あの日、諦めた舞台にもう一度。

MAZDA SPIRIT RACINGと共に挑む、プロへの階段。

あの日、諦めた舞台にもう一度。MAZDA SPIRIT RACINGと共に挑む、プロへの階段。
あの日、諦めた舞台にもう一度。MAZDA SPIRIT RACINGと共に挑む、プロへの階段。

MAZDA SPIRIT RACING。「共に挑む」をスローガンに、2021年に立ち上がったマツダのモータースポーツブランドです。

 

立ち上げと同時期に始動したプログラムがあります。それが、「チャレンジプログラム~バーチャルからリアルへの道~」です。

リアルドライビングシミュレーター『グランツーリスモ*1』で活躍するプレーヤーたちをMAZDA SPIRIT RACINGの一員として迎え、実車でのリアルレースに挑戦するプログラムです。

 

今日紹介する加藤達彦さんは、そのプログラムの1期生。一度は諦めたレーサーへの道に、MAZDA SPIRIT RACINGと共に舞い戻り、そして今、プロの世界に挑んでいます。

 

加藤さんのぶつかった壁、切り拓いた扉とは。
そして、なぜMAZDA SPIRIT RACINGは彼らにリアルへの道を創り続けるのか。
一人の選手と、一つのチーム。その情熱の源流と、走り続ける理由を取材しました。

レーサーは自分、父はメカニック。0から飛び込んだカートの世界

幼少期の加藤達彦さん
幼少期の加藤達彦さん

カートライセンスを手にした加藤達彦さん。愛知県出身で、鈴鹿サーキットにもよく足を運んでいた。

加藤達彦さん、愛知県出身。子どもの頃から、クルマ好きだったと語ります。

加藤達彦さん:

父の影響で、小さい頃からよくレースを観にサーキットまで行っていました。また、グランツーリスモを始めたのは、3歳くらいだったと思います。

親子でクルマを楽しんでいた加藤少年
親子でクルマを楽しんでいた加藤少年

サーキットでもゲームでも、お気に入りはRX-7でしたね。あの甲高いロータリーサウンドが、今でも耳に残っています。

親子でクルマを楽しんでいた加藤少年。さらに、小学生の時に出会ったカートの世界で、走る楽しさを知ることとなります。

親子でクルマを楽しんでいた加藤少年
親子でクルマを楽しんでいた加藤少年

加藤達彦さん:

カートに初めて乗ったのは7歳くらいです。まず、「子どもでも乗っていいんだ!」と驚いたことを覚えています。
初めてレースに参加したのは、中学1年生の時ですね。競い合う楽しさや、負けたくないという思い、勝ったときの喜びなど、レースによって得られる感動は、一人で走るだけでは得られないものでした。
父も素人ながら、独学でカートの整備をしてくれたり、私が走っている姿を撮影して、走り方を親子で研究したりもしていました。
お金が限られていたので、走れるのは月に数回ほどでしたが、親子で一緒に挑戦してきたことは、かけがえのない思い出です。

誰かと走り、競い合う楽しさを感じ、親子で全力を注いでいた加藤さん。
しかし、ある時その歩みは終わりを迎えることになります。

加藤達彦さん:

元々、整備や各地の大会への転戦など、カートはお金がかかるものです。大学生まで挑戦を続けましたが、プロを意識すればするほど、金銭的な壁の高さを感じるようになりました。
金銭面でも最後のチャンスだと考えて臨んだラストシーズン。その年はすごく調子が良く、最終レースで5位以内までに入れればシーズンのチャンピオンが決まっていました。しかし、そのレースで、スタート直後に他車と接触するアクシデントがあり、満足に走ることができませんでした。
結局チャンピオンを逃し、悔しい思いのまま、カートの世界を去ることになりました。

苦い経験と共に、カートの世界を後にした加藤さん。しかし、その後思いもよらぬ方向から、レースの世界に舞い戻ることとなります。

リアルへの復帰は、思いもよらぬ方向から

カートの世界で戦いながらも、グランツーリスモは続けていた加藤さん。次第に、eスポーツでも頭角を現すようになります。

eスポーツ大会の様子
eスポーツ大会の様子

加藤達彦さん:

