CSR

第三者意見

マツダ株式会社および国内・海外のマツダグループ各社のCSR活動とその情報開示に関して、「マツダサステナビリティレポート2016」の記述と、マツダ本社との意見交換を踏まえて、一昨年度と昨年度に引き続き第三者意見を述べます。

CSRアジア 日本代表
赤羽 真紀子 氏

赤羽 真紀子氏

今年度は「構造改革プラン」の最終年度として財務基盤強化とブランド価値向上に継続して取り組まれました。とりわけ、ブランド価値向上については、国内外から高い評価を受けられています。革新的なベース技術である「SKYACTIV技術」とデザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」を採用した新世代商品群において一つの成果を出されています。それは2016年3月にロードスターは「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」のダブル受賞です。1車種によるダブル受賞は、同賞創設以来初のことだそうです。これは2013年から「ブランド価値経営」の推進に本格的に取り組まれ、従業員一人ひとりに浸透し、実践されていることが、製品に具現化され、それが世界舞台で評価された一つの成果だと思います。

マツダはコーポレートビジョンの中にある「挑戦し続けています」にある通り、常に自己変革を推し進めています。例えば、昨年度の第三者意見の中で改善すべき点としてお伝えした点に対して、真摯に受け入れ、着実に対応されていることです。今年度のサステナビリティレポートには随所にその対応が表されていますが、とりわけ特集2では、「マツダがどんな問題意識の下でプログラムを実施しているのかをアピールしてほしい」という昨年度の指摘に対し、マツダがどう対応しているかを最新の事例を交えて、取り組みが紹介されています。

マツダは130以上の国と地域で販売を行い、7か国に生産拠点を有する世界企業であることから、今後さらにマツダのサステナビリティへの取り組みを進化させるために考慮いただきたい点があります。

まず、CSR方針です。「コーポレートビジョン」に基づいた「基本的な考え方」(英文版ではBasic Approach)として記載がありますが、「CSR方針」(英文だと「方針」は「Policy」) は打ち出されていないようです。CSRに包含される環境方針、社会貢献方針をはじめ品質方針、個人情報保護方針などはあるので、その根幹を成すCSR方針はあった方が良いと思います。世界のいろいろな企業をみていると、CSR方針の存在は必須の要素のようです。特にリスクにかかわることが生じた場合に、「CSR方針」があるのとないのとでは、対応の迅速さや信頼性の確保に関わるものだからです。「方針」があれば、判断に迷うことが生じても、本社やマネジメント層の判断を逐一請うことなしに、世界中の各拠点や現場で「方針」に基づいて同じ判断が迅速に出せるようになります。CSRの意思決定を一極集中ではなく分散できるようにすることにもつながりますので、ぜひ検討いただきたいと思います。

次に、マテリアリティについてです。CSRの重点取り組み領域(マテリアリティ)を見直し・特定されました。マテリアリティの決定プロセスはいろいろな方法がありますが、ステークホルダーをさらに巻き込んで洗い出していくことが重要です。定期的に見直していくということですので、見直しの際にはぜひ国内外の従業員やステークホルダーなど広い裾野から直接意見を吸い上げて評価されることを推奨いたします。すでにステークホルダーとのエンゲージメントのチャネルはさまざまお持ちですので、そのチャネルを活用されてみてください。

最後にマツダに期待することがあります。2015年に策定された国連の持続可能な開発目標(SDGs)について、トップメッセージにもあったように社会動向の大きな転換点と認識されておられます。これまでの国連のミレニアム開発目標とは異なり、国際機関や市民社会のみならず、企業にも世界的な開発課題の解決への寄与を要請し、2030年までに全世界が力を合わせ、よりよい将来にしていこうという目標です。マツダはこのSDGsにも対応されることを検討されているそうです。ぜひマツダらしく「ワクワク」感を形にしながら取り組んで、世界中からさらなる信頼感を得られることを期待しております。