体育館の一角で、社員が子どもたちと向き合う――
問いと答えが行き交い、対話の時間が生まれています。
府中町立府中東小学校での出前授業。社員と子どもたちが対話を重ねています。
体育館の一角で、社員が子どもたちと向き合う――
問いと答えが行き交い、対話の時間が生まれています。
マツダのものづくりは、「人」を大切にしてきました。
そこには、一人ひとりの意思と力が息づいています。
“正解”を届けるのではなく、子どもたちと一緒に考える。
その姿勢で、学びの場に関わり続けています。
本記事では、マツダが取り組む出前授業や職業講話など、学校とともに進めている学びの取り組みをご紹介します。
マツダでは、部門の枠を越えて教育支援活動に取り組んでいます。
2024年には、さまざまな部門の従業員から講師希望者を募る「講師バンク」を設立しました。
2025年度から本格始動し、専門性や職種の違いを越えて、多様な社員が教室に立てる体制を整えています。
従業員一人ひとりが、自分の専門性を持って地域と向き合う。その挑戦を、仕組みとして支えているのが講師バンクです。
2025年度は広島地域で約65校、約4,600名の児童生徒に授業を届けました。
首都圏や防府地域など、拠点のある各地域でも学校との接点を持ち、それぞれの特性を活かしながら学びの場への関わりを続けています。
広島市立毘沙門台小学校で行われた出前授業では、クルマのデザイン工程が紹介されました。
工業用粘土で立体的なデザインを造りこむ「クレイモデル」の工程に触れた瞬間、あちこちから声が上がります。
「えぇ…!ねんど?」
「初めて見た!」
驚きは、そのまま好奇心へとつながります。
教室の後方で静かに耳を傾けていた一人の児童が、思わずつぶやきました。
「僕、マツダでこれやってみたい…!」
専門性の高い仕事の世界が、子どもの“好き”とつながった瞬間でした。
社員の問いかけに手を挙げて応える児童たち。教室に活気が広がります。
デザイン本部の社員(クレイモデラー)は振り返ります。
「目を輝かせながらたくさん質問してくれる姿を見て、自分の仕事の意義や、やりがいを改めて感じました。」
クレイモデラーたちは、講話だけでなく、子ども自身が粘土で形を生み出す体験授業にも挑戦しています。
“うまくつくること”よりも、自分の手で想いをカタチにする。そのプロセスを大切にしています。
学校法人鶴学園なぎさ公園小学校でのクレイモデル体験の一場面。本物の粘土や工具に触れながら、ものづくりへの興味が広がります。
兵庫県立淡路三原高等学校では、広島での研修旅行の一環としてマツダへの企業訪問を実施しています。
県外から訪れた高校生たちが原爆文学や平和記念資料館での学びを経て、最後に訪れる企業。
先生は「再生と情熱という広島の心を企業が体現していることを実感できるのが、この広島研修ツアーの良さだ」と語ります。
マツダミュージアムを見学する高校生たち。広島の歴史とともに歩んできたクルマづくりを学びます。
マツダミュージアムで地域とマツダの歩みを学んだ後の座談会。
購買や生産技術など異なる職種の社員が、高校生の問いに向き合いました。
「マツダの、これは他社に負けないというものは何ですか?」
まっすぐな問いに、社員は一瞬言葉を選び直します。
自分の仕事の意味や責任を、改めて考える時間が生まれました。
高校生からのまっすぐな問いに向き合います。
後日、生徒からはこんな感想が届いています。
「今まで興味のなかった世界にも面白さがあると分かって、自分の可能性は無限大なんだなと感じました。もっといろんな世界を見て、感じたい。」
対話の時間は、立場を越えて考え合う場になっていました。
学校法人鶴学園広島なぎさ中学校での職業講話は、2000年から続いています。
同じ社員が、同じ学校の教室に立ち続けてきました。
キャリア教育の一環として、毎年学校から「今年もお願いします」と声をかけてもらっています。
講話の途中で、講師は中学生にこう問いかけます。
「人は、なぜ働くと思いますか。」
教室の中を歩き回り、生徒一人ひとりの声に耳を傾けます。
講話では、マツダの仕事紹介に加え、広島のものづくりの歴史や、夢を持ち続けることの意味についても触れます。
中心にあるのは、生徒が自分自身の将来を考える時間です。
「働くとはこういうことなんだと実感できた。」
「大人は楽しそうだと初めて思えた。」
講話後には、そんな感想が寄せられています。
四半世紀近く続く職業講話。教室を歩きながら、生徒一人ひとりに問いを投げかけます。
長く続ける中で、この講話に触れた生徒たちが、それぞれの道を歩んでいます。
一人はマツダの社員に。
一人は教員となり、今度は依頼を寄せる側に。
同じ教室での時間が、かたちを変えながらつながっています。
時間の積み重ねが、学校との関係を深め、次の世代へと静かにつながっていきます。
教室に立つ社員たちは、肩書きを外し、一人の大人として子どもたちと向き合っています。
問いを受け止め、言葉を探し、時に子どもたちから刺激を受ける―――
学んでいるのは子どもだけではありません。
子どもたちに答えを届けるのではなく、
人として向き合い、ともに考える。
そうした時間は、子どもたちの可能性を広げ、
社員自身の仕事の意味を見つめ直すきっかけにもなっています。
学びの場への関わりを、これからも地域とともに重ねていきます。
企業の社員が学校を訪れ、自分たちの仕事や専門分野について授業を行う取り組みです。社会の仕事を身近に感じながら学ぶ機会として、多くの学校で実施されています。マツダでも出前授業や職業講話、企業訪問の受け入れなどを通じて、学校と連携した学びの場づくりを続けています。