資源を活かすマツダと地域の支え合い活動 ~みんなの一歩で笑顔の輪を広げたい~


ウエス加工用布類の回収
ウエス加工用布類の回収

マツダには2万人を超える従業員がいます。マツダグループの一員であるとともに、地域の一員でもある私たち一人ひとりが心を合わせ、みんなで一歩を踏み出せば、明日はもっと豊かになると信じています。そこで、マツダでは地域とのつながりを大切にし、誰もが気軽に“ちょっと”だけでも参加できる活動「ちょい活」を推進しています。

今回は「ちょい活」として、「ウエス加工用布類の回収」と「フードドライブ」の活動をご紹介します。この取り組みは、布類や食品といった従業員の各家庭で眠っている資源を、必要としている地域の方へお届けし、地域社会全体で循環させることで、持続可能な社会の実現に貢献するものです。

この取り組みを始めたのは、コロナ禍でさまざまな制約がある中、従業員が「密閉」「密集」「密接」の三密を避け、個人が身近で気軽に取り組める社会・地域貢献活動としてできることがないかと考えたことがきっかけでした。現在は、従業員一人ひとりが地域の一員としての役割を感じながら、自分のできることから地域とつながり支え合うきっかけとなるよう、それぞれ年2回実施しています。

使い終わった布類に新たな価値を吹きこむ「ウエス加工用布類の回収活動」

この活動は従業員から家庭で不要となった布類を回収し、広島市内の福祉作業所のウエス加工事業に提供することで、再資源化する取り組みです。ウエスとは機械の油や汚れを拭き取るために使う工業用雑巾で、福祉作業所ではウエスの製造販売を行っています。慢性的な材料(布)不足解消の一助となり、福祉作業所内の事業を支援するものとして、マツダは回収活動を継続しています。多くの従業員が参加できる資源循環の取り組みとして、社内の環境意識の醸成にもつながっているほか、マツダグループ各社もこの取り組みに賛同し、活動に参加しています。

2020年6月の開始以降、活動の輪は年々広がりを見せ、2024年11月~12月初旬にかけて5日間行われた第9回の活動では、第1回の約3倍にあたる617kgを集めることができました。活動当初はマツダ構内入退場門のみで回収を行っていましたが、現在は社内の各本部のオフィスにも回収場所を設け、従業員がより身近に感じながら参加できる環境を整えています。

9カ所の入退場門と、12本部のオフィス、グループ会社3社に回収箱を設置しました
9カ所の入退場門と、12本部のオフィス、グループ会社3社に回収箱を設置しました
9カ所の入退場門と、12本部のオフィス、グループ会社3社に回収箱を設置しました
9カ所の入退場門と、12本部のオフィス、グループ会社3社に回収箱を設置しました

9カ所の入退場門と、12本部のオフィス、グループ会社3社に回収箱を設置しました


617kgもの布類で、部屋がいっぱいに!
617kgもの布類で、部屋がいっぱいに!

617kgもの布類で、部屋がいっぱいに!

回収した布類は「社会福祉法人もみじ福祉会」へ寄贈しています。こちらでは月に400kgの材料(布)を必要とされているため、マツダの回収活動が大きな支援となっています。

回収された布類は、自助具を使用して裁断や、プリント部分を取り除いたりして、ウエスに加工されています
回収された布類は、自助具を使用して裁断や、プリント部分を取り除いたりして、ウエスに加工されています

回収された布類は、自助具を使用して裁断や、プリント部分を取り除いたりして、ウエスに加工されています

また、活動をさらに活発にするため、もみじ福祉会のスタッフさんにヒアリングを行い、必要なものを確認した上で準備を進めています。2024年からは従業員に対し、「シミの目立つ首回りが黄ばんだボタン付きシャツ」や「穴の開いたズボン」「サイズアウトした体操服」など、提供可能な物品の詳細を写真とともに紹介したことで、「これも使えるんだ!」と認識が広がりました。また、6月、12月の衣替えのタイミングで呼びかけることで、多くの布類が集まっています。

回収できる布類について、写真付きで分かりやすく紹介しました
回収できる布類について、写真付きで分かりやすく紹介しました
回収できる布類について、写真付きで分かりやすく紹介しました
回収できる布類について、写真付きで分かりやすく紹介しました

