SKYACTIV-CHASSIS
ロードスター並みの「人馬一体」感を追求し、「走る歓び」を実現すると同時に快適性、安心感を高めた軽量シャシー
SKYACTIV-CHASSIS(スカイアクティブ シャシー)の特長
・サスペンション、ステアリングの機能を徹底的に見直し、「人馬一体のドライビングプレジャー」を実現
・快適性や安心感を高めることで、大幅に走りの「質の向上」を達成
・新開発のフロントストラット&リアマルチリンクサスペンションシステム、電動パワーステアリングを採用し、性能向上とともにシャシー全体で従来比14%※の軽量化を達成
※CDカー(アテンザ、Mazda6クラス)の数値
技術の狙い・コンセプト
(1)中低速域の軽快感と高速域の安定性の両立
(2)中低速域の軽快感と乗り心地の両立
(3)軽量化と高剛性の両立
マツダが目標とする人とクルマの一体感を実現するためには、中低速域の軽快感と高速域の安定性、軽快感と上質な乗り心地、軽量化と剛性の確保という相反する特性を両立させなければなりません。そのためにフロントおよびリアサスペンションを一新。さらに軽量・高剛性クロスメンバー、クイックなハンドリングをアシストする電動パワーステアリングを採用しました。
図1:SKYACTIVシャシーの技術の狙い
中低速域の軽快感と高速域の安定性の両立
中低速域での軽快感を高めるためにヨーゲイン(車の旋回し易さ)を高く設定すると、高速域でのヨーゲインが必要以上に大きくなりクルマの動きが過敏になりがちです。この課題を解決するため、リアサスペンションのジオメトリーを再検討しました。
図2:車速に適応した車両運動の実現
まず高速域のクルマの動きを穏やかにするために、リンク類の配置を最適化し、入力に対する後輪のグリップ力を増加(ヨーゲインを低減)。その上で中低速域のクルマの動きを機敏にするために、ステアリングギヤレシオを高速化(ヨーゲインを増加)。これらにより、中低速度域のヨーゲイン増加と高速域のヨーゲイン低減を両立し、従来を上回る中低速域の軽快感と高速域の安定感を実現しました。
車速に応じたステアリングの手応えの適正化にも取り組みました。まず高速域でしっかりとした操舵力を確保するために、フロントサスペンションのキャスター角およびキャスタートレールを拡大し、走行中の車に働く、ハンドルを直進に戻そうとする力を大きく設定しました。また電動パワーステアリングの制御により中低速域のパワーアシスト量を大きくすることで、中低速域でも軽くスムーズに操舵できるようにしました。これらにより、車速を問わず一体感と安心感のある手応えとクルマの動きの関係を実現しました。
図3:キャスタートレールの拡大
中低速域の軽快感と乗り心地の両立
中低速域の軽快感と乗り心地を両立させるために、バネやダンパーを固めることなく、ハンドリング性能を高めるサスペンションの構造を見直しました。まず、ダンパーが効率良く作動するように、マウント位置をレバー比が大きく取れる部分に設定しました。この変更によって、ダンパーの減衰力とトップマウントラバーの剛性が低減でき、乗り心地への影響を低減しました。また、リアサスペンションのトレーリングアーム取付位置を上方へ移動。これにより、トレーリングアームの上下軌跡に路面からの前後入力をより多く吸収させ、ブッシュへの前後入力を低減することで、乗り心地の改善につなげています。同時に車体リアが持ち上がることも防げるので、制動時の姿勢安定性にも効果を発揮し、制動距離の短縮にも貢献します。
図4:Rサス前後入力の低減
軽量化と高剛性の両立
大幅な軽量化を達成するため、最適なクロスメンバー構造を求めて繰り返しCAEでコンセプトモデルを作成しました。フロントではセンターメンバーの断面を拡大しロアアーム取付位置の前後オフセット量を縮小。リアではクロスバーの前後スパンを拡大しラテラルリンク取付位置の前後オフセット量を縮小。更にフロント/リヤとも溶接フランジを廃止し、溶接部の結合剛性を高めるとともに軽量化にも寄与しました。このように構造の最適化を図ることで軽量化と高剛性の両立を実現、シャシー全体で従来比14%※軽量化することができました。
※排気量2,001cc~2,500ccのミドルクラス車(アテンザ、Mazda6クラス)の数値
図5:クロスメンバー新旧比較
SKYACTIV TECHNOLOGYのさらに詳しい技術情報について
マツダ技報にて、SKYACTIV TECHNOLOGYなど各種研究開発の成果を論文形式で紹介しています。各論文はPDFファイルで閲覧・ダウンロードできます。
※各技術の適用および数値は、車種・グレード・仕様などにより異なります。