リスクマネジメント



基本的な考え方

マツダは、リスクマネジメント基本ポリシー、リスクマネジメント規程およびその他関係する社内規程に従って社内外のさまざまなリスクの把握と低減活動を継続し、事業の継続と安定的な発展の確保に努めています。把握したリスクは重要度を踏まえて、個別のビジネスリスクについては該当する業務を担当する部門が、全社レベルのリスクについては全社横断的な業務を担当する部門がPDCAサイクルを回し、適切に管理しています。経営上重大な事態や災害などの緊急事態が発生した場合は、社内規程に従い、必要に応じて緊急対策本部を設置して事態に対処するなど、適切な措置を講じることとしています。

また、当社および関係会社におけるリスクマネジメントの一層の充実・強化を図るため「リスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会では、部門ごとに特定した重要リスクや、リスクトレンド情報などを基に、全社的に重点的に取り組むリスクを選定し、半期ごとにリスク対応の進捗確認を行っています。なお、リスク・コンプライアンス委員会の活動は、半期ごとに取締役会に報告しています。また、事業の中断が社会に甚大な影響を及ぼすことのないよう、事業継続計画(BCP)の拡充に取り組んでいます。

有価証券報告書 第158期 (事業等のリスク:P20-22)

【2023年度実績】

・グループ会社のリスク管理活動強化のため、グループ会社共通で守るべきルールを策定し、それに基づき各社の状況を評価・改善。

体制


リスクマネジメント体制

緊急時のリスクマネジメント体制

既存の危機管理用機では対応が困難で、部門を超えた対応が必要な事態が発生した場合、リスクマネジメント担当役員は社長と快護の上で、緊急対策本部の設置を決定し、対策本部長を指名します。

リスクマネジメント基本ポリシー

 

リスクマネジメントの理念

企業活動を取り巻く環境は、IT化・グローバル化の進展、地球環境問題や法令遵守への意識高揚など、急速に変化しており、今後もさらに多様に変化していくものと予想されます。これらの環境変化にも的確に対応することはもちろん、企業活動の継続的・安定的な推進を阻害する潜在的なリスクを最小化していくとともに、異常事態や緊急事態の発生に対しても迅速な復旧を可能とする体制を確立し、お客さまや株主、そして社会からの強い信頼を得ていく必要があります。マツダは、グループを挙げて「リスクマネジメント」に取り組み、真に信頼される企業をめざします。

 

リスクマネジメントの目的

以下を通じて『企業価値の増大と社会との調和』を図ります。

  1. マツダグループを構成する人々および地域住民の安全と健康の確保を図ります。
  2. 社会からの信頼の維持・拡大を図ります。
  3. マツダグループの有形・無形の企業財産の利活用を図ります。
  4. 利害関係者(ステークホルダー)の利益を図り、信頼と期待に応えます。
  5. 異常時、緊急時の組織機能の維持と業務の迅速な復旧を図ります。

行動指針

全役員・全社員は、自らが、リスクマネジメントを行う‘主体'であり、企業活動のあらゆる場面にリスクは存在するとの認識に立ち、その業務遂行のあらゆる段階でそれぞれの立場でリスクマネジメントに取り組むものとします。

 

取組方法

以下の2つの活動区分において、それぞれに必要な体制・ルールを整備します。

  1. 日々の職務に潜在するリスクについて継続的に予防・軽減を図り、その利活用を推進する活動(リスク管理)
  2. 発生した危機による被害の最小化および迅速な復旧のための活動(危機管理)

適用範囲

  1. すべてのビジネスリスクを管理の対象とします。
  2. 子会社・関係会社を含むマツダグループ全体を、適用範囲とします。

災害・緊急事態への対応

マツダは、南海トラフ地震をはじめとした大地震やそれらに伴う津波発生を想定した自然災害への備えを継続的に行っています。この備えは建物・設備の耐震対策、護岸のかさ上げ対策などのハード面の対策だけでなく、安否確認システムの導入、防災自衛団組織の構築、そしてこれらを運用する訓練などのソフト面の整備も計画的に進めています。また、災害に備えた公設消防との合同防災訓練も実施しています。これらの訓練は一斉避難訓練に加え、高圧ガスや危険物漏洩などのさまざまな状況に対応する図上訓練や、実技訓練を取り入れ、二次災害による近隣への被害の拡大を防止する実践的な防災訓練としています。 

情報セキュリティ

マツダは、情報管理方針や社内規程を定め、個人情報など重要な情報を適切に管理・保護し、年1回取り組み状況や管理体制の点検を行い、情報セキュリティの確保に努めています。情報セキュリティの推進体制は、役員が全社情報セキュリティ責任者となり、その下で、情報セキュリティ委員会※1が、サプライチェーン全体のサイバーセキュリティリスクを認識したうえで、経営会議に改善計画を上程し、審議のうえ、継続的に改善を進めています。製品に関しては、日米のAuto-ISAC※2に参加し、業界内で検知したセキュリティ情報やベストプラクティスへの対応を進めることで、お取引先さまと一緒にサイバーセキュリティ品質の向上に努めています。また、2022年7月から施行されたサイバーセキュリティに関する基準にも適合しています。