回収できる布類について、写真付きで分かりやすく紹介しました

2024年12月もみじ福祉会の皆さんに回収した布類をお渡ししました
2024年12月もみじ福祉会の皆さんに回収した布類をお渡ししました

2024年12月もみじ福祉会の皆さんに回収した布類をお渡ししました

「利用者さんの働く意欲や喜びにつながっています」

社会福祉法人もみじ福祉会スタッフさんからの声

箱を開けたとき、いつも「こんなにたくさんある!」と驚きの声が上がります。マツダグループからの提供量は圧倒的で、回収に行く利用者さんもドキドキワクワクしながら向かっています。近年、衣服は化学繊維素材のものが増え、ウエスに適した材料の確保が難しくなっていますが、マツダグループでは、いつも「綿素材の物を」と呼び掛けてくださるので、提供いただいた材料は全て有効に活用させていただいています。利用者さんからも「大変だけど、お仕事頑張れる!」という声があり、働く意欲や喜びにつながっていることを感じ、大変感謝しています。

「数字ではなく、心をつなぐ取り組みへ」

マツダ(株) カスタマーサービス本部 村田さん


マツダ(株) カスタマーサービス本部 村田さん
マツダ(株) カスタマーサービス本部 村田さん

何kg集まるかという数字を追うのではなく、まずは活動に対する「想い」を持ってもらえたら嬉しいという気持ちで取り組んでいます。カスタマーサービス本部には、人のために動きたい社員が多く、支えてくれる仲間がいるからこそ、この活動が続けられていると改めて実感しています。また、前回、第8回ではアンケートを実施し、「職場に回収箱があると、忘れずに参加できた」「子ども服はすぐサイズアウトし、汚れていて売ることも出来ないのでこちらも助かっています」など多くの声が寄せられました。今後も、少しでも多くの人が行動に移せるようなきっかけを作っていきたいと思っています。


マツダ(株) カスタマーサービス本部 ウエス加工用布類回収の様子
マツダ(株) カスタマーサービス本部 ウエス加工用布類回収の様子

「仕組みを根付かせて持続可能な支援に」

マツダロジスティクス(株) 下西さん

マツダロジスティクス(株) 下西さん
マツダロジスティクス(株) 下西さん

自分なりに試行錯誤しながら取り組んできました。第4回のウエス回収ではわずか2.8kgでしたが、今回ついに104kgまで増加しました。これは、各部門の体制を整え、責任者を配置し、広島の25拠点それぞれに推進委員を置くことで、組織的に進めた結果であり、彼らの協力があったからこそ実現できたことだと思っています。この仕組みがうまく機能し、みんなが真剣に取り組んでくれました。今後も、会社として地域貢献活動を地道にコツコツと定着させていきたいと考えています。

ツダロジスティクス(株) ウエス加工用布類回収の様子
ツダロジスティクス(株) ウエス加工用布類回収の様子

食品ロスを減らし地域の居場所づくりに活かす「フードドライブ活動」

食品ロスを減らし地域の居場所づくりに活かす「フードドライブ活動」
食品ロスを減らし地域の居場所づくりに活かす「フードドライブ活動」

この活動は従業員がそれぞれの家庭で眠っている食品を持ち寄り、必要としている人や施設に届ける取り組みで、2022年8月から行っています。食品ロスの削減に貢献するだけでなく、寄付した食品は、「子ども食堂」といった地域の居場所づくりや被災地支援などで活用されています。

回収対象は、市販品の未開封で外装が破損していない常温保存可能な食品ですが、更なる食品ロスの削減やたくさんの地域の方の笑顔につながるように、提供先の団体と密にコミュニケーションをとり、回収基準を見直してきました。例えば、残りの賞味期限の基準を2カ月から1カ月に変更したり、外装箱のない個包装の食品や開封済みのお米、市販品以外の古米・玄米を回収したりするなど、なるべく多くの食品を回収できるようにしました。このような基準の見直しや活動の認知拡大により、2025年1月~2月初旬にかけて5日間実施した第6回の活動では、第1回の約1.7倍にあたる438kgを集めることができました。また、提供先の団体から食品を持ち帰るための袋が欲しいという声を受け、第4回からエコバッグの回収も行っています。

8カ所の入退場門と、10本部のオフィス、グループ会社3社に回収箱を設置しました
8カ所の入退場門と、10本部のオフィス、グループ会社3社に回収箱を設置しました
8カ所の入退場門と、10本部のオフィス、グループ会社3社に回収箱を設置しました
8カ所の入退場門と、10本部のオフィス、グループ会社3社に回収箱を設置しました

8カ所の入退場門と、10本部のオフィス、グループ会社3社に回収箱を設置しました

外装(箱)なしの個包装の食品回収もはじめたことで、試供品やインスタントの紅茶・コーヒー、子どもが食べなかった離乳食など、想像以上にたくさん集まりました
外装(箱)なしの個包装の食品回収もはじめたことで、試供品やインスタントの紅茶・コーヒー、子どもが食べなかった離乳食など、想像以上にたくさん集まりました

