1945年8月6日。
原子爆弾が投下され、広島は大きな被害を受け、マツダも多くの従業員とその家族の尊い命を失いました。
しかし、生かされた命を見つめ希望を決して忘れることなく、そのわずか4カ月後には、三輪トラックの生産を再開し、広島の復興へ向けて力強く前進していきました。
献納折り鶴、アップサイクルで平和への想いを次の世代へ


「2025ひろしまフラワーフェスティバル」のマツダブース内にて、戦後復興に活躍した三輪トラックの荷台に折り鶴が集まりました
「平和な社会が続いてほしい」
そう願う気持ちから、広島には毎年、世界中の方々から「平和」への思いが込められた千羽鶴が集まります。
みなさんは、献納された折り鶴がその後どうなるか知っていますか。
新たな価値や意味を持たせたアップサイクルによって、平和への想いを次世代へとつなぐものとして生まれ変わっているのです。
目次
マツダ国内外の拠点で平和を祈念 ~おりづるプロジェクトの広がり~


海外拠点では、国旗の柄の折り紙を使用し鶴を折りました
平和都市広島に拠点を置くマツダでは、折り鶴を通して平和への想いを世界に発信する活動を行っています。
コロナ禍の2020年にオーストラリアやコロンビアなどの海外拠点を中心に取り組みが始まり、現在では10か国以上の海外拠点、国内ではマツダ関係会社の社員とそのご家族、地域の皆さま、さらには国内各地の一部販売会社へと広がっています。


2025ひろしまフラワーフェスティバルのマツダブースで地域の方に鶴を折っていただきました


マツダスカイアクティブズ広島のラグビー試合会場でお客さまと選手が一緒に鶴を折りました


関東マツダ板橋本店ショールームにて、約2万羽の色とりどりの折り鶴が集まりました
■これまでの活動はこちらをご覧ください
マツダ|【マツダを知る】世界中のマツダの仲間と地元広島のつながり~おりづるで築いた絆~|マツダのある暮らし
世界各地や全国から集まった折り鶴は、一羽一羽に糸を通して千羽鶴を作り、献納します。
今回、国内拠点から集まった鶴は広島市にある福祉作業所にお声がけし、2か所の作業所が糸通しの作業を引き受けてくださいました。


千羽鶴製作の様子
■作業所の声
- 耳が聞こえない、目が見えない私は、ケガをしないよう一生懸命丁寧に折り鶴に糸を通しました。折り鶴が完成したとき、“世界が平和になりますように”と想いました。(アイラブ作業所)
- 初めての作業でしたが、慣れてくると楽しかったです。MAZDA ORIZURU PROJECT参加者の一人として、糸を通して皆の平和の願いを繋げられる様に頑張りました。(就労継続支援B型作業所はーとふる)
被爆80年となる今年は、日本で集まった約7万羽の千羽鶴を広島市の平和記念公園などへ献納しました。


平和記念公園内「原爆の子の像」前 撮影:麻生祥代(村上アーカイブス)
海外へ呼びかけた折り鶴は、約3万羽を献納予定です。
生まれ変わる折り鶴 ~福祉作業所との共創~
広島では、献納された折り鶴が再生紙にリサイクルされ、様々なグッズに生まれ変わっています。
制作までの様子をご紹介します。
平和記念公園に献納された千羽鶴は、広島市が回収し、広島市内の約50ヶ所の福祉作業所に分配され、折り鶴の解体と色分けを行っています。


再生紙に活用する色の淡い折り紙を仕分けします
仕分けされた折り鶴は、福井県の越前和紙工場へ送られます。和紙の技術で溶融され、再生紙として再び作業所に戻ってきます。そこから再生紙のグッズ制作が始まります。
福祉作業所の作業現場を見学し、色の淡い折り紙の方が再生紙に適している実態を知り、淡い色味を採用したマツダオリジナルの折り紙も制作しました。


淡い色を10色選定し、翼を広げた位置にマツダのロゴを入れました
以前よりマツダの社会貢献活動でお世話になっている広島市就労支援センター(所管:広島市健康福祉局障害福祉部障害自立支援課)にご紹介いただき、広島市の原爆ドームのすぐ近くにある就労継続支援B型事業所「すまいる☆スタジオ」(以下:すまいる☆スタジオ)に、この度マツダオリジナルのノートと付箋を製作いただきました。