カートをやりながら、グランツーリスモも続けていました。そのうち、eスポーツとして大会が活発になってきたこともあって、途中から本格的に取り組むようになりました。
やはり、練習量に制限がない、というのがありがたいですね。カートの時などは、金銭面もあり走れる回数に限りがありましたが、eスポーツなら本番と同じコースを何回でも走れます。練習量が結果につながっていくのが嬉しかったですね。
次第に、全国や世界のグランツーリスモの大会にも呼ばれるようになってきました。
そんな中で、「MAZDA SPIRIT RACING チャレンジプログラム~バーチャルからリアルへの道~」がスタートしたんです。

駆け抜けたサーキットの高揚感と、チームで挑む難しさ

「チャレンジプログラム~バーチャルからリアルへの道~」は、eモータースポーツで活躍する選手を、MAZDA SPIRIT RACINGの一員として迎え入れ、一つのチームとなって共にリアルのレース(マツダファン・エンデュランス)に参戦する、1年間のプログラムです。

通常レーサーの道を進むには、カートや参加型のモータースポーツなどに自費で参加し、実績を積むことが欠かせません。実力だけでなく、資金力も求められる狭き門です。
しかし、このプログラムでは、グランツーリスモの大会で勝ち抜き、選考を通過したプレーヤーを選手として迎え、MAZDA SPIRIT RACINGが全面的にバックアップ。チームがクルマを用意し、共に1年間の戦いに挑みます。
これまでリアルのレースを諦めていた人にもチャンスを創り、多くの人にモータースポーツへの入口を広げるために設計されたプログラムでした。

加藤達彦さん:

当時、ロードスターのNR-Aに乗っていたこともあり、リアルのレースへの想いを募らせていた中でのプログラムの募集開始でした。一度は諦めていたレーサーへの道でしたが、このプログラムであれば可能性があることを知り、「参加したい」と強く思うようになりました。

加藤達彦さん
加藤達彦さん

積み上げてきたグランツーリスモでの成績もあり、加藤達彦さんは1期生としての選考に合格。晴れて挑戦権を獲得しました。サーキットを走った楽しさは格別だったと語ります。

加藤達彦さん:

カート以来のレース、しかも愛車と同じロードスターと駆け抜けたサーキットは、すごく気持ちが良かったですね。
一方で、最初は散々な結果で、すごく悔しかったです。何がダメだったんだろう、という点については、チーフインストラクターである、TCR加藤さんに丁寧に教えていただきました。

加藤彰彬さん
加藤彰彬さん

加藤彰彬さん(以降、TCR加藤)。レーシングサポートを行うTCRの代表を務める。自身も選手としてロードスターに乗り、ニュルブルクリンクなどを駆けた経歴を持ちながらも、プレーヤーとしてeモータースポーツ文化を牽引してきた側面を持つ、まさにバーチャルとリアルのつなぎ手。プログラムでは、チーフインストラクターとして、安全にレースの世界へと踏み込むためサポートを行う。

TCR加藤さん:

タツくん(加藤達彦さん)は、速かったですが、チームの中でも競ってしまっていました。
カートやeモータースポーツは、基本的に一人ひとりの速さが求められます。一方で、チャレンジプログラムが挑戦するのは耐久レースです。耐久レースでは、同じクルマをチームの全員で共有し乗り継いでいく。特に、彼らが挑戦するマツダファン・エンデュランスでは、燃料補給もタイヤ交換もありません。燃料も、タイヤも、次に乗るメンバーやチーム全体のことを意識して乗るんです。さらには、一つの情報共有ミスが、命に関わることもあります。常に仲間と声を掛け合って、関係を作ること。これが耐久レースでは一番大切なことなんです。
タツくんの負けん気は素晴らしい。でも、チームの中での勝ち負けやライバル意識は、心の中だけで燃やして、チームでの勝利に集中するように、と伝えました。