外装(箱)なしの個包装の食品回収もはじめたことで、試供品やインスタントの紅茶・コーヒー、子どもが食べなかった離乳食など、想像以上にたくさん集まりました


お米のニーズが一番高く、1合でも喜ばれています
お米のニーズが一番高く、1合でも喜ばれています

お米のニーズが一番高く、1合でも喜ばれています

提供してくれた従業員の想いを感じながら、回収品の確認作業を行っています
提供してくれた従業員の想いを感じながら、回収品の確認作業を行っています

提供してくれた従業員の想いを感じながら、回収品の確認作業を行っています

集まった食品は「NPO法人 FOOT&WORK フードバンクゆるティ」などのフードバンクへ寄贈し、地域の居場所づくりや生活に困難さを抱える方々への支援に活用されます

2月10日、「NPO法人 FOOT&WORK フードバンクゆるティ」に回収した食品をお渡ししました
2月10日、「NPO法人 FOOT&WORK フードバンクゆるティ」に回収した食品をお渡ししました

2月10日、「NPO法人 FOOT&WORK フードバンクゆるティ」に回収した食品をお渡ししました

「ただの食べ物ではなく、人の優しさが詰まっています」

NPO法人 FOOT&WORK フードバンクゆるティ 岩井さん

NPO法人 FOOT&WORK フードバンクゆるティ 岩井さん
NPO法人 FOOT&WORK フードバンクゆるティ 岩井さん

どんな物が必要なのか回収前に必ずヒアリングをしてくださるおかげで、多くの方に喜んでいただいています。個包装の食品の回収や賞味期限の基準の見直しは、おそらく全国的にも例が少ないですし、家庭からの提供だからこそ、暮らしに寄り添う温かさがあると感じます。配布会では、マツダグループの皆さんから提供いただいことがわかるように記載し、一つひとつに込められた想いを届けたいと思っています。

NPO法人 FOOT&WORK フードバンクゆるティ
NPO法人 FOOT&WORK フードバンクゆるティ

「関わる人が増える喜びと手応え」

マツダ(株) 生産管理・物流本部 植田さん、安竹さん

マツダ(株) 生産管理・物流本部 植田さん、安竹さん
マツダ(株) 生産管理・物流本部 植田さん、安竹さん

フロア中央の目立つ場所に飾り付けした回収箱を設置し、多くの人に関心を持ってもらえるよう工夫しました。また、回収箱の前で立ち止まった人や興味を持ってくれた人には、活動について少し踏み込んだ話をし、地域貢献への想いを伝えています。その想いに共感してくれる人が増え、支援の輪が少しずつ広がっていくのを実感しています。地域貢献への想いは多くの人が持っていると感じるからこそ、「どうきっかけを作るか」が大切だと改めて思いました。

絵が得意な方がウェルカムボードを作るなど、積極的に関わってくれる人が増えています
絵が得意な方がウェルカムボードを作るなど、積極的に関わってくれる人が増えています
絵が得意な方がウェルカムボードを作るなど、積極的に関わってくれる人が増えています
絵が得意な方がウェルカムボードを作るなど、積極的に関わってくれる人が増えています

絵が得意な方がウェルカムボードを作るなど、積極的に関わってくれる人が増えています

「誰かを想う気持ちが行動に」

マツダ病院 森下さん、中﨑さん

マツダ病院 森下さん、中﨑さん
マツダ病院 森下さん、中﨑さん

これまで石川県能登地域へ災害支援ナースを派遣するなど、病院としても社会貢献に取り組んできましたが、さらにマツダグループの社会貢献活動についても意識を広げることができたのは大きな収穫です。医療従事者は元々人のために何かをしたいという気持ちが強く、その想いが一人ひとりの行動につながったのだと感じました。また、従業員だけでなく、清掃、受付、給食など業務委託の方々も協力してくれたことで、活動の輪が大きく広がりました。誰でも参加できるようになったことは、大きな意味があると感じています。

活動を継続することで認知度もあがり、参加者も増えています
活動を継続することで認知度もあがり、参加者も増えています
活動を継続することで認知度もあがり、参加者も増えています
活動を継続することで認知度もあがり、参加者も増えています

活動を継続することで認知度もあがり、参加者も増えています

地域の一員として一歩を踏み出し、地域とつながり支え合う

各家庭で一度役割を終えた布類が、福祉作業所で新たにウエスとしての役割を与えられ、工場などで再び活躍する。各家庭で眠っている食品を持ち寄ることで、地域の居場所づくりにつながる。「ウエス加工用布類の回収活動」「フードドライブ活動」は、持続可能な社会の実現に向けて、従業員一人ひとりが「自分ごと」として3R活動(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みを実践するとともに、自分のできることから地域とつながり、支え合う活動です。

これからもマツダは従業員とともに「捨てる」ではなく「活かす」選択を積み重ね、地域も人もいきいきとする活動に取り組んでまいります。