労働安全衛生


基本的な考え方

マツダは、「安全健康基本理念」に基づき、従業員の安全と健康のために、全社一丸となり人づくり、職場づくり、仕組みづくりを推進しています。2022年度からは新たな3カ年計画をスタートさせ、自律型のいきいき職場*実現を支える3本柱のもと、グローバルかつ全員参加型の活動に取り組んでいます。自律型のいきいき職場の実現は、職場の活性化やパフォーマンスの向上に寄与し、ひいては企業理念の実現につながると考えています。

安全健康基本理念

「安全と健康」これこそ働く私たちの原点です。これこそ最も価値のあるものです。「人」こそ宝!この宝を守るために私たちは不断の努力を続けます。

「ワンマツダいきいき職場づくり運動」3カ年計画

方針 : 自分発、部門発の安全健康活動をやり遂げ、自律型のいきいき職場を実現する。

スローガン : 24時間、ワンマツダで安全健康、最優先!

活動の3本柱:

1) 感性の高い人づくり

2) 最適な仕組みづくり(標準化の推進)

3) 安全・安心な快適職場環境づくり

* 自律型のいきいき職場 : 部門特性を踏まえた重点的な問題解決活動が実践され、管理者のリードと一人ひとりの活動が一体化し、個人と組織が活性化している職場。

体制

推進体制

マツダは、経営層(安全担当役員・各本部長・独立部部長)と労働者代表(マツダ労働組合執行部)で構成する合同委員会「総合安全衛生委員会」を設置し、安全健康に関する年度ごとの活動方針・重点施策などを労使で審議しています。その決定を踏まえ、各部門の部門長が中心となり、各職場の業務の性質やリスクを考慮した活動を推進しています。

取り組み

グループ会社との連携

マツダは、国内・海外グループ会社に対して、定期的に会議を開き、活動計画や情報の共有、教育資料の提供など安全衛生課題の解決に向けて積極的な支援を行っています。また、海外3工場ではISO45001の認証を取得しています。その他の工場でも、ISO45001もしくはその他の規格を引用した労働安全衛生マネジメントシステムを運用しマツダグループ全体で継続的改善に取り組んでいます。

安全衛生マネジメントシステム

マツダは、安全衛生マネジメントシステムの運用により、自主的かつ継続的な安全衛生管理を行い、労働災害の潜在的な危険を減らすとともに、安全衛生水準のさらなる向上、および国内業界トップレベルの安全成績を目指しています。また、重大災害につながりやすい作業や設備のリスクを評価し、未然防止を図る仕組みを構築し、安全衛生マネジメントシステムのパフォーマンスを向上させています。

社会データ(過去5年間の休業災害度数率)

リスクアセスメント活動

マツダは、生産・開発・管理・事務など全ての部門において、災害・疾病・火災のリスクを抽出し、評価、対策を実施するリスクアセスメント活動を行っています。毎年、見直しや新たなリスクの洗い出しを繰り返し、その対策を進めることで、職場の安全性を向上させています。また、新規に化学物質や機械設備を導入する際にも同様に、リスクアセスメントを実施し、より本質的な安全対策を推進しています。特に、化学物質については、SDS(Safety Data Sheet)※1をデータベース化するとともに、有害性と暴露量からリスク評価できるシステムを活用しています。

教育・研修

マツダは、「ワンマツダいきいき職場づくり運動」3カ年計画の活動の一つである、安全衛生に対する感性の高い人づくりのため、安全衛生教育・研修の拡充に取り組んでいます。特に、危険への感度を向上させるための研修に力を入れており、安全啓発ゼミナール※2や危険体感訓練※3、KYT(危険予知トレーニング)を生産・開発・管理・事務など全ての部門に展開しています。また、国内・海外グループ会社、お取引先さま(東友会協同組合※4)、構内協力会社への安全衛生に関する教育・研修を支援し、マツダグループ全体で安全な人づくりに取り組んでいます