ノートのページと裏表紙を合わせてリングを通します


付箋を入れる封筒も手作業で型抜きを行います
一から製作される過程には様々な工程があり、すまいる☆スタジオでは一人ひとりの能力を活かして作業を行っています。
後世へ伝えたい、メッセージ ~MAZDA ORIZURU PROJECT~
「だれもが、しあわせになる。」
世界中で愛され続けているマツダを代表するモデルの一つ、“ロードスター”は屋根の開くオープンカーです。
オープンカーは戦争のある地域では乗ることが出来ません。平和でないと乗れないクルマであり、平和の象徴でもあります。


原爆ドームの横を走るロードスター
毎年クリスマスの時期になると、ロードスターファンやマツダ社員がサンタやトナカイに扮し、クリスマスの飾りつけをしたロードスターで、一人親家庭の子どもたちと街をドライブする「ロードスターサンタドライブ」を実施しています。


街の人たちと手を振り合って、笑顔をシェアします
「子どもたちと街に笑顔を届けたい」――そんな想いから、2009年に横浜で活動が始まりました。
活動への共感が広がり、現在では熊本や北海道、さらにはコロンビアや台湾など海外でも実施されています。
ドライブを終えた後、サンタからマツダオリジナルの折り鶴再生紙ノートや福祉作業所手作りのクッキーをプレゼントしました。


サンタドライブに参加した子どもたちに折り鶴再生紙で出来たノートをプレゼント
サンタドライブに加えて、広島地域では、平和学習の教材としても近隣の学校の子どもたちにプレゼントをしています。
折り鶴再生紙グッズのデザインは、“広島”や“平和”を連想するイラストをマツダのデザイン本部が新しく描き起こし、厳島神社や紅葉、しまなみ海道、原爆ドームなどが描かれています。


平和の象徴でもあるロードスターがポイント
平和を祈りながら折り鶴を折り、再生紙グッズにアップサイクルし、子どもたちに寄付する一連の流れを「MAZDA ORIZURU PROJECT」と名付けて活動を行っています。
折り鶴再生紙グッズはマツダの活動でプレゼントするだけではなく、より多くの方に手に取っていただき、平和に関する社会貢献活動を知っていただけるよう、販売も開始しています。
2025年5月3日~5日、ゴールデンウィークに広島で開催された、広島と世界を結ぶ平和の花の祭典「2025ひろしまフラワーフェスティバル」のマツダブースでは、福祉作業所に出展いただき、折り鶴再生紙グッズの販売を行いました。


複数の福祉作業所が出展し、折り鶴再生紙グッズ以外の商品も販売いただきました
商品の購入は、福祉作業所の就労支援にも繋がります。


すまいる☆スタジオ利用者
■作業所の声(すまいる☆スタジオ)
- この度は、マツダ様のブースにて販売の機会をいただき誠にありがとうございました。お陰様で、多くの方が商品を手に取ってくださり、私たちの活動を知っていただく場になりました。
今回の出展が、障がいのある方々の工賃向上や社会参加につながったと実感しています。
私たちもこのプロジェクトへ参加させていただき、微力ですがお力添えできたことを大変嬉しく思っております。(すまいる☆スタジオ管理者)
- 毎日職人として、作業に集中しながら頑張っています。フラワーフェスティバルへ販売に行って、知り合いの人が来て商品を買ってくれました。たくさん売れて嬉しかったです。また職人として頑張りたいと思いました。(すまいる☆スタジオ利用者)
今後、全国各地のイベントでお客さまにも「MAZDA ORIZURU PROJECT」に参画いただける機会を設けていく予定です。
また特設イベントやマツダの施設でもマツダオリジナルの折り鶴再生紙グッズの販売を開始いたします。
戦後80年経った今も、そしてこの先いつまでも忘れてはならない平和への想い。
広島に生まれ、育てられたマツダだからこそ、マツダはこれからもMAZDA ORIZURU PROJECTを通じて、平和の尊さについて発信し続けていきます。
マツダと一緒に、平和の大切さについて、改めて考えてみませんか。