経営方針

トップメッセージ

クルマを通じた地球・社会・人の共存

マツダは「クルマを通じた地球・社会・人の共存」をコーポレートビジョンに掲げています。美しい地球を守り、安心・安全な社会の実現と、クルマを通して、人々が活き活きとした日常を過ごし、健康と利便性を享受できる社会的価値を提供します。その実現を目指して、「人と共に創る独自性」を大切にし、マツダらしい価値の創造に向け、私たちは飽くなき挑戦を続けてまいります。

1. 2021年3月期の取り組み

構造改革の加速と着実な改善による経営体質強化

 2021年3月期は、新型コロナウイルス感染拡大による未曽有の不透明な状況下、期初に通期目標を設定できず、2020年7月に通期見通しとして営業損失400億円を公表しました。

 この危機に対し、これまで進めてきた部門横断型の構造改革をさらに加速し、現在も継続しています。すべての地域、すべての領域において、部門を超えた構造課題への対処により、効率的な仕事への転換を進め、固定費の効率化に取り組んでいます。さらに、継続的な販売奨励金抑制などにより、変動利益を改善し、損益分岐点台数の引き下げにも取り組みました。

 その結果、2021年3月期の実績は、7月公表見通しを大幅に上回り、営業利益88億円を達成することができました。四半期別の推移では、下期は営業利益617億円、売上高営業利益率は3.5%まで回復し、第4四半期の売上高営業利益率は4.4%となり、稼ぐ力を改善しています。

 危機時の緊急資金調達により手許流動性を確保しながら、前期赤字であったフリー・キャッシュ・フローを412億円の黒字に回復させました。バランスシートも自己資本比率を41%に改善しています。

2021年3月期 四半期別業績推移

2021年3月期 四半期別業績推移

2. 2022年3月期の見通し

収益最大化に向けた取り組み強化

 2022年3月期は、営業利益650億円、親会社株主に帰属する当期純利益350億円を想定しています。新型コロナウイルス感染はデルタ株などにより、世界的収束には至らず、東南アジア地域など新興国では感染急拡大が見られます。半導体供給問題も依然先行きが不透明であり、同時に、原材料価格は高騰し続けています。

 これらの課題を踏まえ、想定されるリスクを勘案し、営業利益目標を650億円としました。確実な目標達成に向けて、これらのリスク影響を最小化することを目指し、グループ全社をあげて、さまざまな対応を行っています。半導体の供給不足による不安定な生産を想定し、週次で主要国での生産、販売、在庫をモニタリングしながら、迅速で柔軟な生産と、グローバル在庫の効果的な活用を行います。例えば、米国など経済回復による需要が好調な市場に優先的に商品を供給し、販売台数と収益の最大化に取り組みます。また、引き続き原価低減努力による変動利益の改善や、固定費の効率化を図り、損益分岐点台数の継続的な引き下げにも取り組みます。

 なお、配当につきましては、2021年3月期は当期の業績および財務状況などを総合的に勘案した結果、実施を見送らせていただきました。2022年3月期は1株当たり年間配当15円を予定しています。

3. 中期経営計画の見直し

経営環境の変化への対応として方針・施策の一部見直し

 マツダは、「人と共に創る独自性」を経営方針に置き、中期経営計画を推進しています。コロナ禍の影響やグローバルでの環境規制の強化・加速などによる経営環境の変化、CASE*時代の新しい価値創造競争を見据え、主要経営目標を維持しながら、最終年度を1年遅らせ2026年3月期に変更しました。加えて、危機を乗り越えられる筋肉質な体質へ変換することを目指し、損益分岐点台数を100万台以下にする新たな目標を設定しました。

 時代の大きな変化に対し、今後は特に、CASEへの対応、とりわけ電動化の加速・拡充や、カーボンニュートラル化への取り組みなど、新たな領域への投資を開始していきます。

中期経営計画見直し 方針・施策

* コネクティビティ技術/自動運転技術/シェアード・サービス/電動化技術といった新技術の総称

4. カーボンニュートラル化への取り組み

2050年カーボンニュートラルの達成に向けての挑戦

 地球温暖化を抑制し、地球環境を守るため、世界各国が2050年カーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言しています。マツダも美しい地球を守るために、2050年カーボンニュートラルへの挑戦を発表しました。各国で再生可能エネルギーの供給や、電動化が段階的に進みます。マツダは各国の電力事情に適し、お客さまのご要望に合わせたさまざまなパワーユニットの選択肢を提供すること、すなわち「マルチソリューション」の提供を進めています。また、再生可能液体燃料の普及や、工場やオフィスのグリーン化の推進などにも取り組んでいます。

 2007年に技術開発の長期ビジョン「サステイナブルZoom-Zoom”宣言」を公表して以降、一貫してサステイナブルな社会実現に向けた企業活動を継続しています。当時より、自動車単体のCO2削減だけではなく、燃料採掘を含むWell-to-Wheelの視点に加えて、クルマの製造、物流、廃棄、リサイクルまでカバーするライフサイクルアセスメント(LCA)の視点が地球環境保全のために必要であると考えてきました。2050年に向けてはクルマのライフサイクル全般、サプライチェーン全体まで事業視点を広げCO2を削減していくことが、地球環境を守るために必要であると考えています。その実現に向け、各地域に適したソリューションをすべての事業関係者、ステークホルダーの方々と協働、共創し、段階的な実行に取り組んでいきます。

