るまで実家にクルマはありませんでしたね」

人生の大半でほとんどクルマとの接点がなかった伊勢田。緻密な編地のように公共交通機関が広がる横浜を出て、北海道の大学に進学したことで、クルマとの物語がはじまります。

大学入学後、北海道で趣味の旅行を自由に楽しもうと考えていたのに、札幌市にある大学から公共交通機関で行ける範囲は思いのほか狭いと気付いたそう。行動範囲を広げたいと思い立ち、大学2年生で運転免許の取得を決意しました。

こうしてカーシェアとレンタカーを活用して北海道内をあちこち旅行するなかで、ひときわ気になるクルマがありました。マツダのコンパクトカー、MAZDA2です。

北海道豊頃町の「はるにれの木」。朝焼けを撮影しようと、マイナス10度を下回る酷寒のなか札幌から200キロ以上車を走らせた。

利尻山と満天の星空(利尻島)。免許取得後初めての運転で撮影した写真。

「北海道なので、どこかに旅行に行こうと思ったら、山を越えるとか、けっこう遠くまで運転することになるんですけど。マツダの車は運転しやすくて疲れにくいなと思っていました。目的地に着いてもまだ楽しむ余力が残るというか。デザインも好きだし、乗っていてテンションがあがるクルマでしたね」

このときの経験が、伊勢田がマツダに入社するきっかけとなったのです。

まだ知らない世界に対しての興味

マツダに入社した直後の伊勢田は、カーシェアやレンタカーで用は足りた大学時代の経験から、しばらくクルマの購入は考えていなかったそう。

しかし、同期入社の友人たちは、競うように次々と自分のクルマを手に入れていくことに衝撃を受けたといいます。それぞれこだわり抜いて選んだ自分好みのクルマで出かけていく同期たちの姿は、「好きなものにまっすぐで、幸せそうだ」と、伊勢田の印象に強く残りました。

自分のクルマがあれば、もっと毎日が楽しくなるかもしれない。そう思いはじめながらも、なかなか踏ん切りがつかなかったその背中を押したのは、クルマを楽しむ役員や、先輩社員の姿でした。

2024年、ふとしたきっかけから、マツダファン・エンデュランス、通称マツ耐に社員チームのサポートスタッフとして関わるようになった伊勢田。マツ耐は、多くの人に気軽に参加してもらえるよう、普段乗っているクルマそのままでも参加が可能な耐久レースで、マツダのファンをはじめマツダや関連会社で働く社員も多く参加しています。この活動を通じて、普段仕事で目にするときには険しく、厳しい顔をしている役員や先輩社員たちが、レースになると楽しそうに、無邪気に笑いあっている光景を何度も目にしたといいます。

マツ耐に参戦するマツダ社員チーム

普段仕事をしている部門を飛び越え、「走る歓び」を分かち合う

「うらやましいな、って思っちゃって。クルマには自分が知らない楽しみ方があるみたいだ、って。そういう自分がまだ知らない世界に対しての興味が湧いてきましたね」

カーシェアでもレンタカーでもなく、「自分のクルマ」を持つ意味や、その先にしかない楽しみのある日々を求めて。そうして伊勢田が選んだ「自分のクルマ」は、MAZDA3 SEDAN。セラミックメタリックの車体に、ブラックのレザーシートを選びました。こだわったのはセラミックメタリックというボディカラー。ツヤがあり、光の加減で白にもグレーにも見える不思議な色合いに惹かれたそう。

薄暮のなかの愛車。グレーにつやめく車体の側面には、魂動デザイン特有の光の動きが映える。

居酒屋のカウンターのような

友人関係を大切にする伊勢田にとってクルマは、好きな時に、友人たちとおしゃべりをしながら、行きたい場所に行ける、もっとも気兼ねない空間。

「サードプレイスっていう概念があって。家でも、職場でもない、第三の居場所を指すらしいんですけど。僕にとっての車はそれに近いと思っています。普通に話をするときはおたがい向かい合いますけど、車に乗るときは横並び。そういう座り方が、たとえば、居酒屋のカウンターのような、気楽でいて親密な、独特の心地いい距離感を生み出すのかもしれません」

ファストバックではなく、あえてセダンタイプの車体を選んだのも、後部座席の窓が大きく開放感があり、後部座席に乗る人がより快適に過ごせるのではないか、と考えたからでした。納車当日も同期入社の仲の良い友人たちと一緒に販売店でクルマを受け取り、さっそく尾道にドライブに出かけました。

納車の記念写真。立ち会った3人の同期とともに。

初ドライブの尾道で撮った愛車。広島らしく海が見える場所で、とこだわった。

「せっかくクルマを買うんだったら、みんな乗せて、荷物もたくさん積んで、ゆったりいろんなところに行けるクルマにしたいと思って。車内が静かだから後部座席とも問題なく喋れるし、音楽もきれいに聞こえます」

今度予定している楽しみなライブの曲をみんなで聴き、感想を語り合いながら、友人たちと一緒に旅した山奥の温泉。自分のクルマで実家に帰省し、家族に驚かれながらも、クルマを買うなんて、大人になったね、と喜んでもらえたこと。MAZDA3 SEDANを手に入れたことで、クルマがなければ実現できなかった未知の世界とかけがえのない思い出が増えたといいます。

運転中の伊勢田。最近免許の限定解除をし、MT車の運転にも挑戦しはじめている。

「自分のクルマを買ってあらためて思うのは、マツダのクルマって、『通』にだけ刺さるクルマじゃないな、ということで。普通に乗っていても静かだし、運転しやすいし、遠くまで乗っても疲れない。自分みたいにクルマにそう詳しくない人間でも楽しめる。そういうところを広めたいと思ってこの会社に入って、広報に来たんですけど。改めて、その思いが強くなりました」

伊勢田は現在、広報として、会社の経営情報を発信する業務に携わっています。

「クルマって性能はもちろん、命を預けるものなので、そのブランドが信用できるかどうかも大切だと思っています。決算や毎月の生産・販売状況、地域貢献への取り組みなど、経営情報を丁寧に、わかりやすく発信することで、マツダという会社自体を知ってほしいし、信用できると思ってほしい。そうして、クルマ自体だけでなく、経営情報を入り口に、マツダという会社に好感が持てるから、マツダのクルマを買ってみようかな。いずれそういうふうに思うお客様が出てくればいいなと、そういうことを目標に仕事に取り組んでいます」

フィルムカメラで撮影。クルマを手に入れたことで日常の行動範囲も広がり、やってみたかったゴルフをはじめた。

編集後記

 

数年前はそれほど一般的ではなかった電動キックボードや自転車のシェアリングサービスも、いまではすっかり街の風景に馴染んだように思います。世代が入れ替わるなかで、こうして日常の移動手段をシェアすることが当たり前になっていくと、「愛車」という言葉もいずれ前時代の概念になってしまうのでしょうか。

歴代の愛車はいつまで経っても思い出せる。同じクルマが並んでいても、自分の愛車はひときわかっこよく見える。マツダで働く一人の社員として、これからの時代にも、そんな感覚を残していくことを大きな目標にしています。

シェアリングサービスのほかにも、車の電動化や知能化、人口減少、モノの値段の上昇など、世の中は急速に、不規則にかたちを変え、未来はもはや誰にも予想ができない状況です。これからのマツダを担う若い社員たちはクルマと未来をどう捉え、どう向き合っていきたいと思っているのか。この連載では、彼らマツダ社員が描くそうした「クルマ好きの会社の未来」をお伝えしていきます。

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