加藤達彦さん
加藤達彦さん

チームで一つの輪になることが求められる、耐久レースの世界。リアルのレースならではの、チームで挑むことの大切さを、加藤達彦さんは徐々に実感していくこととなります。

迎えた最終戦。起きたトラブルと、あの日と違う「仲間への想い」

1年間で各地を転戦した、「バーチャルからリアルへの道」。その最終戦は、マツダファン・エンデュランス、岡山ラウンドとなりました。
スタートドライバーは、加藤達彦さん。しかし、思わぬ出来事が起こります。

レース中盤、他のチームでトラブルがあり、イエローフラッグが上がりました。トラブルが解決するまで、追い越し禁止となったのです。チームの作戦として下った判断は、ピットインによる選手交代でした。
耐久レースでは、ピットインと選手交代の回数がルールで決められています。どのクルマもイエローフラッグでスピードを上げられないタイミングで、ピットイン回数を消化することは、チームとして合理的な作戦でした。
しかし、加藤達彦さんにとって、それはまだ1周しか走っていない中での交代を意味していました。誰よりも負けん気が強く、挑みたい気持ちも人一倍大きかった彼にとって、つらい選択のはずでした。
カートで苦い経験をしたあの日と同じ、満足に走れない最終戦。ですが、心境は全く逆のものだったのです。

加藤達彦さん:

以前の自分だったら、すごく悔しかったと思います。やっとつかんだリアルの世界、しかもその最終戦で。
でも、1年間の経験があったからか、その時はスッと受け入れられたんです。チームのために最善を取ろうって。不満なくというより、「私もそうしたい」という思いで仲間にクルマを引き継ぐことができました。また、その後もピットの中で仲間の支えになれたように思います。

「バーチャルからリアルへの道」最終戦
「バーチャルからリアルへの道」最終戦

結果、ピットインの作戦が功を奏したこともあり、岡山ラウンドでは優勝を飾ることができたんです。
一人ではない、仲間と分かち合った喜び。優勝できたのは、チーム一丸でやったからだと思います。その時に、チームで戦う重要性を改めて強く感じました。

「バーチャルからリアルへの道」最終戦
「バーチャルからリアルへの道」最終戦

チームで共に戦う楽しさ。だからこそ分け合える喜び。1年間のプログラムで、これらを学び、大きく成長した加藤達彦さん。
最終戦は終わりましたが、彼の戦いが終わることはありませんでした。

拓かれた新たなステージ、確かな実績

1年間の「バーチャルからリアルへの道」のプログラムを終えた加藤達彦さん。しかし、そこから思いもよらぬ転機が待っていました。

加藤達彦さん
加藤達彦さん

加藤達彦さん:

1年間の戦いを見ていてくださった、MAZDA SPIRIT RACINGに推薦して頂き、オーディションの末、CABANA Racingというレーシングチームに所属。ロードスター・パーティレースⅢのジャパンツアーシリーズに参加する機会を得ることができました。
そして、チームの多大なるサポートのおかげで1年間を全力で戦いぬき、2024年シーズン、チャンピオンになることができたのです。

表彰式
表彰式

ロードスターレースの最高峰とも呼ばれる、ロードスター・パーティレースⅢ。加藤達彦さんは、シーズン中の優勝こそなかったものの、常に上位をキープ。粘り強さと、安定かつ冷静な走りで、年間チャンピオンに輝いた。

一度は諦めたレースの世界。しかし、チャレンジプログラムをきっかけに実力を積み上げ、年間チャンピオンを獲得した加藤達彦さん。
その成長を見ていた、MAZDA SPIRIT RACINGは、彼にさらなる道を託すことを決めました。

そしてS耐へ、いつかマツダの顔に

MAZDA SPIRIT RACING、チャレンジプログラムは、「バーチャルからリアルへの道」に続くステージとして、「スーパー耐久シリーズへの道」を用意しています。

