CSR

グローバルに展開されるマツダの「モノ造り革新」

「世界中の自動車メーカーが驚くような革新的なベース技術を搭載したクルマをつくる」ことを目的に全社一体となって進めてきたマツダの「モノ造り革新」。
日本で誕生し、クルマづくりのプロセスをゼロから見直すこの取り組みは今、海外生産拠点への展開が開始され、ブランド価値を強化するクルマづくりがグローバルに展開されつつある。

「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」とともにスタートした「モノ造り革新」

2007年に「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」 を発表したマツダ。すべてのお客さまに、「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」をお届けするため、「世界のベンチマークになるような革新的なベース技術 を搭載したクルマを開発・販売する」ための挑戦が始まった。マツダの生産規模は年間約120万台。1,000万台以上も生産・販売するトップ企業と同じこ とをしていたのでは、競争に勝ち残ることはできない。
お客さまの期待を超える商品を開発し、トップ企業と同等以上の量産効果を達成するためには従来の"改善"といったレベルでなくクルマの構造を見直すと同時 に、クルマのつくり方そのものを革新していかなければならない。こうした強い決意のもと関連部門が一丸となってマツダ「モノ造り革新」がスタートした。

マツダ独自の活動「一括企画」を全社で推進し、理想の構造・工程を追求

商品競争力を高める多様性と量産効率を高める共通性。従来トレードオフの関係にあるとされていたこの2つを高次元で両立させることが、「モノ造り革新」の狙いであった。「さまざまな商品を開発・生産しながら、あたかも単独車種をつくっているかのようなスケールメリットを生み出すにはどうすれば良いか」と考える中、ブレークスルーの着眼点となったのが「一括企画」「コモンアーキテクチャー(基本骨格)構想」「フレキシブル生産構想」であった。
「一括企画」とは、開発、生産、購買、そしてサプライヤーまでが一体となり、「将来を見通した商品・技術」について議論し、お互いの立場を超えて、同じ価値観で協議し、具体的な活動プランを立案すること。全社一体となって5~10年先を予測して、全車種を対象に企画することから始められた。「それまでは、車種ごとに開発し、開発・生産がそれぞれ追求した思いをお互いの立場からぶつけあって合意を形成していた。しかし『一括企画』では、“将来を見通し、マツダが本当に目指すべき商品とは何か、技術とは何か”を関係者で議論し、今後導入するモデル共通の形状・構造を『固定領域』、車種やモデルによって変化・変更すべきものを『変動領域』と定義していった」と技術本部車体技術部長の菅は語る。
さらに車種ごとの「一括企画」を行い、「固定領域」については量産効率を高める「コモンアーキテクチャー構想」にのっとって、単独車種生産に近いスケールメリットを生み出した。「変動領域」については「フレキシブル生産構想」にのっとって設計構造や生産プロセスの技術革新による商品バリエーションを実現した。

「モノ造り革新」で何が変わったか

材料歩留り率70.3%

「『コモンアーキテクチャー構想』は、単なる規格統一ではない。時代や車種に左右されない“普遍的に最適と言える理想構造”をカタチにしたもの」だと菅は言う。「量産効率だけではなく、商品力の向上や、リードタイムの短縮、さらには省資源化にも、『一括企画』や『コモンアーキテクチャー構想』『フレキシブル生産構想』は大きな役割を果たしている」。
例えば、商品力の要となるデザインにおいては、デザイン意匠を忠実に量産のクルマに織り込んでいく取り組みが進められた。従来は開発部門がクルマのデザインを決定した後、生産部門が部品をつくる金型製作に着手していたが、それでは技術的な制約から開発部門が考え抜いたマツダが目指すデザインを完璧に再現できないこともあった。そこで、開発と生産が一体となった活動の中で、相互の実現したい想いを、より早く正確に理解しあう「一括企画」の活動を導入。デザイン確定前に成形シミュレーションを行い、生産部門からデザイン再現のための構造を提案するなど、部門の壁を取り払い共働でデザイン意匠の忠実な再現に取り組んだ。これにより、コンセプトカーに見劣りしないシャープさを量産モデルでも実現することができ、Mazda6(日本名:アテンザ)、新型Mazda3(日本名:アクセラ)の2車種が続けて「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザイヤー」でベスト3選出という国内メーカー初の実績も上げた。

事例:デザイン意匠を忠実に再現

事例:デザイン意匠を忠実に再現

また、資源の有効利用という面での成果事例として「プレス加工における歩留まり※1向上」を上げることができる。60%が限界と言われていた材料歩留り率を「CX-5」では、一気に70%まで引き上げた。形状・構造の共通化を進め、未利用材活用などを前提とした製品設計を行うことで、プレス加工における歩留まり向上に大きな進展が見られた。
同時に、従来と比較して小さいプレス部品を増やすことにより、必要強度に応じた厚さの材料を使用できるようになったことで、1台当たりの鋼板使用量を大幅削減し、結果としてクルマ全体の軽量化・燃費向上に寄与した。「従来は大きな部品では最も強度が必要な部分に合わせた厚みでプレスしていたが、開発と議論を通じて、一つだった部品を分割し、それぞれ適した板厚と材質にして組み立てた方が、軽量化にもつながり、全体効果が大きい場合があることに気付いた。今後も開発部門と連携し、商品の理想構造と生産の理想工程を追求することで商品価値向上とコスト削減を同時に実施していきたい」と菅は説明する。
「高歩留まりプレス加工の実現は、サプライヤーさんの協力があってこそ」と、菅は材料歩留まり率向上の功労者として、サプライヤーの存在を挙げる。「マツダは広島県に開発・生産を集中させてきたことで、地場サプライヤーの皆さまと日頃から密接なコミュニケーションをとっており、目的を共有して“一緒にやろう”と参画し、一体となって取り組んでくれたことが、大きな成果につながった」。
マツダの「モノ造り革新」の取り組みは、2013年9月、モノづくりの発想を根本的に変えた製造プロセスとして「第5回ものづくり日本大賞経済産業大臣賞」を受賞するなど、外部からも評価を受けている。