5. 2030年に向けた新たな技術・商品方針

(1) ビルディングブロック戦略による技術資産の積み上げと高効率なモノ造り

 カーボンニュートラル社会の実現は、世界各国での環境規制の強化に伴い、再生可能エネルギーの供給や充電設備など、社会インフラが段階的に普及していくと考えられます。

 その普及の時間軸を踏まえ、マツダは技術資産を段階的に積み上げ、お客さまのご要望にお応えする「ビルディングブロック戦略」を一貫して進めてきました。現在は内燃機関の一層の進化と電動化技術を拡大する段階にあります。今後、「SKYACTIV マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」として、多様な電動化技術を搭載し、市場に導入していきます。各国の電力事情を踏まえ、お客さまのご要望にお応えできるよう、EV、プラグインハイブリッド、ハイブリッド等、マルチソリューションを提供していく計画です。また、2025年以降は、さまざまな車格やボディタイプのEVモデルに適応できる、マツダ独自のEV専用プラットフォーム「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」を新たに導入します。

 スモールプレーヤーであるマツダがマルチソリューションに対応できるのは、一括企画、コモンアーキテクチャー、フレキシブル生産からなる「モノ造り革新」により、多様な商品・技術を短期間に低投資で効率よく開発・生産するプロセスを資産として積み上げてきたからです。今後も、モデルベース開発の拡充やAIの活用、DX化を進め、「モノ造り革新」の進化を継続していきます。効率的なモノ造りを進めながら、協業パートナーやサプライヤーの皆さまと共に、本格的な電動化時代への技術資産を段階的に積み上げていく計画です。

今後の電動化商品計画

(2) マルチソリューション戦略による電動化の推進と商品導入

 「SKYACTIV マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」の電動化商品として、ハイブリッドモデル5車種*1、プラグインハイブリッドモデル5車種、EVモデル3車種を日本、欧州、米国、中国、ASEANを中心に2022年から2025年にかけて順次導入する予定です。さらに、「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」の商品として、2025年ごろから2030年にかけて複数のEVモデルを導入する予定です。

 この商品計画に基づき、2030年時点での生産における電動化比率は100%、EV比率は25%の想定としています。今後、各国の環境規制強化、市場特性、お客さまのご要望等に応じて柔軟に対応していきます。

2030年グローバルにて電動化100%
25%のEV生産比率を想定

(3) 「事故のないクルマ社会」の実現に向けた「人」中心の安全技術の普及

 マツダは独自の安全思想のもと、人の能力を最大限に引き出す安全、安心な運転環境を提供し、ドライバーを支援する技術を段階的に高度化させながら、事故の低減に貢献しています。

 新たに導入する高度な運転支援技術「MAZDA CO-PILOT」は、ドライバーの状態をセンサーが常時モニタリングし、事故の多くの原因である眠気、脇見などを検知し、注意を促すシステムです。さらに、ドライバーが運転不能な状態に陥った場合には、周囲に警告を発しながら、重大事故を防止するため、システムを自動運転走行に切り替えて、安全な場所に移動、停車し、緊急通報を行います。その第1段階の「MAZDA CO-PILOT 1.0」は、2022年のラージ商品群から導入を開始する予定です。

(4) 次世代の移動サービスの基盤となる コネクティッド技術、ソフトウェア技術への挑戦

 次世代の移動サービス「MaaS(Mobility as a Service)」や、OTA(Over the Air)*2によるクルマの機能アップデートなどの実現に向け、基盤となるソフトウェア技術の開発を強化します。より安全で快適なコネクティッドサービスを早期に提供するために、マツダを含む5社*3による次世代車載通信機に関する技術仕様の共同開発・通信システムの共通化を公表しました。また、車内外の高度な情報通信を可能にする次世代「電気電子アーキテクチャー」の開発を進めています。

*1 マイルドハイブリッドモデルは除く。トヨタ自動車株式会社からOEM供給を受けるTHS(トヨタハイブリッドシステム)搭載車を含む。

*2 無線通信を経由して、ソフトウェアの更新を行うこと。

*3 マツダ以外の4社:スズキ株式会社、株式会社SUBARU、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車株式会社。

 なお、カーボンニュートラルの実現に向けた事業計画を含む中期経営計画の見直しや、より長期の枠組みなどに関しては、今後適切な時期に公表させていただく予定です。

 コロナ禍により私たちの生活や社会は大きく変わりました。どんな時代においてもマツダは、美しい地球を守り、安心・安全な社会の実現と、クルマを通して、人々が活き活きとした日常を過ごし、健康と利便性を享受できる社会的価値を提供する会社であり続けます。そのために、「人と共に創る」マツダの独自性を大切にし、関係するすべての皆さまとの共創を強化しながら、飽くなき挑戦を続け、中長期的な企業価値の向上と持続的成長に取り組んでまいります。

 株主・投資家の皆さまには、より一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2021年9月

代表取締役社長兼CEO
(最高経営責任者)