1982年9月、4代目カペラが誕生した。
それまでFRだった駆動方式をFFに一新。まだFRが主流だった開発当初、経営陣はFF採用に批判的であった。「経営状態の厳しいなか、新工場(防府)の建設に加え、多額の投資をしてFFに挑戦する必要があるのか」「ハンドリングを重視するマツダ車はFRの方が良いのではないか」
しかし、開発陣は居住性や軽量化の観点から「これからの時代はFFでなければ他社に勝てない」と、経営陣に繰り返しFFの採用を提案し続け、その執念がついにFFカペラの誕生につながった。
パワートレインは「マグナム」というニックネームの新開発エンジンを採用し、燃焼室と呼気ポートの形状を変更。先代から26kgもの軽量化に成功した。CMにはフランスの大物俳優アラン・ドロンを起用し話題を呼ぶなか、第3回日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得。1年目の防府工場はカペラ生産のためフル稼働し、年間生産台数は30万台に達した。欧州向けの生産が追いつかず、ヨーロッパでは納車待ちのお客さまに、前もって金の牛*1の置物を渡すというサービスも行われ、数々の話題・伝説に溢れたクルマとなった。