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プロジェクトを知る パワートレイン・電動化領域

マツダが目指す次世代のバッテリーEVを生み出すために

2022年11月に中期経営計画のアップデートを行い、2030年時点のバッテリーEV想定比率を25〜40%としたマツダ。今回はバッテリーEV領域のパワートレイン開発を担うエンジニアへのインタビューを行い、マツダが目指す電動化のビジョンやロードマップ、それを実現するために推進しているパワートレイン関連の業務や現場での取り組み、さらには地場のパートナー企業との共創など、マツダの新たなチャレンジをリードする仕事のやりがいや醍醐味などについて詳しく聞きました。

プロジェクトメンバー

村田 親

パワートレイン開発本部
副主査 1998年入社

中山 真

パワートレイン開発本部
パワートレイン技術開発部
2021年入社

ストーリー

Q.パワートレイン開発本部のミッションおよび業務内容は?

村田:パワートレイン開発本部では、「地域特性と環境ニーズに適した電動化を含むパワートレイン戦略を立てて実行する」「人を深く知り、人とクルマの関係性を解き明かす研究を進め、より良いクルマ社会を実現する」「マツダらしい独自価値を提供し、お客さまに支持され続ける」という3つのミッションを掲げています。開発本部全体ではガソリンとディーゼルエンジン、ハイブリッド、EVなど、さまざまなパワートレインの先行技術開発と量産開発を行っていますが、私は主にバッテリーEVの領域を担当しており、次世代のバッテリーEVにおけるマツダらしい価値を追求すべく、企画部門・商品部門と共に理想とするクルマの姿を突き詰め、技術部門と共に新しい技術の活用・商品導入を検討していくことで、今後のマツダにおけるモータ駆動の方針を定めていく業務を担当しています。

中山:私はこれまで、技術研究所でモデルベース開発におけるモータ駆動や周りのモデル構築に取り組んでいましたが、2022年11月の中期経営計画のアップデートを受け、マツダのモータ駆動に関する取り組みをさらに加速させるべく、2023年の4月からパワートレイン開発本部に合流し、地場のサプライヤーさんやマツダの技術本部、さらには生産設備部門、購買部門などと協業しながら新しいモータの開発に取り組んでいます。

 

Q.マツダのEV化における現状の取り組みや今後の戦略は?

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村田:マツダは、各国・各地域における電源事情を踏まえ、適材適所で製品を提供していくマルチソリューションのアプローチが有効であると考えています。そのためマツダでは、各国の電動化政策や規制の強化動向を踏まえ、2030年のグローバルにおけるEV比率を25〜40%と想定し、パートナー企業と共に段階的に電動化を進めていく方針です。具体的には2022〜2024年を「フェーズ1:電動化時代に向けた開発強化」、2025〜2027年を「フェーズ2:電動化へのトランジション」、2028〜2030年を「フェーズ3:バッテリーEV本格導入」とし、3つのフェーズで電動化を推進していきます。

現在、すでにフェーズ1が動き出しており、電動化時代に向けた開発体制やサプライチェーン強化を視野に、広島を中心とする中国地方のサプライヤーの皆さまとの共創・協業を通じて、地域全体でモータ駆動ユニットの設計技術や生産技術の「手の内化」を進めています。このような取り組みを通じて、EVにおいてもマツダ独自の価値提供を目指しています。

 

Q.フェーズ2以降の戦略・展望は?

村田:フェーズ2は電動化へのトランジションということで、電池調達やバッテリー技術開発強化を進めていく予定です。現状、バッテリーに関しては電池メーカーから購入していますが、このフェーズまでにはマツダ独自でバッテリー開発や生産に関する技術の保有を推進していきたいと考えています。また、現時点でマツダがリリースしているEVはMX-30のみですが、フェーズ2の後半では新しいEVを先行導入する予定であり、新しいEVの市場からのフィードバックも踏まえつつ、フェーズ3以降の次世代EV開発を進めていく予定です。

 

Q.モデルベース開発におけるEVの立ち位置は?

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村田:現在のような過渡期においては、ガソリン車とEVを同じプラットフォームで開発することが多いと思います。しかし、ガソリン車とEVを同じプラットフォームで開発することにより、EVに搭載するバッテリーの容量が制限されてしまうなど、バッテリーEV本来の良さを生かしきれない可能性も否定できません。また、EV比率を25〜40%へ上げていくためには、EVの車種を複数リリースしていくことが不可欠であるため、今後はバッテリーEVのポテンシャルを引き出せるようなコモンアーキテクチャの開発や生産ラインの構築も検討していく必要があるでしょう。

今後もマツダが強みとしてきたモデルベース開発を最大限活用し、効率的に開発しフレキシブルに生産を実施していく方針は変わりありませんが、バッテリーEVの開発においては初期段階の企画や構想が非常に重要となるため、社内での活発な議論や合意形成が欠かせません。その点、マツダは完成車メーカーにしてはコンパクトな開発体制であるため、開発関係者一人ひとりが意見を出し合い、会社としての理想を追求しやすい強みがあると考えています。

 

Q.マツダらしいEV化、電動化とは?

