マツダは、コンプライアンスを単なる法令順守にとどめず、社内規則や社会からの期待・要請にも応えるブランド構築の土台と位置づけ、「マツダ企業倫理行動規範」に基づき、誠実で公正な事業活動を推進しています。マツダ企業倫理行動規範は、取締役会の承認を受けて1998年に制定し、必要に応じて改訂しています。また、グローバル社員意識調査で従業員へのコンプライアンス意識の浸透を定期的に確認しています。
コンプライアンス
基本的な考え方
「マツダ企業倫理行動規範」の概要
「誠実」な行動の5原則
- 法律や社内規則、国際社会の常識・健全な慣行に従う。
- 公平・公正である。
- 企業の社会的責任を果たす。
- 自分の職責を忠実に果たす。
- 正直である。
行動指針
- 法令および社内で適用される規程を守る。また明確に定めがないことでも、これらの精神を尊重して判断する。
- 従業員、顧客、取引先を公平・公正に扱う。業務上の地位を利用して不当な利益・便宜を得たり、与えたりしない。
- 公私をわきまえ、会社の資産を着服したり乱用しない。
- 機密を守る。当社または他者の知的財産を侵さない。
- 人への安全・環境に配慮した商品作りを追求する。
- 常に健全な利益を追求すべく行動する。
- 人権と人間の尊厳を尊重する。
- 社内・社外への報告において常に真実をタイムリーに述べる。
反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方
マツダは、反社会的勢力および団体とは一切の関係を遮断するとともに、これらの活動を助長するような行為は一切行いません。また、反社会的勢力および団体から不当な要求があった場合には、必要に応じて外部機関(警察・弁護士など)と連携して組織的に取り組み、毅然とした対応を取ります。
体制
コンプライアンス推進体制
マツダは、マツダ企業倫理行動規範のもと、コンプライアンスを全社的に総括するリスク・コンプライアンス委員会を設置し、各部門長をコンプライアンス推進責任者とする体制により、コンプライアンスの確保に努めています。
リスク・コンプライアンス委員会では、課題が確認された重大事案の対応進捗確認や内部通報制度(マツダ・グローバル・ホットライン)の運用状況、コンプライアンス教育の実施状況などを年に2度、代表取締役社長を含む役員が出席する経営会議にて報告したうえで、取締役会への報告も行っています。


取り組み
コンプライアンスに関する主な活動
開始年 | 活動内容 |
---|---|
1997 | 「倫理委員会」設立(代表取締役社長直属の委員会) |
1998 | 「マツダ企業倫理行動規範」制定 「接待・贈答品に関するガイドライン」制定 |
2002 | 役員・幹部社員対象「コンプライアンス・セミナー」開始 |
2005 | 全間接従業員対象e-ラーニング開講 全従業員へのコンプライアンス・カード配布開始 |
2007 | 「マツダ・グローバル・ホットライン」設置 |
2008 | 「他社事例から学ぶ」「コンプライアンス通信」配信開始 「倫理委員会」を「リスク・コンプライアンス委員会」に改組 |
2017 | 「みんなで学ぼう!コンプライアンス」配信開始 |
2019 | 役員・部門長対象「特別リスク・コンプライアンス委員会」開始 |
腐敗防止の取り組み
「マツダ企業倫理行動規範」の行動指針に腐敗防止の基本的な考え方を示しています。さらに、すべての関係先と公平で透明性の高い取引を推進するため、「接待・贈答品に関するガイドライン」を定め、ファシリテーションペイメントを含む贈収賄禁止の方針を示しています。
従業員に対しては、コンプライアンス教育の一環として、腐敗防止(接待贈答)や、不正競争防止法(国家公務員への贈収賄を含む)をテーマにしたe-ラーニングを実施しています。お取引先さまに対しては、「マツダ サプライヤーサステナビリティガイドライン」で腐敗防止を明記し、ガイドラインの順守を要請しています。また、政治献金を行う場合は、「政治資金規正法」を遵守しながら、社内のルールに従って適切な手続きを経て実施しています。海外においても、国際ルールや各国・地域の法令の順守に加えて、現地の歴史や文化、慣習なども尊重しています。これらのガイドラインは、社会の変化や要請も踏まえ、必要に応じて見直しています。
【2024年度実績】
- 政治献金(寄付額)2,100万円
- 贈収賄に関する罰金などの事案は発生していません
- 腐敗行為により懲戒処分を受けた従業員はいません(対象:マツダ株式会社)
コンプライアンスの取り組み
内部通報体制
マツダは、コンプライアンス違反などに関する内部通報先として「マツダ・グローバル・ホットライン」を設置し、社内および社外(弁護士事務所)に窓口を設け、マツダグループの従業員などが実名または匿名で通報できる体制を整えています。通報内容は慎重に取り扱い、通報者の秘密厳守を徹底し、通報者や調査協力者が不利益を被ることのないよう十分なフォローアップを行っています。受付けた通報について事実確認を行い、コンプライアンス違反や不適切な行為などの事実が認められた場合は、是正措置・再発防止を図っています。通報者へは、調査開始、事実確認結果および是正措置等の内容を通知しています。通報制度の周知と理解促進のため、通報窓口の連絡先を示したコンプライアンス・カードの全従業員への配布、コンプライアンス教育のe-ラーニングやポスターの掲示での告知などに取り組んでいます。また、お取引先さまに対してもマツダ・グローバル・ホットラインを紹介し、マツダおよびグループ会社との取引に関して疑義のある場合に連絡できる体制を整えています。
マツダ・グローバル・ホットライン体制図


