近年の社会のサステナビリティに対する要求をふまえ、マツダは、児童労働・強制労働の禁止などの労働法令を含めた各国・各地域の法令順守、日本経済団体連合会の企業行動憲章などの国際的規範を尊重しながら、国内外のお取引先さまとの共存・共栄を目指し、幅広い取り組みを行っています。
サプライチェーンマネジメント
基本的な考え方
購買基本理念
共存・共栄の精神に則り、相互に研究と創造及び競争力の強化に努め、オープンでフェアな取引関係を構築することにより長期安定的な成長を図り、もって社会、経済の発展に寄与する。
取り組み
購買基本理念を定め、これをもとに国内外の企業に門戸を開き、国籍、企業規模、取引実績の有無によらず、広く取引の参入機会を提供し、公平・公正な取引に努めています。取引の申し入れに対しては、社内のお取引先さま評価基準に沿って審査し、対応の可否を判断しています。
サステナビリティの取り組みやリスクマネジメントについて、お取引先さまと連携し、一体となって推進できるよう、コミュニケーションの機会を積極的に設けるほか、さまざまな支援を行っています。またサステナビリティの取り組み状況をより詳しく把握・評価することを目的として、適宜お取引先さまへのアンケートを実施しています。
お取引先さまへの支援例
- お取引先さまの競争力向上を目的とした技術交流・共創活動
- お取引先さまの製品品質改善活動への協力
- ミルクランシステム※の採用:部品の納入方式を、各お取引先さまが個々に配送する方式から、マツダが集配する方式(ミルクランシステム)に変更
- 最新技術やものづくりについての展示会や大会の案内
※1台のトラックで、複数のお取引先さまを巡回して集荷する方法。牧場を循環して牛乳を集荷するさまになぞらえたもの
【関連情報(サステナビリティサイト)】
ステークホルダーエンゲージメント
お取引先さまへのガイドライン周知
マツダのサステナビリティの取り組みに関する基本的な考え方や(一社)日本自動車工業会の「CSRガイドライン」などを踏まえて、調達領域と関係性の深いCSRの分野・項目をとりまとめた「マツダ サプライヤーサステナビリティガイドライン」を策定しています。同ガイドラインでは「お客さま満足(安全・品質)」「環境」「社会貢献」「人間尊重(人権・労働)」「コンプライアンス」「情報開示」の6つに分類し、すべてのお取引先さまにガイドラインの順守を要請しています。
すべてのお取引先さまに順守を求める項目
- お客さま満足(安全・品質)
消費者・顧客ニーズに応える製品・サービスの提供、製品・サービスに関する適切な情報の提供、製品・サービスの安全確保および品質確保など - 環境
環境マネジメント、温室効果ガスの排出量削減、大気・水・土壌などの環境汚染防止、省資源、廃棄物削減、化学物質管理、生態系の保護など - 社会貢献
国内外の拠点でそれぞれの地域のニーズに即した社会貢献を積極的・継続的に行い、よき企業市民としての責任を果たすよう努めること - 人間尊重(人権・労働)
差別撤廃、人権尊重、児童労働・強制労働の禁止、紛争鉱物の不使用、賃金、労働時間、従業員との対話・協議、安全・健康な労働環境など - コンプライアンス
法令の順守、競争法の順守、適正取引の推進、腐敗防止、機密情報の管理・保護、輸出取引管理、知的財産の保護など - 情報開示
ステークホルダーに対して適宜・適切に情報開示するとともに、オープンで公正なコミュニケーションを通じて、ステークホルダーとの相互理解・信頼関係の維持・発展に努めること
お取引先さまに対する環境マネジメント
サプライチェーン全体で環境保全に配慮した事業活動を継続的に推進することを目指して、「マツダグリーン調達ガイドライン」を制定しています。
このガイドラインでは、世界中のお取引先さまを対象に、製品の開発から製造、納入に至る全ての段階において環境負荷低減活動を要請しています。環境に配慮した取り組みを行っているお取引先さまから優先的に購入を進めることを明記しており、ガイドラインの順守状況はアンケートなどを用いて定期的に確認しています。
また、お取引先さまにはCO₂排出量削減のロードマップの策定と実施をお願いしています。特に、地場を中心とした主要なお取引先さまにはロードマップを提出いただき、カーボンニュートラルに向けた協働活動を行っています。部品や資材、生産用設備・要具のお取引先さまには、ISO14001認証の取得および登録維持や企業活動で排出する温室効果ガス量の削減を要請しています。現在、マツダ車の開発・生産に関わる主要なお取引先さま全社はISO14001認証を取得しています。また、関係会社の一部のお取引先さまには、エネルギー使用量や水使用量の提出を要請しています。今後も、情報提供などを通じてお取引先さまと協働し、環境活動を推進していきます。