※1 化学物質および化学物質を含む混合物を譲渡または提供する際に、その化学物質の物理化学的性質や危険性・有害性および取り扱いに関する情報を相手方に提供するための文書。

※2 過去の重大災害事例やマツダがこれまでに行ってきた安全活動の変遷をまとめたマツダ安全年表のパネル展示で、これまでの安全活動を振り返り、気づきや新たな知識を今後の安全管理に役立てることを目的にしている。

※3 職場に存在するさまざまな危険を疑似体験し、危険感受性を向上させる訓練。

※4 1952年にマツダ(当時:東洋工業)と取引関係のある協力会社20社の任意団体として発足。現在は63社の会員企業から成り、マツダは当団体に対し、労働安全面での助言・支援(マツダの安全情報の紹介、マツダ実施の安全教育への参加案内)を行っている。

健康の保持・増進

マツダは、従業員の健康の保持・増進に向け、生活習慣病対策およびメンタルヘルス対策を推進しています。また、健康診断の結果に基づいた指導や教育・高齢化対策・国内グループ会社の活動推進支援・海外出向者の健康支援など全社的な健康づくり活動を推進しています。

自らの健康について考え、取り組むきっかけとすることを目的に、毎月給与支給日を「健康づくりの日」と定め、全社に向けて健康情報を発信しています。

健康リスクへの対策

メンタルヘルス対策※1

マツダは2003年に社員のこころの健康づくりに労使で積極的に取り組むことを宣言し、「マツダハートフルプラン」を策定しました。経営層・各部門・産業医・保健師・マツダ労働組合など労使合同で、さまざまな施策に継続して取り組んでいます。

相談体制

マツダは、産業医・保健師による相談体制を整備しています。本社勤務の社員に限らず、国内・海外出向者に対しても電話やオンライン会議システムを活用した健康相談を実施しています。

教育・研修

マツダは、新任管理者を対象としたラインケア研修(傾聴・アサーション・事例対応など)、入社3年目の社員を対象としたセルフケア研修を定期的に実施しています。加えて、職場からのニーズによる出前教育を行っています。また、管理者向けにメンタルヘルス対応のポイントについて、定期的に情報を発信しています。

げんき診断(ストレスチェック制度)

マツダは、法制化される前の2008年から「げんき診断」の名称で、厚労省の提供する「職業性ストレス診断」を実施しています。個人診断により従業員一人ひとりが自身の状態を把握し、健康管理に役立てています。組織診断の結果を各部門にフィードバックし、全職場の職場環境改善活動につなげるための「職場ドック」※2活動を推進し、メンタルヘルス不調の未然防止に取り組んでいます。

※1 マツダ単体の取り組み。

※2 改善点の洗い出しや改善提案などを職場全員で行い、幅広い視点で職場環境を確認し、簡明な手順で改善していく全員参加の活動。

生活習慣病対策※1

マツダは、メタボリックシンドローム予防などをはじめとした生活習慣病の改善と予防のため、禁煙やウォーキングの推進・セミナーなど、さまざまな活動を実施しています。

禁煙推進

マツダは、全社喫煙率25%以下を長期目標に掲げ、個人サポートの充実や環境整備を図っています。毎月1回「全社1日禁煙デー」を設定しています。また、受動喫煙防止の観点から、喫煙所の屋外化を進めています。

ウォーキング推進

マツダは、健康増進を目的として、個人向けウェブサイト「PepUp(ペップアップ)」※2を活用したウォーキング活動を推進しています。また、 徒歩通勤に手当を支給する「エコ・ウォーク通勤」制度を導入しています。