スーパー耐久シリーズ(S耐)とは、日本最大級の参加型耐久レースです。
MAZDA SPIRIT RACING は、このS耐のチームの一員として、2025年、加藤達彦さんを迎え入れることを決めたのです。

「スーパー耐久シリーズへの道」へ
「スーパー耐久シリーズへの道」へ

加藤達彦さんを再び迎え入れた理由。それは、ロードスター・パーティレースⅢでのチャンピオンという実績だけではありません。加藤さんが「バーチャルからリアルへの道」で学び、一人ではなくチームで戦う姿勢に変化し、1年を通して人間的に成長したことを見ていたからでした。
加藤達彦さん自身も、こう振り返ります。

加藤達彦さん:

やはり、「バーチャルからリアルへの道」で学んだ、仲間と共に挑む姿勢が、自分の一番の変化だと感じます。スーパー耐久シリーズも一人ではなく、チームでの戦いです。技術だけではなく、人間的にも成長した1年間の経験は、今に大きく活きている部分だと感じますね。

S耐の厳しさ、そして加藤選手への期待を、MAZDA SPIRIT RACINGの先輩レーサーであり、現役のプロレーシングドライバーである堤 優威選手はこう語ります。

堤選手:

実際のクルマを運転することに関しては、まだまだだなという思う部分もありますが、加藤選手は、バーチャル出身ならではの、飲み込みの早さが強みだと思います。
MAZDA SPIRIT RACINGは、素晴らしい理念を持った、マツダの代表となるブランドだと思っています。この仲間たちと、ルマンなどのビックタイトルへ、かつてのマツダのようにもう一度挑戦したいと思っているので、加藤選手にはぜひ頑張ってほしいですね。

MAZDA SPIRIT RACINGとの出会いを、加藤選手はこう振り返ります。

加藤達彦さん
加藤達彦さん

加藤達彦さん:

MAZDA SPIRIT RACINGには、諦めていたリアルのレースに挑戦する機会をいただきました。この出会い無くして今の私はありません。
今は自分のためもありますが、恩返しのために走っているつもりです。
私の夢は、いつか、「マツダといえば加藤達彦だ」と言ってもらうことです。まだまだ道半ばなので、挑戦を続けていきたいです。

共に挑む、その歓びを信じて

MAZDA SPIRIT RACING
MAZDA SPIRIT RACING

MAZDA SPIRIT RACINGは、「共に挑む」をスローガンに立ち上がりました。目指したのは、ただ走るのではなく、仲間の輪を広げ、感動を分かち合えるモータースポーツの世界を広げていくことです。
加藤達彦さんがプログラムの中で得られたこともまた、MAZDA SPIRIT RACINGの願いそのものでした。仲間の大切さを知り、そして勝利を分かち合う歓びを知る。その出会いが新たな輪になり、次なるチャンスにつながっていく。私たちにとって、これ以上に嬉しいことはありません。
マツダは、走る歓びを提供することを目指しています。日々の歓びはもちろん、日常では得られない歓びが、サーキットにはある。そう信じたメンバーがMAZDA SPIRIT RACINGの一員となり、加藤達彦さんをはじめとした想いに共鳴する人々を、仲間とし、輪を広げ、今日まで走り続けてきました。

サーキットの情熱を、分かち合い、広げ、歓びに変えていく。この火を絶やさず、燃やし続ける。MAZDA SPIRIT RACINGの挑戦も、まだまだ続きます。
加藤達彦さんとMAZDA SPIRIT RACINGの歩みに、これからもご期待ください。

加藤達彦さん
加藤達彦さん

アプリのご案内

加藤選手の活躍や本人の投稿は、倶楽部MAZDA SPIRIT RACINGアプリで配信しています。ぜひご登録いただき、まだまだ挑戦を続ける加藤選手、MAZDA SPIRIT RACINGを応援いただければ幸いです。

*1:「グランツーリスモ」および「GRANTURISMO」は、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標および商標です。PS5®/PS4®用ソフトウェア『グランツーリスモ7』の発売元は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントです。
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