ルマン市は、フランスの首都パリの西200Kmの位置にあるロワール地方サルト県の中核都市です。
24時間レースは、市の郊外にある常設のブガッティサーキットと接続する一般道を年に一度閉鎖してできる13.6km(91年当時)のサルトサーキットが舞台となっています。第1回大会は第一次世界大戦後の1923年で、以後戦時中の一時期を除いて毎年6月に開催されている伝統の耐久レース。アップダウンが少なく、ストレートと高速コーナーのあとにフルブレーキングのタイトコーナーがあるなど、マシンにもドライバーにも過酷なコースとして知られています。かつては貴族が勇気を証明するためにこのレースに出場し、第二次大戦前にはナショナルカラーを施した車両が競い合う代理戦争の様相を呈した時代もありました。主に戦後は、高性能車のパフォーマンスを誇示する自動車メーカーがここで好成績を上げることに執心し、フェラーリvsフォード、ポルシェvsランチャなどの名バトルが繰り広げられました。ここから名車の名声を得たものには、ポルシェのほか、メルセデスやジャガー、アストンマーチン、アルピーヌルノーなどが挙げられます。
1980年代後半からは日本の自動車メーカーもこぞってルマン挑戦を表明し、「ル・ジャポン・アタック」(日本の総攻撃)と揶揄されるようになりました。その後GT全盛時代を経て、主催者ACO(西部自動車クラブ)が推奨するLMP1がメインカテゴリーとして成長。ハイブリッド車の誘致などで話題を集めています。2000年代のアウディLMP1時代のあと、トヨタ自動車が参戦を再開し、2018年から3年連続で総合優勝を果たしています。