内部通報プロセス図


【2024年度実績】
- 「マツダ・グローバル・ホットライン」への通報件数 57件(相談案件含む)
コンプライアンス教育
コンプライアンスの遵守においては、法令やルールを守るだけでなく、従業員一人ひとりがその本質を理解し、「誠実な行動」を実践していくことが重要であると考えています。従業員に対しては、e-ラーニングでの自主学習機会を定期的に提供、役員や幹部社員、グループ会社の役員に対する社内外講師によるコンプライアンス・セミナーの実施、タイムリーな情報提供などを行い、コンプライアンスの重要性の認識を高める取り組みを継続的に行っています。
コンプライアンス教育例
- 役員・幹部社員対象の「コンプライアンス・セミナー」を年に1回開催
- 階層別研修を実施(新任幹部社員、新任職長、新入・中途社員等)
- 全間接従業員対象のe-ラーニングを実施(主なテーマ:インサイダー取引・下請法・個人情報・機密管理・著作権など)
- 全従業員へのコンプライアンス・カード配布
グローバル税務コンプライアンスの強化
マツダグループは、「マツダ企業倫理行動規範」に基づき、税務においても誠実に対応します。国際ルールや各国・地域の法令、および社内の「ファイナンス・コントロール・ガイドライン」に基づいて適時適正な納税を行うことは良き企業市民としての重要な責務と考え、納税義務の履行により、各国・各地域の社会の発展に貢献します。マツダグループは、経済協力開発機構(OECD)やG20が推進するBEPS(Base Erosion and Profit Shifting: 税源浸食と利益移転)の取り組みを支持し、タックスヘイブンの悪用などによる租税回避行為を行わず、税の透明性確保のために各国税務当局からの情報開示の要請に真摯に協力します。特に、グローバルに展開する事業における各国グループ法人間の適正な利益配分を決める手段としての移転価格税制の重要性を認識しています。そのため、事前確認制度などを活用し、税務当局との積極的な対話を通じて、透明かつ公正な移転価格運用に努めます。今後も、各国税務当局との信頼関係の構築に努めるとともに、税務に関する社会変化や要請を踏まえながら、グローバルな視点で税務コンプライアンスの強化に取り組みます。
国内販売会社・部品販売会社のコンプライアンス強化を支援
国内販売会社および部品販売会社に対し、体系的な支援を通じて、コンプライアンス体制の強化を推進し、不正事案の発生予防に努め、グループ全体で透明性の高い経営の維持に取り組んでいます。
具体的な取り組み
- マツダグループにおけるコンプライアンスおよび内部統制活動の理解度を高め、適切な業務を遂行できるようにするため、国内販売会社向けイントラネット上のリスク・コンプライアンスに関するサイトで、以下の教育コンテンツを提供しています。また、部品販売会社向けのサイトでは、人権に関する情報も提供しています。
- 販売会社の基本的な業務を定義した「業務標準手順書」や「諸規程」
- 身近な事例の教育素材「コンプライアンス・ワンポイントレッスン」
- 事故事例の真因と再発防止策を記録した「他社事例から学ぶ」
- 法令遵守に役立つ各種教育ツール
- マツダグループで実施している内部統制自己診断に、新たな業務標準手順・内部統制上のリスク・直近の事故事例を網羅する設問を増設しました。これにより、販売会社および部品販売会社が自律的に問題や課題、好事例を明確化し、法令・ルールを順守した会社経営や業務効率改善を推進できるようサポートしています。得られた好事例や課題は速やかに水平展開することで、リスク発生の未然防止を目指しています。
- 国内販売会社および部品販売会社との研修や会議などで、コンプライアンス・内部統制不備の発見と再発防止取り組みを徹底するとともに、不備発生事例の水平展開や調査を実施しています。
- コンプライアンス・内部統制や人権、SNS上での情報発信などにおける問題を迅速に把握するため、国内販売会社の内部通報窓口の整備および国内販売会社社員に対するマツダ・グローバル・ホットラインの周知を実施しています。