第2次世界大戦後の1960年代に、ライトウェイトスポーツカーという手軽に運転を楽しめるクルマが生まれ、黄金期を作った。軽量小型の車体に、ごく普通のセダンに使われているようなエンジンを積み、そのエンジン性能を一杯に引き出しながら、軽快な操縦性を楽しむ──そんなクルマを「ライトウェイトスポーツカー」と呼んで、ヨーロッパの人々は日々の生活のなかで運転を謳歌した。
70年代に入ると、世界最大の規模を持つアメリカ市場で、クルマの安全基準と排ガス規制が厳しさを増し、強化されていった。ライトウェイトスポーツカーの多くが屋根のないオープンカーであり、衝突安全を確保するため、衝撃吸収能力を高めた大きなバンパーを取り付けたり、車体を頑丈に作ったりすることで車両重量は重くなり、また、排ガス規制を達成することと引き換えにエンジンは馬力を落としたりした。軽さが何より売り物の、ライトウェイトスポーツカーにとって受難の時代となった。こうして人々のライトウェイトスポーツカーへの期待も薄れ、ライトウェイトスポーツカーそのものが姿を消していくのであった。