マツダ787Bに搭載されているエンジンは、マツダR26B型4ローターロータリーエンジン(RE)です。このエンジンの元となったのは、1973年に2代目ルーチェの上級グレード用に開発された排気量654cc x2ローターの13Bエンジンです。その後、13Bエンジンは2代目コスモやルーチェレガート、ロードペーサー、RX-7などにも展開され、REラインアップの主要パワーユニットとなっています。6PI、希薄燃焼システムやターボ化などを経て2012年に生産終了となったRX-8に搭載された13B MSP型RENESISエンジンまで、約40年の間作り続けられました。
モータースポーツ用13Bエンジンは、1970年代の富士GCシリーズにペリフェラルポート吸気仕様が採用され、小型コンパクトながら300 PSの高出力と抜群の信頼性を誇って多くのプライベートレーサーに愛用されていました。ルマンでは、1979年のRX-7 252iで初めて採用され、1985年のマツダ737Cまで搭載されており、その後の3ローターエンジン、4ローターエンジンも4つあるローターハウジング(レシプロエンジンのエンジンブロックとシリンダーヘッドに当たる)や各ローター(同じくピストンに相当)などはこの13Bと同サイズ・同形状となっています。
初の4ローターエンジンの13J型も短期間に組み上がりましたが、出力は単純積み上げの600 PSには届かず、しかも軽量小型でコンパクトなパッケージがREの利点でしたが、13Jエンジンは長く重くなってしまいます。それでも数ヶ月でエンジン前長を大幅に短縮し、軽量化した改良型13Jエンジンを開発しています。しかし、急造が祟って1988年は4ローターエンジンを搭載した新開発のマツダ767は幾多のトラブルに見舞われ大きく遅れ、総合17位と19位という不本意な結果となりました。