村田:EV化によってエンジンや燃料タンクがモータやバッテリーに置き換わりますが、重たいエンジンがなくなり、バッテリーが床下に搭載されることによってクルマの重心が下がります。このようなバッテリーEVの構成は、クルマの運動性能にとってプラスに働きます。また、モータはエンジン以上に緻密な駆動制御が可能なので、マツダのブランドエッセンスである「走る歓び」を追求するにあたって非常に高いポテンシャルを秘めており、私たち技術者としてもやりがいや魅せがいがある開発ができると考えています。

また、今後はハンドルを握るドライバーだけでなく、乗員すべての方々に充実した移動体験を提供するための開発にも力を入れていきます。EV化によって削減される部品のスペースを有効活用することで居住スペースの快適性を高めることもできますし、より使いやすいラゲッジルームを用意することもできるでしょう。また、クルマの機能とアプリケーションを関連付けて新しい価値を提供するような研究開発も進めています。

中山:モータに関して言えば他のユニットに機能配分ができるよう、可能な限りコンパクトにすることや高出力・高密度化を追求することが重要になると考えています。電力効率が向上すればバッテリーを減らすこともできますし、他のユニットとのさまざまな相乗効果を生み出すことができると思います。

 

Q.中山氏がマツダにキャリア入社した理由は?

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中山:前職はティア2のサプライヤーで車載用の小型モータ開発に携わっていました。ティア1のサプライヤーがメインで完成車メーカーと仕様を詰めることになり、自分たちが作ったモータがクルマに搭載された際の使われ方がブラックボックスになる面もあったため、クルマの設計思想に基づくものづくりができる完成車メーカーへの転職を検討しました。

私は以前、マツダのRX-8に乗っていたことがあります。本当によく走り、よく曲がるクルマだったので、運転していて楽しかったですし、まさに「走る歓び」を体現したクルマを開発している印象があり、マツダには愛着を抱いていました。しかもマツダではクルマの心臓部ともいえる駆動用モータの開発に携われるということで、このチャンスを生かしたいと考えて入社を決めました。

 

Q.中山氏が感じているマツダでの仕事の面白さ、やりがいは?

中山:前職で扱っていた車載用の小型モータと現在扱っている駆動用モータとではサイズ自体が違いますし、要求される性能も異なるなど、よりチャレンジングな仕事に取り組めている実感があります。また、社内のさまざまな部門との協業だけでなく、尖った技術やノウハウを持った地場のサプライヤーの方々とも一緒に仕事ができるなど、多くの人々の知見を設計にフィードバックしながらモータの性能向上を追求できる仕事にやりがいを感じます。

 

Q.マツダへの転職を考えられている方へのメッセージ

中山:前職では開発部門と生産部門の拠点が県を跨いでいることも多く、ちょっとした協業を行うにも出張をする必要がありました。その点、マツダは開発も生産も広島本社内にあり、共創している地場のサプライヤーも広島近郊の会社が中心なので協業や共創もスムーズですし、フルリモート勤務やフレックス制度など、働きやすい環境も整っています。また、私のようなキャリア入社者も多いので、これからご入社する皆さんも馴染みやすいと思います。異業界出身者も多く、多種多様なバックグラウンドを持った方が活躍されているので、さまざまな良い刺激を受けながら成長できると思います。

村田:マツダは完成車メーカーの中ではスモールプレイヤーであり、他社と比べて一人ひとりの仕事の担当範囲が広くなります。当然、多くの物事を考えていく大変さもありますが、その一方で技術者としての視野が広がることは間違いありません。多くの完成車メーカーと同様に、マツダにとって電動化は新しい技術であり、これから入社される皆さんがスタンダードを生み出す役割を担うことになると思います。自分たちが考えた製品がそのまま世に出ていく、そんな瞬間に立ち会うことで大きなやりがいを手にしてほしいと思います。

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※部署名・役職名は2023年6月取材当時のものです。

統合制御システム開発

「ひと中心」のクルマづくりを掲げるマツダの自動運転技術とは

パワートレイン・電動化領域

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