【2024年度実績】
- 新規お取引先さまを含め、継続的に取引がある国内外の主要お取引先さま約500社のISO14001認証の登録維持100%を継続(2025年3月末時点)。
- マツダグリーン調達ガイドラインの中で、購買一次お取引先さまを通じて二次以降のお取引先さまの環境マネジメントシステム構築を要請。
サプライチェーンの人権デュー・ディリジェンス
「マツダ サプライヤーサステナビリティガイドライン」に基づいて、人権においても社会的責任を果たせるサプライチェーンの構築に努めています。
【詳細情報(サステナビリティサイト)】
サプライチェーンの人権デュー・ディリジェンス
適正取引の推進
お取引先さまとマツダの双方が明確な基準と共通の認識をもって公正な取引を行い、協業によるグローバルでの競争力強化を図るため、適正取引を推進しています。経済産業省が主導で策定した「自動車産業適正取引ガイドライン」に基づき、購買適正取引の推進マニュアル策定やマツダの購買調達業務担当者への教育、ウェブサイトや説明会を通じたお取引先さまへの情報発信などを進めています。なお、地場のお取引先さまに対して、毎月開催しているミーティングを活用して、カーボンニュートラルや人権などESGをテーマにした説明会を適宜実施し、ESG教育・啓発活動を行っています。
公正な取引を徹底するための社内教育
マツダの購買調達業務担当者を対象に、以下の教育を実施しています。
- 適正取引推進(下請法含む)の定期的な教育・理解度テスト
- 新配属者への適正取引推進(下請法含む)講座
- 財務統制に関する教育
- 適正取引およびコンプライアンスに関するガイドやプロセス・ルールのイントラネットへの掲載
お取引先さまの評価体制
新規に取引を開始するお取引先さまに対しては、関係部門が連携し、品質管理体制や技術・開発力、供給能力、経営状況に加え、「マツダ サステナビリティガイドライン」に明記されている腐敗防止などのコンプライアンス順守状況・環境対応といったサステナビリティ取り組みなどを確認し、マツダグループの調達・選定方針への適合性を評価しています。
継続取引を行うお取引先さまに対しては、調達する物品やサービスの品質・価格・納期の評価に加え、品質管理体制や開発体制・技術力、供給能力、サステナビリティの取り組みなど取引全体で総合的に評価しています。日々納入される製品の品質や自主監査結果の報告を踏まえ、改善が必要な場合は現場現物で確認するとともにリモートでの監査を実施することで、把握・評価・改善指導が継続的に行える品質管理体制を構築しています。
また、より良い取引関係を構築していくため、年1回お取引先さまを品質・価格・納期などの基準で総合的に評価し、優れたお取引先さまを表彰しています。さらに、サステナビリティ視点での評価も取り入れ、環境性能に大きく影響する軽量化について優れた提案を行ったお取引先さまには特別賞を授与しています。
【2024年度実績】
- 購買お取引先さまの評価実施企業数:270社
お取引先さまへのアンケート・調査
お取引先さまにおけるサステナビリティの取り組みや推進体制の構築状況を把握・評価することを目的として、2013年度よりアンケートを実施しています。回答結果を分析し、さらなる改善が必要と判断されたお取引先さまに対しては、個別にヒアリングを行って協力して改善方法を検討しています。また、同アンケートではマツダ サプライヤーサステナビリティガイドラインの順守状況も確認しています。
【2024年度実績】
- コンプライアンス(適正取引)に関するアンケートをすべてのお取引先さまを対象に実施。
事業継続計画(BCP)の拡充
リスクマネジメントの観点から、事業の中断が社会に甚大な影響を及ぼすことのないように、お取引先さまと連携して事業継続計画(BCP)の拡充に取り組んでいます。マツダでは、サプライチェーンリスク管理システム「SCR (Supply Chain Resiliency) Keeper」※を導入し、災害発生時の拠点情報を漏れなく、かつ素早く把握することで初動を早期化しています。
また、地震、土砂災害、水害などに対する事前の防災・減災を推進することにも取り組んでおり、お取引先さまと協同してBCPの拡充を進めています。
さらに、お取引先さまには、増加・高度化するサイバー攻撃の脅威に関する啓発を行い、一層のセキュリティー推進をお願いしています。一部のお取引先さまとはサイバー攻撃を受けた場合を想定し、部材生産への影響を最小化できるよう対策を一体となって協議しています。
※地図情報と気象庁の地震情報などが連携されており、地震発生時に、登録されている生産拠点の震度をいち早く認識できるなどの機能をもつシステム