技術本部 車体技術部長 菅 康宏

技術本部 車体技術部長
菅 康宏

最適な材質・板厚の追求

最適な材質・板厚の追求

※1 材料の投入量から期待される生産量に対して、実際に得られた製品生産量比率。

ブランド価値を強化する「生産」へ、「モノ造り革新」をさらに進化

100-1=0

「モノ造り革新」のスタートから8年が経とうとしている今、マツダは「ブランド価値を強化する生産へ」と、さらに「モノ造り革新」を進化させようとしている。
マツダが生産の視点でお客さまにお届けすべき「ブランド価値」。それを象徴する言葉の一つが「100-1=0」だ。これが意味するのは、「クルマ100台のうち、1台でも不良があればすべて無に帰す。なぜなら、お客さまにとってその1台は100分の1ではなく、唯一無二の1台だから」というもの。お客さまの1台に100%の品質を目指す強い思いが、そこには込められている。
菅は、「“お客さまの1台を大切にするクルマづくり”を追求し、ゼロディフェクト(無欠陥)を実現した上で、マツダブランドの特色である“走る歓び”を体現する、“魂動デザイン”“人馬一体※2”“燃費性能”など、お客さまの期待を超える価値を実現したい」と、抱負を語る。 「退屈なクルマはつくらない」を合い言葉に、「モノ造り革新」は進化を続けている。

※2 「人とクルマが一体となって最高の走行状況をつくり出し、心まで通じ合うことを目指す」というマツダ独自の走りの哲学。

グローバル生産体制に対応した最適なモノづくりの実現へ

海外生産比率50%

世界中のすべてのお客さまに、マツダの「ブランド価値」を届けていくためには、「モノ造り革新」のグローバル生産拠点への展開は重要な課題である。現在、マツダの主要生産拠点は、日本の広島・防府のほか、タイ、中国、それに2014年1月に生産開始したメキシコの5拠点。
「私たちが長年にわたって技術を集積してきた広島という地から生まれた『モノ造り革新』をどうグローバルに展開するのか。マツダにとって、これは大きなチャレンジだ」と語る菅。将来的に海外生産比率を50%に引き上げることを目指すマツダにとって「単に技術やノウハウを移管するということではなく、現地従業員や初めてお取り引きするサプライヤーさまに、“マツダが目指すもの”を理解・共感してもらい、真に『モノ造り革新』をその地に根付かせていくことが大事だと考えている」と、「モノ造り革新」のグローバル展開の意義について言及する。
目指す姿はManufacturing for Customer Value(お客さま価値のための生産)。世界中のお客さま一人ひとりに、100%の品質と、お客さまの期待を超える価値を実現するために、マツダグループのすべての生産拠点が1つのチームとなって取り組んでいく。


メキシコ工場を建設

「モノ造り革新」を展開したグローバル生産拠点として

マツダは、住友商事株式会社と合弁でメキシコ合衆国グアナファト州サラマンカ市に新工場「マツダデメヒコビークルオペレーション※3」(以下、MMVO)を建設。2014年1月に新型Mazda3(日本名:アクセラ)を生産開始したMMVOは、北米、中南米、欧州への重要な戦略的供給拠点に位置づけられている。

※3 「マツダモトールマヌファクトゥリングデメヒコ S.A. de C.V.」と「マツダモトールオペラシオネスデメヒコS.A. de C.V.」を総称した名前。

新工場「マツダデメヒコビークルオペレーション」概要

3つの使命

  • 良き企業市民としてメキシコ経済・自動車産業のさらなる発展ならびに地域の活性化に貢献する。
  • 重要なグローバル戦略拠点として、マツダの構造改革を成功に導き新たな歴史を築く。
  • SKYACTIV技術搭載車をより多くのお客さまにお届けし地球環境保全に貢献する。

from Mexico

メキシコの自動車産業をリードする人材を育成し経済発展・地域活性化に貢献していきたい

MMVOはマツダの「モノ造り革新」の考え方に基づき、日本と同レベルの高い品質を持つ車両をグローバルに供給できる体制づくりに取り組んでいます。2014年7月までに180名のエンジニアおよび管理監督者をマツダの本社工場や防府工場に派遣し、マツダのブランド価値強化につながる生産体制が構築できたと考えています。
また、MMVOでは地域経済・自動車産業への貢献、環境保全への貢献、地域の皆さまとの交流を大切にしています。経済・自動車産業への貢献としてはMMVOおよび工場敷地内に建設したサプライヤーパーク※4への進出サプライヤーさまと合わせて6,000名以上の雇用を創出しています。そのほか、希少木(メスキーテなど)の保護や土砂の管理を通じた自然保護活動などの環境保全活動や、敷地内への多目的広場・ミニミュージアムの設置といった地域の皆さまとの積極的な交流など、さまざまな取り組みを進めています。
これらを通じて、マツダのモノづくりの歴史やモノづくりのスピリットを伝え、ここメキシコでのブランドエッセンスの発信基地になっていきたいと思います。
今後もメキシコの自動車産業を支えリードする人材を育成するとともに、モノづくりを通じてメキシコ経済の発展に貢献し、地域の方々とともに成長できる生産拠点となれるよう取り組んでいきます。

MMVO 執行副社長 富永 修

MMVO 執行副社長
富永 修

※4 サプライヤーの生産拠点集積地。