情報セキュリティの啓発活動として、マツダの従業員には、機密情報管理・個人情報保護・ITセキュリティの教育の受講を義務付けています。また、イントラネットで情報セキュリティに役立つさまざまな知識を習得できる専用サイトを設けるなど、継続的な啓発活動を行っています。グループ会社には、情報セキュリティに関するガイドラインの展開やツールの提供を含めた教育支援を行い、マツダグループ全体で情報セキュリティの確保に取り組んでいます。 

 

※ 1 全社グローバルの情報セキュリティをマネジメントする組織。全社レベルの情報セキュリティ課題に対する意思決定機関として、全社情報セキュリティ会議を定期的に開催。

※ 2 Automotive Information Sharing & Analysis Center の略。米国のAuto-ISACに参加するとともに、幹事会員として日本のJ-Auto-ISACに参画。

個人情報の保護

マツダは、「個人情報保護方針」を定め、個人情報の保護に努めています。個人情報の適正な管理を図るために、取り扱いルールを定め、保有個人データ管理台帳の定期的な棚卸しを行い、年に一度、管理状況をチェックしています。また、個人情報の取り扱いを外部に委託する場合には、安全管理に関する事項などを定めたチェックリストに従い、適切な委託先を選定しています。お客さまからの個人情報の取り扱いに関するお問い合わせや開示請求などについては、マツダコールセンターが対応しています。また、各国における個人情報に関する法令の制定・改正や、IT技術の活用に伴う個人情報の取り扱い状況の変化を受けて、より適切に個人情報の管理が行えるよう、ルール・仕組みの見直しを行っています。

知的財産

知的財産に関する基本方針

マツダは、「自社・他者の知的財産権の尊重」を基本に、知的財産を企業経営・企業活動に寄与する経営資源として活用することを知的財産の基本ビジョンとしています。こうした考えのもと、担当役員を委員長とし、関係本部長から構成する「知的財産委員会」を設置して、知的財産に関係する重要事項について審議・決定しています。また、発明報奨制度により研究・開発の第一線で働く従業員の発明意欲の向上を図っています。国内・海外のグループ会社に対しては、知的財産に関する取り扱い方針の策定やその運用、体制づくりを支援することにより、マツダグループ全体としての知財管理機能の充実を推進しています。

発明考案表彰制度

年に一回受賞者を選定し、1月の創立記念式日にあわせて所属長を通じて表彰状・記念章・補償金などが贈られます。発明者の貢献に報いるため、補償金に上限は設けていません。 

知的財産の保護と知財リスクマネジメント

専門部署である知的財産部は、他者の知的財産権を侵害しないよう社内の諸活動をリードするとともに、社内活動の成果を自社の知的財産権として強固に保護・蓄積し最大限に活用する活動を戦略的に行っています。 

  1. 企業活動により創造した新技術やマーク、車種ネーム、車両デザインなどに関する知的財産権をグローバルに取得し、技術とデザインおよびブランドを保護する。
  2. 他者の特許権や商標権、意匠権、著作権の侵害あるいは不正競争防止法上の紛争などの企業活動に支障を及ぼす知財問題の有無を網羅的に調査し、予防・解決する。

知的財産管理の啓発活動

マツダは、「マツダ企業倫理行動規範」において、「機密を守る。当社または他者の知的財産を侵さない」と定めており、従業員に行動指針を明示し行動を律しています。知的財産部は、知的財産全般の管理を行うとともに順法行動の定着に向けた啓発活動を定期的に実施しています。また、外部環境の変化を踏まえ定期的にリスクを見直し、国内・海外のグループ会社も含め従業員・役員の職位・職種や、社会問題となる知的財産の種類に応じて啓発活動を実施しています。例えば、新技術や新サービスについての社外との共創活動の増加に応じ、共同開発における知財リスクについての教育を実施しています。また、昨今のSNSなどを通じたコミュニケーションの拡大に対応し、インターネット環境での知財リスクについて重点的な教育を行い問題未然防止のための情報共有・意識改革を図っています。

啓発活動事例

  • 知財リスクに関する、リモート環境でのセミナーやe-ラーニングの実施
  • 発行物作成時のマニュアル作成
  • 著作権上のリスクの無いコミュニケーション素材を掲載した「マツダ共有画像集」を制作

ブランドプロテクション(模造品対策)

マツダは、模造品購入により生じるお客さまのリスク排除を目的とした活動を行っています。特に安全にかかわる部品に関して、最優先で対策を実施しています。これにより、お客さまの安全を守り、ブランド力と信用力の維持・向上を図る事で、お客さまから愛されるブランドであり続けることを目指しています。

活動内容

  1. マツダ独自の模造品対策の構築と実施
  2. 官・民の関連プロジェクトへの積極的参画
  3. 模造品の多発する国・地域での活動推進のため、現地の関連会社を通じて、政府機関・摘発機関・同業他社との連携を密にして建設的かつ計画的な施策を実施