法令順守に対するお客様への約束
 
                    
                 
                    
                自動車メーカーとして、自ら認証業務に係る内部統制を構築・強化することが必要と考えています。
企業の不適切な振る舞いに対する社会の目は厳しく、社会の常識や健全な慣行から外れる行いが、大きな非難を浴びることは言うまでもありません。我々は、すべての事業活動において法令を厳守することを最優先事項とし、これに加え、社会の常識や健全な慣行に従い、倫理的かつ公正な事業運営を行うことを強く意識し、社会からの信頼を得るために努める必要があります。
遺憾ながら、過去、当社においては、自動車に用いられる技術の高度化や、車両規制法令および認証法令の新規制定/更新に対して、認証業務を中心に負荷が高まり、かつ既存プロセスでは対応できなくなりつつあることを、経営として十分に把握し対応しているとは言えない状況がありました。
これに対して、我々は、認証業務のプロセス、日程、工数、設備、教育について見直しを進めるとともに、社内監査部門に認証監査主査を配置しました。また、風土改革プログラムにより、現場を主役としマネジメントはそのサポーターとなる企業風土の醸成に注力しています。そうすることで、従業員が安心して業務に取り組めるようにし、認証業務全体が正しい状態にあることを経営として担保できるよう、そしてマツダの製品をお客さまが安心して使用していただけるよう、ガバナンスを強化しています。このために、特に重要と考えられる以下の事項について、取り組んでいます。
「認証業務において法令順守を徹底すること」及び「その法令順守は、コストや日程より優先すること」を改めてお客さまにお約束します。
組織・責任体制
試験が認証法令に準拠した状態で実施されたかをチェックする仕組み、およびガバナンス体制の再整備のための取り組みとして、2024年7月に、認証業務に関する監査の責任者として、「認証監査」を担う主査を配置し、試験が法令に準拠していることを確認するとともに、試験への立会いを実施して、試験の正しさを確認しています。
なお、当社における認証業務責任者(認証業務全般に対して責任を有する者)は、小島岳二 取締役専務執行役員です(2025年10月末時点)。
法令順守に向けた取り組みの強化
認証業務プロセスについて、以下の5つの視点で全社的な強化取り組みを推進しています。
①認証期間の見直し
開発完了から量産開始までの認証期間について、規制強化への対応などによる業務量の増加を踏まえ、ムリや心理的負担が生じないよう標準日程を見直し、確実な認証業務が実施できる期間を確保しました*1。さらに、開発から認証に移行する節目管理強化のため、開発完了を承認する会議体を全社レベルの位置づけに格上げし、開発部門だけでなく、認証、品質、生産などの各部門も参画して客観性を担保しました*2。認証プロセスへの準備状況を確認し、確実に認証プロセスへ移行できるようにしています。
②設計変更ルールの明確化
法規適合性や商品目標に影響する設計変更は、開発完了までに実施することを原則とし、開発完了確認会議における管理項目として、以降の設計変更がないことを確認することとしています。開発完了以降の設計変更が必要となった場合は、開発部門、認証部門、品質部門の本部長が設計変更の必要性や認証試験車両への織り込み要否などを審議、承認する仕組みとし、ガバナンスを強化しました*3。
③業務のデジタル化とシステム整備
認証業務におけるデータ等の転記、記入、情報伝達など人に頼った作業による誤記や改ざんを未然に防止すべく、システムによる自動化を進めています。認証試験領域については、試験手順をタブレットPCで確実にガイドし、試験結果の入力や試験成績書の作成までサポートする仕組みの構築を検討しています。また、申請書類を作成する領域では、設計部門が提供する諸元情報の授受と記録管理を一元化する包括的データベースの構築を検討しています。これらの仕組みは2026年4月の導入を目指しています。
④人員拡充と教育の強化
認証業務の負担増に伴い、認証担当部門の人員を段階的に増員するとともに、DX化により業務効率化を図り、認証業務の質の維持・向上に向けた取り組みを進めています。また、認証業務に関わる全役員及び全従業員に対し、(1)認証業務に関する法規の独自解釈の禁止、(2)認証制度の最新動向、(3)他社で発生した不正事案と教訓など、法規認証の基本に立ち返るための必須教育を毎年実施しており、定期教育を重ねて全員の正しい理解と高い意識の継続を徹底しています。
⑤試験環境および監査体制の整備
現場の試験担当者の声を踏まえ、認証試験設備を含む、設備投資に係る中期計画を策定し、試験を適切に行える充分な設備・環境の整備を行っています。また、内部監査部門に認証監査主査を置き、試験車両や設備の状態、認証試験手順の正確性、認証試験結果の妥当性を検証するとともに、恒久的に適切な認証試験が行えるよう、各種業務基盤について、課題抽出や改善が妥当性を持って進められているか、監督するようにしています*4。
 
                    
                 
                    
                監査・内部通報制度等
内部通報制度や内部監査等を拡充しています。例えば、マツダでは、法令や社内ルールに違反のおそれがある場合、それを通報する制度として、マツダ・グローバル・ホットライン[*]を整備しており、業務プロセスに関する問題も早期に発見して解決する仕組みを設けています。今後は、第三者機関による内部統制評価の受審や、型式指定後における保安基準適合性等の実車確認の体制をより適切に整備し、制度をさらに強化してまいります。
[*]マツダ・グローバル・ホットライン
 法令や社内ルールに違反する、不適切な対応、あるいは、そのおそれがある状況を認識された際に、上司への報告(職制ライン)で解決するのが困難と思われるときのために、その情報を提供していただくための内部通報制度。グループ会社も含めて展開済。
ご参考:過去のマツダの認証問題に関するニュースリリース
2024/6/3 型式指定申請に関する国土交通省への調査報告について
2024/6/28 当社の型式指定申請事案に関する国土交通省の公表について
ご参考:関連するマツダの取り組み
ご参考:統合報告書2025の関連ページ
型式指定申請に係る法令順守に向けた強化取り組み (P.98)