マツダ健康保険組合と共同事業(コラボヘルス※3

マツダは、マツダ健康保険組合と共同で以下の健康増進イベントを展開しています。

  • 体重チャレンジイベント:体重管理を習慣化する
  • 健康クイズチャレンジ:健康診断項目に関する理解を深める

※1 マツダ単体の取り組み。

※2 マツダ健康保険組合の被保険者および被扶養配偶者が利用できる健康づくりを応援する健康ウェブサイト。

※3 保険者と事業者が積極的に連携し、明確な役割分担と良好な職場環境のもと、加入者の予防・健康づくりを効率的・効果的に実行すること。

治療と仕事の両立支援

復職支援制度

マツダは、病気休業からの復職者に対して、短時間勤務制度や試し出社制度、復職後のフォロー相談など復職支援を拡充し、再休業の防止に取り組んでいます。

病気治療者のための勤務の特例措置

マツダは、継続して治療が必要な病気において、治療と仕事の両立のための産業医、保健師による支援体制を整えています。平日にしか治療を受けることができず、短時間の治療であっても会社を休まざるを得ない場合の勤務の特例措置制度を設けています。

健康診断※1

マツダは、法定健康診断※2の実施に加え、30歳・35歳到達時と40歳以上の社員には、健診項目を充実させた「総合健康診断」※3を、50歳・54歳・58歳到達時の社員には胃部内視鏡検査・腹部エコー検査が含まれる「総合ドック健診」を実施しています。健康診断の結果に基づき産業医・保健師による個別の保健指導を実施することで、社員の健康づくりを支援しています。

 

※1 マツダ単体の取り組み。

※2 検査項目:身長・腹囲・胸部エックス線・血液・尿・心電図など。

※3 30歳・35歳・40歳以上の総合健診時に、胃がん・大腸がん・乳がん・子宮がんなどのがん検診を実施。

保健指導に関するデータ

sdgs
sdgs

健康リスク対応

マツダは、勤務地のグローバル化や定年延長など、ビジネス環境の変化を踏まえつつ、予防・リスク管理の視点で社員の健康リスクを適切に評価し対応できる仕組みづくりを進めています。

 

※ マツダ単体の取り組み。

感染症対応

マツダでは、感染症に関する多様なリスクを鑑み、感染症法など関連法規制に則り、適切な対応を図っています。海外出向者および帯同配偶者へは、当該地域のリスク状況を検討し、A型肝炎・破傷風など必要に応じた予防接種を会社負担で実施しています。また赴任前に、マラリアやB型肝炎などの感染症予防を織り込んだ教育を行っています。インフルエンザについては、職場での集団感染予防を目的に、インフルエンザ予防接種の費用補助制度および構内接種体制を設けています。また、新型コロナウイルス感染症対策については、「5類感染症移行に伴う社内対応ガイドライン」を策定し、社内への通達を実施しました。

健康上のリスクの高い従業員への対応

マツダは、心疾患や脳血管疾患を引き起こす危険の高い「ハイリスク者」に対して適切な対応ができる体制を整えています。リスクを的確に把握するために対象者抽出の基準を明確化し、産業医面接を必須とするなどフォロー体制を構築しています。

労使関係

マツダとマツダ労働組合は労働協約を締結し、全てのステークホルダーに貢献できる会社づくりに向け「共に考え、一体になって取り組む」関係を築いています。両者は人事・生産・販売などのテーマについて月1~2回の労使協議を行っています。著しい影響を及ぼす可能性がある業務変更を実施する場合は、マツダ労働組合と協議し、従業員への通知に際しては実施まで十分な期間を設けています。また、マツダグループ全体で労使の良好な関係を維持・発展できるよう、労使が協議できる体制を整えています。

■国内グループ会社

全国マツダ労働組合連合会と定期的な情報交換や活発な協議を行っています。

■海外グループ会社

各国・各地域の労働慣行を踏まえ適切に労使が協議できる体制を整えています。

 

【2023年度実績】

・マツダグループにおける集団労働争議件数:0件

 

※ マツダの従業員の約9割が所属。

労使共同での対話活動

マツダは、組合員とマネジメントの対話機会の創出を行っています。マネジメントと社員が互いを認め合い、同じ方向を向いて同じ問題に取り組むことの積み重ねが心理的安全性を生んでいくと考えています。対話を加速・進化させていくことが重要であり、それが風通しの良い職場風土を作ることにつながっていきます。

 

※ マツダ単体の取り組み。