スーパー耐久で磨き上げるパワートレイン

厳しいレース環境を活かし、次世代のスポーツカーに繋がる技術を検証

MAZDA SPIRIT RACING RS Future concept(12号車)は、ST-Qクラスという未来への技術をレースの厳しい環境で検証する舞台で走り続ける開発車両です。
過酷な実証を通じて専用開発のパワートレインを鍛えた成果は、2025年秋発売予定のMAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12Rへと繋がります。

その成果はMAZDA SPIRIT RACING ROADSTER にとどまらず、将来のスポーツカー開発を視野に、スーパー耐久を舞台に進化を続けています。


パワートレイン開発の狙い

12号車に搭載される2.0Lガソリンエンジンは、1.5L〜2.5Lの車両が参加するST-4クラストップの走りを短期間で実現することを目標に開発を進めています。
また、サーキット走行を純粋に楽しめるエンジンとするため、出力の向上に加え、確かな信頼性保証にも取り組んでいます。

 

開発過程では、マツダの強みであるモデルベース開発を活用し、出力向上に向けた技術を短期間で机上検討。多数の技術についてその効果や妥当性を確認しながら、効率的に導入技術を見極めてきました。

 

加えて、トランスミッションについては、レース特有の高温環境や高Gといった過酷な条件に耐えられるよう、信頼性対策を中心に開発を進めています。

パワートレイン全体として、極限のレース環境で蓄積した走行データとドライバーからのフィードバックを融合させ、導入技術の効果検証と信頼性向上を加速させています。

MAZDA SPIRIT RACING RS Future concept への織り込み技術

エンジン

① 吸排気カム

吸排気効率の要であるバルブタイミングを最適化するため、カムプロファイルを最適化した専用設計の吸排気カムシャフトを採用。

これにより、ポンピング損失を低減しつつ、吸入空気量を最大限まで高めています。

② 吸気ポート

吸入空気量の最大化に向けて、吸気ポート内の最適な個所を研磨し、流入空気の抵抗を低減。これにより、吸気効率を高め、出力向上に寄与してきました。

現在はポート研磨に代わって、吸気ポート形状そのものを大きく見直し、更なる性能向上に取り組んでいます。

③ ピストン

燃焼室内の空気と燃料の流れの最適化を目指し、フラット形状を有するピストンを新たに採用。

これにより高回転域での燃焼を短時間で完了させることが可能となり、異常燃焼(ノッキング)を抑制。効率のいい燃焼によって出力向上を実現しました。

トランスミッション

① メインドライブギヤ

トランスミッション内部のメインドライブギヤ歯面に固体被膜潤滑剤を塗布し、加減速やコーナリング時の高G環境下での耐摩耗性・耐焼き付き性を向上させています。

② カーボントリプルコーンシンクロ

素早いシフト操作によるシフトフィーリング向上や耐久性向上を目的に、通常モデルの1速ー2速に加えて3速にもカーボントリプルコーンシンクロを採用しました。 

③ オイルパス

トランスミッション内部のオイルパス(オイルが流れる通路)を構成する部品のブラケットの板厚を増し、強度を高めています。これにより、高温や振動などの厳しい環境下でも変形を防ぎ、安定したオイル流路を維持することで信頼性を確保しています。


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